以下のページは、Mainichi Communications Inc.が発行しておりました「ウィンドウズ・インターネット第3号」に掲載された内容を、同誌のオンライン版より転載させていただいております。 「ウィンドウズ・インターネット」誌は、現在休刊となっており、オンライン版も、毎日コミュニケーションズのホームページ上からも削除されております。 このページは、福冨忠和氏の本文と井手県議のアンケートの回答を掲載いたしました。 ご意見、ご質問等はWeb管理者の井手までよろしくお願いいたします。 |
1)HP名称:ホットラインfromひたち http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/index.htm
2)県議会議員のため、今回の選挙には直接関係がない。政治活動にHPは大いに活用するが、選挙活動にHPを使う考えは全くない。あくまでも、HPは議員の情報公開のツールであり、宣伝の媒体ではないと思う。
3)いっさい変更はない。ただし、総選挙の焦点となった「消費税」に関しては、特集のページをアップした。現在50通以上のmailをいただき、消費税の引き上げについて様々な方と論戦? を交わしている。
http://www.jsdi.or.jp/~y_ide/syo_presen.htm
4)公職選挙法とインターネット情報についての私見(1996/4発表)
インターネット利用が、政治の世界でも急ピッチで進んでいる。私のようにホームページを持って、意見や情報の発信をしている議員も多い。政党のホームページが次々と公開されている。
しかし、公職選挙法との関連で大きな課題があることを見逃してはならない。わが国の公選法が、インターネットを選挙運動に利用することを禁止しているためだ。公選法142条は、選挙運動に利用できる「文書図画」としてポスターやハガキ、ビラ、選挙広報などを列挙し、それ以外を禁止している。
自治省選挙課は「選挙期間中であるかどうかに関わらず、インターネットで選挙運動や立候補予定者のPRはできない」という公式見解にたっている。
新聞や政党機関誌など定期刊行物なら可能な公認候補の紹介も「ホームページは定期刊行物ではないので、法律違反の可能性がある」ともいわれている。
その反面、「政治活動にインターネットを使うのなら、選挙期間中でも問題ない」という自治省の見解もある。
どこまでが政治活動で、どこまでが選挙運動なのか、厳密に区分けするのは容易ではない。自治省は、明確なガイドラインを示す必要がある。
さて、諸外国の状況はいかがなものであろうか。
わが国で禁止されているインターネットを利用した選挙運動は、海外主要国では原則自由で規制は見られない。
アメリカでは、11月の大統領選に向け各陣営が盛んにホームページを利用。「史上初のインターネット選挙」といわれるほどの過熱ぶりだ。
イギリスでは、野党の自民党がマルチメディア利用に最も熱心であり、パディ・アッシュダウン党首自身が、市民との電子メール交信に励んでいるといわれている。
ドイツも、3月の州議会選挙で選挙運動に利用され、各政党がホームページを開設している。同じく、3月に総選挙があったオーストラリアでは各党がホームページで火花を散らした。このように、インターネットを利用した選挙運動は、何の規制も加えない、自由が大原則なのである。
私は、日本でもこの原則を定着させるべきだと主張する。
従来の選挙運動に利用できる「文書図画」、つまりポスターやハガキ、ビラ、選挙広報は、その情報を必要としない人にも送りつけられる可能性がある。テレビやラジオ、新聞等のマスコミも同じ性質がある。こうしたメディアは、公選法での規制の枠がはめられてもいたしかたないと感じる。
しかし、インターネットというメディアは、その情報を得る人は積極的、能動的アクションを起こして、初めてその情報が得られるわけである。インターネット上の情報は、ほしい人が、ほしい時にアクセスしてくるのである。こうした、インターネットの本質を無視した、規制論には大きな矛盾を感ずるのである。
日本でもホームページ上の活発な政策論争を期待するものである。
5)ネットワークデモクラシーという特別なものがあるとの感覚は持ち合わせていない。政治家にとって自らの主張を、有権者に伝えることは、権利と言うよりも義務である。政治家が自らの職能で得られた情報を独占することは許されない。その情報の所有者は、本来国民(県民)であるはずだから、あらゆる媒体を使ってその情報を公開する義務が発生すると考えている。そしてその媒体のうち、私にとって、最も有効な媒体がインターネットであったと言うことだ。
6)電子投票のような電子ネットワークを利用した政治参加への道は今後検討されるかもしれないが、当面は無理があると思う。
7)
@電子ネットワークを利用した在外者投票について
電子投票が最初に利用されるとしたならば、外国在住者の投票であると思う。電子マネーの技術を応用した本人確認のシステムが一般化すれば、いち早く実用化されると思う。しかし、公職選挙法の改正などの環境整備の方が時間がかかるかもしれない。
8)私は、地方議員では数少ないHPを開設している県議会議員です。一昨年の12月に初当選した一年生議員ですが、地域での情報基盤整備に全力投球をしています。
私が、インターネットを中核とする地域情報システム整備の重要性を強く訴える理由は、以下の5点に要約される。
その第1は、情報公開の推進である。
地方における民主主義とは、住民のより多くが納得できる行政を進めることである。そして、その前提条件として、住民ひとり一人に充分な情報の提供がなされていることが不可欠である。
しかし、その地域の情報は、あまねく住民に知らされているであろうか?
