Copyright Yoshihiro IDE  LastUpdate 2001.Nov.16

問題多い国の特別対策<低所得者の利用者負担軽減策>

 介護保険導入以前の措置制度では、所得の低い人は、無料またはきわめて低廉な費用負担で、ホームヘルプなどの介護サービスを受けることができました。

 しかし、介護保険の導入に伴い、利用料の1割負担が原則となり、所得の低い方の負担が増え、結果的に介護サービスの利用が少なくなることが懸念されました。

 そこで、国は平成14年度末(平成15年3月31日)までの特別対策として、地方自治体や社会福祉法人が、低所得者に対して利用料の一部を軽減できることとし、減免を行った場合、法人が負担した費用の一部を国と県、市町村が負担する制度を設けました。

 しかし、この制度を活用するかどうかは、市町村の任意の判断に任され、事務処理も非常に煩雑になり、また社会福祉法人の負担割合も高く、実施する市町村が限られているのが現状です。

 平成13年度2月20日現在では、茨城県内の市町村85に対して、実施している市町村は38市町村と全市町村の47%にとどまっています。社会福祉法人の数で見ると、77法人が実施しているのみです。

 また、この特別対策では、総利用者負担額の1%まではすべて社会福祉法人の負担となっていますので、実際に公費の助成が行われた市町村は、わずか10市町村にとどまっている実態があります。

 この事業には、平成12年度の県予算486万円あまりが計上されましたが、決算額は1割にも満たない30万円あまりでした。

 こうした現状から、茨城県などは国に対して制度の改善を重ねて要望してきました。また、東京都では、平成14年1月から対象サービスの拡大や都と区市町村の助成枠の拡大を図る改善策を発表しました。
  参考:東京都の利用者負担軽減策

 井手県議は、この国の特別対策を早急に改善することを提案しております。そのポイントとしては、
    1)対象事業者を、自治体や社会福祉法人だけに限らず、民間事業者やNPOなどすべての介護サービス提供事業者とする。
    2)利用負担の軽減を事業者に義務づける。
    3)軽減した費用は全額、国・都道府県・市町村が介護サービス事業者に助成する。
    4)減免額は、利用者負担の1/2とする。
    5)減免の対象サービスを拡充する。(訪問介護、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)、指定介護老人福祉施設における施設サービス(特別養護老人ホームでのサービス)、訪問入浴介護、訪問看護、訪問・通所リハビリテーションなど)

軽減額の負担割合と改善提案(ホームヘルプの場合)

国の特別対策の負担割合

国の特別対策への改善提案


国の特別対策の内容
対象サービス
訪問介護
通所介護(デイサービス)
短期入所生活介護(ショートステイ)
指定介護老人福祉施設における施設サービス
(特別養護老人ホームでのサービス)
事業主体
社会福祉上を直営する区市町村
社会福祉法人
公費による助成
一定割合までは全額法人等の負担(利用者負担総額の1%)、超過した分は法人と公費(国・都道府県・市町村)の折半
対象となる利用者負担
介護費負担
食事負担
日常生活費負担
対象者
区市町村民税の世帯非課税者
(介護保険所得区分の第1段階、第2段階の者)
利用者への軽減割合
2分の1から免除まで


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