井手よしひろの意見と主張
茨城県議会議員 井手よしひろ (e-mail:master@y-ide.com)


■ ■ 2003年年末の年金改革問題を総括する ■ ■

新聞の紙面  政府の年金改革の大筋が決定しました。一部には、私ども公明党が提案した「年金安心100プラン」が、自民党や政府との議論の中で、なし崩しになってしまったのではという声もあります。しかし、冷静に分析をしてみると、「公明党にとっては満額に近い決着」(朝日新聞十二月二一日付)、「結果はほぼ、公明党の主張が反映された」(日経 二一日付)とマスコミも認めるほど、公明プランに沿った改革案の骨格決定となりました。

安心の給付・現役時代の平均収入の50%以上を確保

 年金議論のスタートの時点では、「給付水準は少なくとも2割程度カット」(日本経団連案)、「最低限必要な額だけの給付にとどめる」(財務省案)など、年金給付の大幅カットの案が大勢を占めていました。

 こうした中で、公明党は「暮らせる年金」の確保を最大の柱に掲げ、今年九月、他党に先駆けて独自の年金プランを発表。政府・与党間での議論の場でも、暮らせる年金にどうしても必要な給付水準として「厚生年金では現役時代の平均的収入の50%以上の確保」を一貫して主張し、その実現をリードしてきました。

 この結果、政府・与党は、公明党の主張に沿って、厚生年金の将来の給付水準を「少なくとも現役時代の平均的収入の50%以上を確保する」ことに決定。しかも、国民の公的年金制度に対する安心と信頼が得られるよう、そのことを法律に明記することにしました。これは、たとえ経済情勢などが変化しても、「給付はこれ以下にはしません」という政府の国民への「安心宣言」といえます。

安心の負担・厚生年金の保険料は18・35%(労使折半)が上限

 少子高齢化で「年金保険料が限りなく上がるのでは」との国民の不安を払しょくするため、今回の決定では、厚生年金の保険料率に上限を設けました。

 給付水準50%以上を確保するため、保険料率は2004年10月から毎年0.354%(本人負担は0.177%)ずつ13年間かけて徐々に引き上げ、最終的に2017年に18.35%(本人負担は9.175%)で固定します。「これ以上は上げない」という負担の歯止めが実現したのです。

 経済界などは最終保険料率を15%、16%とする考えでした。保険料は低い方がいいに決まっていますが、これでは給付50%の確保は到底ムリです。公明党は、多くの高齢者が公的年金収入を生活の柱としていることを重視し、「安心の給付を保障するには18%台の少し余裕のある保険料率に」と求めてきました。

安心の財源・国の負担1/2への引き上げに具体的道筋

 今回の年金改革での最大の課題が、基礎年金の国庫負担割合(現在3分の1)の2分の1への引き上げです。これは、年金制度を将来も安定したものとするため、前回の法改正で全党一致で法律の附則に明記したもので、すべての党が国民に約束したことです。

 しかし、これには毎年2兆7000億円もの予算が必要です。どの党も財源を明示できない中で、所得税の定率減税や年金課税の見直しなど、責任ある安定財源を明示したのは、衆院選の前も後も、与野党を通じて公明党だけでした。

 政府・与党間の協議でも公明党は「国民との約束」を守るため、定率減税の見直しに消極的な自民党を粘り強く説得。最終的に2005、06年度には定率減税を縮小する方針を決め、国庫負担引き上げの財源に道筋をつけました。

 今後は、国民年金の給付と負担や、保険料未納者の解消、女性と年金にかかわる問題などについて引き続き政府・与党間で検討を重ね、年金改革法案に盛り込むことにしています。

年金積立金は年金保険者のためを明確に

 今回の年金改革での大きな転換は、給付額の5年分にあたる147兆円もの年金積立金を取り崩すという選択です。積立金の聖域扱いがこれで解かれました。厚労省が2002年12月に発表した「年金改革の方向性と論点」は、積立金取り崩しに、一切触れられてなません。積立金を市場で運用する業務を、官僚が独占的に行う仕組みに手をつけたくない、これが本音でした。

 公明党プランでは、高齢化がピークを迎える今世紀半ばから積立金を取り崩し、100年後には給付額の1年分にまで削減します。若者の年金不信を解消するためには世代間格差の縮小が欠かせません。積立金を取り崩し、保険料率を抑える選択は正に現実的選択です。

 取り崩しに反対していた厚労省も、坂口厚労相の試案(公明党案)が示された結果、大きく方針変更しました。総選挙を通して与党内で公明党が力を増し、年金論議は公明ペースで進んみました。厚労省は公明党を受け入れる形で、保険料率引き上げに反対する財務省や経済界などとの改革論議を乗り切ろうとしました。その結果、公明党案の選択を丸のみした厚労省案が発表され、政府の方針として決定しました。
(2004/1/10)


 「安心の負担・厚生年金の保険料は18・35%(労使折半)が上限」と記載しましたが、国会に提出された与党案では厚生年金保険料は18・3%(労使折半)となりましたので、訂正いたします。
 また、国民年金は負担の上限が、1万6900円に設定されました。(2004/3/22)

 朝日新聞2004年3月20日付けの4面に「自民党を歩く・巨像の足元D」との連載記事が掲載されました。その締めに、私のホームページの一部と思われる部分が引用されています。その引用は、私の本来の主張が歪曲され、あたかも年金改革の議論が、自民党と公明党の選挙協力の延長にあり、国民(年金被保険者)を無視した議論に終始したような印象を与える記事となっています。やや長文になりますが、私の主張を正確にご理解頂くために、引用させて頂きます。

朝日新聞「自民党を歩く・巨像の足元D」  (2004/3/20付けの4面)
 民主党の菅代表は最近「公明党の顔色をうかがう自民党」を批判する。菅氏の支持で民主党職員が公明党議員のホームページを調べた。「公明党は年金改革で自民党を押さえ込んだと勝ち誇っているに違いない」と予想してのことだ。国会議員の多くは「自公協力の成果」と控えめな表現をしているが、関東地方の公明党県議のホームページが目に入った。そこには、「年金の政府案は公明党案を丸のみにした」と書かれていた。
 まず第一に、「年金の政府案は公明党案を丸のみにした」というような表現は、私の文章の中には、どこにもないことを明確にしたいと思います。「公明党年金改革の4つの成果」の4項目に、年金基金を年金の給付のために取り崩すという選択をさせた、とう主張があります。その最後に「その結果、公明党案の選択を丸のみした厚労省案が発表され、政府の方針として決定しました」と表現しましたが、ここでいう公明党案の選択とは、章立てからいっても、文脈からいっても「年金の政府案」全体を指すもでないことは明らかです。
 第二に、このページは井手よしひろの個人的な意見や主張を掲載したものです。国会議員でもない私が、個人的な見解を開陳しているホームページをもって、公明党をあげて、年金改革で自民党を押さえ込んだと勝ち誇っている....との論拠にすることは、あまりに強引すぎるのではないでしょうか。(2004/3/23)


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