いわゆるマスコミの発する情報は、国民の大多数に普遍的な内容に偏っている(偏っているという表現は不適切かもしれないが)。国際状況や、国会の審議の内容は、新聞の一面を飾り、テレビのニュースで広く紹介されるが、我が町内の下水道の改修計画を教えてくれるメディアはまずないだろう。新聞の地方版は、多くて2ページ、通常は1ページである。よく漫才のネタにされるが、犬が人に噛みついても記事に取り上げられることはなく、人が犬に噛みつくような非日常的な記事しか掲載されないのである。地域に住む住民にとって、当たり前の情報を知らせてくれる機会は余りにも少ない。
そういった意味では、地方行政にあっては、その情報公開の度合いはここ50年来余り変わっていないといっても過言ではないだろう。
地域のローカル紙や県域ラジオ・県域テレビ・ケーブルテレビにその役割を求める声があった。特に、県域テレビの可能性を主張する方も多い。現に、私も県会議員選挙に立候補するときの公約に、県域テレビの実現を考えたこともあった。
しかし、冷静になって考えてみると、県域テレビやケーブルテレビが一日に流す報道番組の時間はどのくらいの長さになるであろうか? ケーブルテレビの多チャンネル形式は別として、最大でも5時間程度であろう。その中で、知りたい情報を全て流すことができるであろうか。
また、最大の悩みがある。地域の問題は、ある地域の人には生計をも左右する重要問題であるが、その他大勢の人にとっては、全く価値のない話題なのである。
先ほどの下水工事のニュースなど隣の町内の人にはまず関心がない問題である。そうなれば、たとえ県域テレビ、ケーブルテレビといっても取材し、報道するニュース価値は余りにも低いものになってしまう。
その上、そんな小さな情報、または専門的で個人的な情報を報道されても、受け手である住民も困るのである。
オン・デマンド(ON DEMAND)という言葉があるが、このての情報は、まさにオン・デマンド「必要な人が、必要な時に、自由に入手できる情報」でなくてわならない。この意味で、インターネットはまさにオン・デマンドを実現する媒体である。Aさんの母親が突然倒れ、在宅の福祉サービスを受けたいとする。家庭で、役所の窓口で、プライベートに使用しては上司に注意されるかもしれないが、職場のパソコンで、サーチエンジンに「在宅福祉」と入力する。自分が住む町の名前も合わせて入力しよう。すると、在宅福祉サービスのメニューが表示される。「昼食の配達サービス」の項目を選び、クリックする。曜日や、内容を選択し、登録をする。もちろんパソコン上で、サービスの申し込みを市役所にすることができる。しばらくすると、電子メールが市役所から届く。「何月何日から昼食の宅配サービスを開始します」。といった具合である。
この二つの例は夢物語ではない。少なくても、ここ10年で構築しなくてはならないシステムである。
いつでも、誰でも、どのような情報でも、引き出せてこそ、真の情報公開である。 官僚や行政担当者、そして一部の議員が情報を独占する時代は代えなくてはならない。地方自治体の情報開示の方策としての、インターネット活用システムを作ることにより、真の地方民主主義、地方分権を育てることができる思う。
その第2点は、行政改革の推進である。
インターネットとイントラネットの項で述べたように、イントラネットをインターネット対応で整備することのメリットは多い。ここでは、行政改革の立場からそれを検証してみたい。
まず、縦割り行政の弊害を是正することができるという利点がある。
現在、茨城県では、いくつものデータベースが各部署毎に稼働している。衛生部の管轄では、健康科学センターが健康データベースや統計案内データベース。福祉部は、福祉施設データベースやボランティアデータベース・福祉制度データベースを福祉情報センターが統括している。農業総合センターでは、文献・統計・気象情報のデータベースを有している。
