厚生労働省は10月29日、平成17年度の介護保険制度改革で、被保険者の範囲を拡大した場合の介護保険料の試算を公表しました。現行40歳以上の保険料負担者を20歳以上などに広げた場合、40歳未満の保険料は、2006年度で月額1700〜1900円(全国平均)と試算され、本人負担額はこの半額の月額850〜950円になります。8年後の2014年には2300円になるとしています。
被保険者の拡大は、サービス給付費が制度開始の2000年度から4年余りで2倍近い5.5兆円になるなど増え続けていることから、支え手を(保険料を支払う人を)増やすことで、介護保険財政を安定化させることが主な狙いです。と同時に、年齢や疾病、障害の種類に関係なく、介護が必要と認定されれば、0歳からの全国民が制度を利用できるようにすることを前提にしています。
試算では、介護予防などで給付を抑制し、サービス受給者の範囲も、現行の原則65歳以上から0歳以上(全ての国民に拡大)とすることを条件として、負担者について@20歳以上、A25歳以上、B30歳以上、C35歳以上の4パターンを提示しました。更に、40歳未満の若年層の保険料を40歳以上の半額とするケースと、同額とするケースを推計しました。
新たな負担者の人数は、20歳以上に拡大した場合が3500万人、35歳以上なら900万人となります。
一方、受給者を0歳以上に拡大した場合(全国民とした場合)、在宅の若年障害者ら約36万人と、施設の若年障害者ら約13万人が、段階的に新たなサービス利用者となるとしています。現在、5.5兆円の介護給付費は、介護予防などを導入しても2012年度には8.7兆円に達し、受給者を拡大すれば、さらに1兆円の増加が見込まれます。
試算では、負担者の範囲を20歳代にまで広げれば、40歳以上の保険料を2012年度時点で月額200〜300円抑制できると推計しています。
64歳以下の保険料は会社員や公務員が労使折半で、自営業などは国が半分を負担しています。厚生労働省は40歳未満に広げた場合も、事業主などが半分負担することを見込んでいます。
全ての障害者を介護保険でカバーすることの是非を巡る議論もあり、20歳以上に被保険者を拡大した場合は、事業者にも半額の負担が加わることになり、産業界からの反発も予想されます。