Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:master@y-ide.com)

七会村 全世帯に光ファイバー通信網整備へ
総務省の加入者系光ファイバ網整備事業を活用し平成16年度よりスタート

 茨城県と栃木県の県境の村・七会村の全世帯に、超高速の光ファイバー通信網が張り巡らされることになりました。総務省関東総合通信局は2003年8月26日、七会村に対し通信網整備の補助金交付を決定したと通知しました。自治体による家庭向け光ファイバー網の整備は全国7番目で、関東地方では初の事例となります。

 七会村は人口2400人、650世帯の過疎の村です。民間の通信事業者による高速通信サービスの提供は望めないことから、行政主導によるインフラ整備の道を選択しました。

 光ファイバーが敷設されるのは村内全域の全世帯。村は2001年度事業で役場庁舎と小中学校や保健福祉センター、国保診療所、幼稚園、公民館、山びこの里などを、総務省の地域イントラネット整備事業を活用して、光ファイバーで結んでいます。この内、3つの小中学校と七会村情報センター(七会村役場)から各家庭へ光ファイバーの引き込み線を延ばす予定です。七会村情報センターは、2003年4月に、いばらきブロードバンドネットワークに接続され、通信事業者(インターネットプロバイダー)が無料で回線を利用できるようになりました。地元のプロバイダー・日本通信放送がインターネットへの接続を事業化することになりました。

 各家庭までの光ファイバーの敷設費用は、全額行政が負担します。敷設費用は約2億8000万円。このうち、約1/3の7800万円が、国庫補助金で賄われます。さらに、村の支出の大部分を、国の支援がある過疎債を活用することになっています。

 当初のサービスとしては、現在の電話回線を使った防災放送システム(NTTオフトーク通信)を光ファイバーを使ったシステムに移行します。また、希望者には地元プロバイダー(日本通信放送)がブロードバンドインターネットサービスを提供します。利用料金は月額3980円(回線使用料は無料、プロバイダー料金だけで100Mbpsのインターネット環境が利用できます)で、既に1/3程度の世帯で利用希望があるとのことです。サービス開始は来年3月1日の予定です。

 七会村の光ファイバー網実現の要因は、今年4月から供用開始されたいばらきブロードバンドネットワークでした。10月からは県内83市町村すべてがカバーされ、地域間の情報格差の解消が図られます。村役場までの回線さえ確保すれば、直接幹線系のインターネットに接続できることになり、経費が大幅に軽減できます。

 七会村の光ファイバー網はIBBNのメリットを、県民が直接享受する最初の具体例となります。

 光ファイバーが張り巡らされることで、役場と全世帯がオンラインで結ばれます。防災放送(オフトーク通信)も現在の電話線から光ファイバーに切り替えられ、通信経費と維持費は、年間600万円から150万円程度に軽減されます。将来的には、自宅に居ながらにして役場の窓口手続きを済ませられる「電子申請」制度の基盤としても期待されます。

 また、プロバイダーがIP電話のサービスを提供すれば、村内の電話料金が全く無料になることも想定されます。

 過疎の村が、情報の分野で、全国最先端の村に生まれ変わろうとしています。

参考:七会村のホームページ
参考:加入者系光ファイバ網設備整備事業について


Webメニュー選択画像