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茨城県内の高萩市と北茨城市に生産拠点を持つ日本加工製紙は、2002年5月29日、東京地裁に自己破産を申請し、破産宣告を受けました。 負債総額は、約830億円。子会社や関連会社を含めると県内の従業員は約1200人に上るとみられ、雇用や地域経済への影響が懸念されています。 倒産時点での加工製紙本体の従業員数は785人。このうち県内では高萩市の高萩工場に423人、ひたちなか市の勝田工場に266人の計689人が勤めています。 近く全員解雇となる見通しですが、退職金の支払い、再就職などの処遇はまだ決まっていません。 高萩工場は、同社の主力工場で、前身の高萩パルプは1956年の操業。関連会社の従業員、家族を含めると、市民の一割近い3000人が影響を受けるとみられます。 日本加工製紙の自己破産は、茨城県内最悪の倒産劇となっています。 |
公明党茨城県本部では、日本加工製紙の自己破産を受けて、5月30日、井手よしひろ県議を委員長とする日本加工製紙破産対策委員会を設置しました。5月31日、井手県議と今川敏宏高萩市議会議員らは、高萩市役所に岩倉幹良市長を訪ね、善後策について意見を交換しました。また、市役所企画担当者より、詳しい状況説明を聴取しました。
写真->日本加工製紙高萩工場の正門その後、市内で日本加工製紙の従業員ならびに関連会社の従業員と直接面談して、今後の対応について検討しました。
従業員の話から、解雇時期や保障される賃金、退職金など処遇が全く明確になっていないことが明らかになりました。
健康保険がいつまで有効なのか、解雇に至るまでの時期に労働災害が起こったならばどうなるのか、社宅はいつまで住めるのかといった疑問が発せられました。
更に、会社や労働組合を通じて労金(中央労働金庫)から借入している自動車ローンやリフォームローンは、退職時に一括で返済することになっており、突然の破産という異常事態のなかで、特例措置が認められないのかといった要望が寄せられました。こうした現地調査の結果や要望をもとに、井手県議らは県知事に対しての要望書を作成。夕刻、県庁を訪れ、矢口一美商工労働部次長に、橋本昌知事宛の要望書を手渡しました。
<-写真:橋本知事宛の要望書を矢口商工労働部次長に提出する井手県議(左側)
平成14年5月31日茨城県知事 橋本 昌 殿
公明党茨城県本部
代表 石井啓一
日本加工製紙破産対策委員会
委員長 井手義弘
日本加工製紙の自己破産に関する要望書
県内に二つの生産拠点を持つ日本加工製紙が、5月29日に東京地裁に自己破産を申請し、破産宣告を受けた。負債は約746億5100万円(2001年9月末時点)に上り、関連会社を含めると県内従業員1200人あまりが解雇される予定という深刻な事態に至った。私ども公明党茨城県本部は、5月30日、県本部内に日本加工製紙破産対策委員会を設置し、現地調査並びに従業員からの事情聴取、関係自治体首長との意見交換などを行ったところである。
多くの従業員からは、管財人や会社側から詳細な説明がなされず、当面の生活や再就職の問題などに大きな不安が広がっている。また、同社の取引先にも連鎖倒産の危険性が指摘されている。
こうした現状を踏まえ、公明党茨城県本部並びに同日本加工製紙破産対策委員会は、茨城県知事に対して、従業員の不安解消、再雇用の促進、関連会社の倒産防止などのために、以下の要望を行うものである。
貴職にありましては、要望の主旨をご理解の上、特段のご配慮をいただきたく強くお願いいたします。
< 記 >
- 総合的な生活相談窓口の設置を関連市町(高萩市、ひたちなか市、北茨城市、十王町など)に要請すること。
(健康保険,年金,労災,高等学校の授業料減免,大学や専門学校の奨学金など行政各分野に係わる相談業務を一カ所で受けられる体制を整えること)- 関連市町との連係のもと、法律の専門家(弁護士など)による相請窓口を開設すること。
- 従業員の労働金庫からの借入金にたいして、返済条件に特例適用を要請すること。
- 関連会社・取引会社の倒産を防ぐために,責極的に経営相談と融資の実施を行うこと。
- 県をあげて解雇される従業員の再就職先の確保を図ること。