工業技術は、工業技術センターのデータベースに蓄えられ、生涯学習センターでは、生涯学習ボランティアの情報が集められている。
こうしたデータベースを一カ所で検索することは、現状では県庁内でもできない。その操作方法も、一つづつ違い、全てのデータベースを操作することができる職員は果たしているだろうか。
一つの端末から全ての情報が得られるメリット、統一された操作環境から得られるメリット。こうしたメリットは縦割り行政の敷居を次第に低くしていくのである。行政改革に果たす役割の2つ目は、その投資額の低さである。
専用のLANを構築することなくネットワークを構成できるイントラネットは、投資額が飛躍的に少ないといわれている。昨年来、話題となっているウィンドウズ95対応のパソコンであれば、電話回線を利用すればモデムを接続するだけで、ほとんど追加投資なしで端末機としては活用できる。ネットワークを整備する費用が大幅に圧縮できるのである。
更に、インターネット対応型イントラネットには大きなメリットがある。それは、設備を漸進的に整備できるという事である。専用LANの環境では、原則的にその設備は一挙に立ち上げる必要がある。こうしたシステムを全庁的に整備するとするならば、その投資額は莫大なものになろう。しかし、インターネット対応システムの場合は、できたところから、少しずつ進めていけばよいのである。WWWという統一方式で運用されたシステムであるから、その基本さえ忠実に再現していけば、臨機応変にシステムの拡張が可能となる。 現状の各部署毎のシステムは約5年周期で更新されている。したがって、各システムが更新時期に至ったときに、インターネット対応型に改変すればよい、単年度主義の自治体にとって、このメリットは大きいのである。
こうした、メリットにより行政改革の切り札としてのインターネットシステムの導入は是非とも実現させなくてはならない。
インターネットを中核とする地域情報基盤整備の第3の目的は、新たな産業基盤の創出である。
県が有する既存の情報ネットワーク上のデータを、より多くの県内企業が利用できるようにすることで、技術力、経営ノウハウ、人材紹介などの支援が可能となる。
また、県内企業の優れた商品、技術などを全世界に紹介するとができる。反対に、全世界からの情報を容易に入手することができるようになる。
様々な行政官庁への許認可申請や報告資料提出などをインターネット上で可能とすれば、民間企業の事務効率を飛躍的に向上させることになる。
また、こうした間接的なメッリトとともに、これから大いに発展が期待されるインターネット関連のプロバイダー事業者・ソフト業者への直接的なメリットも大きい。
とにかく著しい国際化の波は、規制緩和の大きな追い風を受けて茨城の地域経済に打ち寄せるであろうことは確実である。アメリカのメーカーが、EUの国の設計の商品を、中国の原材料を使って、製品を東南アジアで作り、最終的に茨城で販売する。といった国際的分業は日常茶飯事となる。
逆をいうなら、東京という今までの一極集中の都会から離れた地域であっても、世界という視野から見るならば、デジタル化された情報の距離で見るならば、世界の中心となっても何ら不思議ではない時代の到来である。
第4は、次代を担う青少年の教育に関する必要性である。
インターネットは、瞬時にして全世界の情報に接することができる。もし、子どもたちがその情報に触れれば、より深く、広い情報を自らの手で収集できる感激を知ることとなる。
まさに、教室は世界の窓口となるわけである。
更に、そうした情報の多くは英語を使ってやりとりされる。生きた英語教育がそこでは行われるだろう。インターネットでは、チャットと呼ばれる即時性のある電子メールのやりとりも可能である。
