日本海側の拠点都市である新潟市周辺では、信濃川や阿賀野川等の河川を渡る橋の部分に、交通が集中し一般道路のボルトネックとなっています。
特に国道7号新新バイパスを含む阿賀野川を渡る各橋梁部では、特に朝の通勤時において、深刻な交通渋滞が発生してます。
そこで、「つくる」から「使う」という発想の変換を行い、既存ストック(有料高速道路)の有効活用を念頭に置き、朝の通勤時間帯に高速道の料金を割り引くことによる日東道(日本海東北自動車道)への交通転換実験が行われました。
この実験は、一般道の渋滞緩和と高速道路の利用拡大を図れないかという施策の有効性を確認するとともに、併せて来年度以降の本格的な社会実験実施の適否を判断することを目的としています。
公明党・井手県議らが中心となって、日立市で行おうとしている常磐高速道路の有効活用にも通じる重要な社会実験です。
実験は、2002年9月30日から10月4日まで5日間実施されました。
通勤者の乗用車で毎日込み合う国道7号線「新新バイパス」の渋滞緩和のため、並行して走る日本海東北自動車道の通行料金を試験的に約半額の割引にし、通勤者を高速道路に呼び込んで渋滞緩和をしようとしたものです。
その結果は、実験前の7月9日と、実験期間中の10月3日の交通量を比較すると、通勤時間帯の午前6時半から同9時半までの間、約500台だった高速道の交通量は倍以上の約1150台に増加しました。
一方、新新バイパスの交通量は約400台減り、混雑が最も激しい阿賀野川に架かる阿賀野川大橋付近では、最大5.2kmだった渋滞が半分の2.6kmに短縮されていました。
また、実施されたアンケートには、この期間の利用者の約半数にあたる2300人から回答がありました。そのうち通勤時間が「大幅に短縮した」「少し減少した」と答えた人は計95%にのぼりました。また半数の48%が、半額の割引料金なら「ほぼ毎日利用したい」と回答しました。
さらに、波及効果として、割引期間の終了後も同自動車道の交通量が40%増となったほか、渋滞解消によって、車から排出される二酸化炭素量は約9%削減されたました。
●通勤時間帯(6:30-9:30)の交通量
(試行前・試行中・試行後の同一曜日の比較)
一般道 高速道 試行期間中 ▲5% 2.27倍 試行期間終了後 +1% +38%
参考:阿賀野川ゆとり通勤大作戦の概要
参考:阿賀野川ゆとり通勤大作戦の中間報告