開催県負担は11億円強 黒字なら返還を求める
円安の恩恵、JAWOC運営費にプラス効果2002年1月16日に開催された茨城県議会決算特別委員会で、井手よしひろ県議は、サッカーワールドカップ開催にともなう、開催県の負担金について質問しました。
この質問に対して、県ワールドカップ推進室長は、日本組織委員会(JAWOC)へ拠出する県の負担金は、総額約11億円強になるとの見通しを示しました。
JAWOCは、大会運営資金についてW杯開催の10自治体にも負担を求めています。県は1997年度から2000年度までに運営費補助、会場設営費支援などとして総額約5億5300万円を拠出しました。本年度も当初予算で運営費補助約1億円を拠出。さらに、JAWOCから昨春要請のあった1億円の追加負担についても受け入れ、今年度中に払い込む予定です。
また自治体宝くじ(グリーンジャンボ宝くじ)の益金も会場設営費の支援金としてJAWOCに6億円余りが繰り出されています。
井手県議は、JAWOCの2002年1月11日に開催された遠藤安彦事務総長の記者会見で、「現在のような円安の傾向が続けば、外貨建ての収入が増え、(収入面で)プラスの要素になる」と語ったとの報道を受け、大会終了後の運営費の黒字が確定した際に、県が負担した分の返還を求めるかどうかを質問しました。
推進室長は「JAWOCの財産処分の際、黒字になれば、最終的には理事会で決めることにはなるが、県としては負担分の回収をしたい」とJAWOCに対し負担金の相応の返還を求めていく考えを示した。ただ、JAWOCは民間などから当て込んだ寄付金約40億円分が思うように集まっていないとされ、「黒字になると楽観はできない」(同室長)とも語り、収支に慎重な見解を表しました。
参考:毎日新聞地方版に記事掲載(2002/1/17付け)円安によってドル建てチケットや分配金に差益が生まれる
JAWOCによると、大会予算は約607億円で、収入のうち最大の入場券販売料が約218億円。約半分が海外販売分チケットによるもので、為替レートを1ドル=108円で計算し、売れ残り分も想定して約103億円と見込んでいます。
しかし、11日現在の為替レート(1ドル=132円)で計算すると、海外販売分チケットの収入は約23億円増の約126億円となります。
また、国際サッカー連盟(FIFA)から日韓両国の組織委員会への分配金(計1億ドルで、既に入金済みの1300万ドルは1ドル=117円)も実勢レートで計算すると、約13億円増の約130億円となる。チケット収入の増額分を合わせると、約36億円の増収になる計算だ。現段階の大会収支計画は、収入と支出を同額としているため、現在の為替レートが維持されれば、この増収分が黒字となる可能性が高いと思われます。
JAWOCが為替レートを現状より、20円以上も円高・ドル安に見込むことになった最大の理由は、精算時の赤字は絶対に許されない、という切実な危機感がありました。為替損失に伴う収入減を極力、回避するために、一昨年暮れ、チケット収入を当時の為替レート(1ドル=112円)より、やや円高に見込んで収支予算を編成しました。しかし、昨年後半から今年にかけての円安・ドル高への推移で、1ドル=108円という設定は、あまりに現実離れしてしまいました。
急激な円安が思わぬ効果を発揮しています。