8月18日付・読売新聞<編 集 手 帳>


 電流を流すと光を放つ半導体・発光ダイオード(LED)。炎、電球、蛍光灯に続く「第四の灯(あか)り」ともささやかれ、照明を一変する可能性を秘めた有望株だ◆半導体の材料によって様々な色を発光する。最難関とされた青色LEDを日本人が発明し、赤、緑、青の三原色がそろった。今はLEDの組み合わせで、あらゆる色を作り出せる◆粒状の半導体の固まりなので、一粒が壊れても性能が落ちず、寿命が長い。白熱電球の八分の一、蛍光灯の半分の電力で同じ明るさを出せる省エネルギー性も魅力だ◆実用化が始まっているのが信号機。東京都の石原知事は、98%までLED製にしたシンガポールを視察して、都内の信号を十年間ですべてLED化するよう指示した。銀座一帯や靖国通りの信号は、既に電球から鮮明なLED製に変わった◆全国には約百八十万灯もの信号がある。これを全部LED化すれば、一年間に原油換算で二十一万キロ・リットルの節約になるという。電力料金の負担は、都だけで二十四億円から三億円に減り、年に一回必要だった電球交換も不要になる◆良いことずくめに見える信号LED化だが、積極的な都道府県は少数にとどまる。信号機の維持補修会社は、警察官僚の貴重な再就職先。「天下りの道を自らふさぐはずがない」とは、業界関係者の証言だ。