「こんにちは、日本の茨城県から発信しています」と、送信すれば、相手は「今晩は、ここアメリカのコロラド州では、深夜1時です」と返信してくる。こうした会話を楽しむこともできる。もちろん、英語で行われるわけであるが。更に、インターネットテレフォンは、インターネットを介しての音声電話や、テレビ画像電話をも可能にしようとしている(もちろん国際電話のような料金は必要としない、インターネットの接続のための市内通話料金とプロバイダー費用だけで通話できる)。英語の専任教師を教室に迎えることになる。
インターネットは、遠隔地の授業にも役立つであろうし、その双方向性は、教室から全世界に情報を発信することもできるようにする。
教室で拾得するであろう、インターネットに使用する言語(HTML言語)は、パソコンの機種に依存しない、インターネット対応型データベースが世界標準となれば、学校での授業の成果が、そのまま社会で通用する。学校で使っていたワープロが、社会に出たら全く役立たないといった時間と習得の労力の無駄遣いは限りなく解消されるであろう。
まさに、インターネットは青少年の世界への眼を広げる大きな武器となるに違いない。
そして、第5のポイントは、地域コミュニケーションのツールとしての活用である。
インターネットの優れた特性に、誰もが簡単に情報の発信者となれるということが挙げられる。
私は、あくまでも自分の住む郷土茨城、その中でも日立という地域にこだわっての情報をインターネットを使って発信しはじめた。日立に新しくできたインターネット接続業者(プロバイダー)と契約をし、「井手よしひろのホームページ」を開設したのだ。そのURL(インターネット上の住所にあたるもの)は「http://www/jsdi.or.jp/y~ide/index.htm」。これを入力すれば、全世界から私のホームページにアクセスできる。
このホームページを作るためのことばが「HTML」と呼ばれる。作り方は、そんなに難しくはない、ゴールデンウィークを挟んだ一週間で全くゼロの状態から、本を読みながらホームページを開設することができた。まさに、家庭から全世界への窓口を開くことができたのである。
永年こつこつと調べ上げた郷土史の研究を発表するホームページを作る人もいるであろう。趣味の短歌や和歌を全世界に紹介することもできる。ボランティアの情報も載せられる。就職活動もすでに個人のホームページ上で行っている学生もあると聞く。高齢社会の中で自分史の作成が静かなブームと聞く。せっかくの自分史である、インターネット上で発表してみたらどうだろうか。出版の費用は、ずっと少なくて済むし、ずっと多くの人に読んでもらえるかもしれない。
町内会の回覧板も変わるかもしれない、生活リズムの多様化から隣近所ともなかなか意志の疎通ができない場合も多い。回覧板が、電子メール化されれば、一瞬にして水戸市全体であろうとも、茨城全県であろうとも、大事な情報をもれなく伝えることが可能となる。
インターネットは、その誕生当初から、情報を流す人の実名が明示されてきたという特徴がある。新聞でのペンネーム、匿名記事や、パソコン通信でのハンドルネームでのやりとり、といったものは原則あり得ないのである。こうした、実名主義は、地域のネットワーク形成において、その責任を明確にし、健全なコミュニケーションづくりに貢献すると確信する。
インターネットは、まさに高度情報時代に対応した地域のコミュニケーションツールである。インターネットを中心に、新たな地域コミュニティーづくりが始まる可能性は高い。
また、非常時の利用も先の阪神大震災のその有効性が実証された。そもそも、インターネットの誕生の歴史を見ると、戦争という非常事態で、ある情報のラインが途絶しても、情報の流れを止めないですむシステムとして考案され、発展してきた経緯がある。
地震等の巨大災害に対して、被災者の状況や避難場所の紹介、緊急物資の状況等、時々刻々と情報を送ることができる非常時のコミュニケーション方法としても不可欠な存在である。
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