Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:y_ide@jsdi.or.jp) 最終更新日:1997/APR/15


  動燃は3月21日、茨城県に原子力安全協定に基づく「事故報告書(第一報)」を提出した。
 この報告書と事実との差違については、すでに3/21付けで
「事故発生直後の経過を動燃報告書から検証する」との表題で検証を加えているが、4/8に10:22の消火確認自体が虚偽報告であったことが明らかになった。
 その上で、動燃は4/15付けで報告(第1報)の一部修正を茨城県知事に提出した。以下その主要な部分を掲載する。

 

再処理施設アスファルト固化処理施設における
火災・爆発事故について

―火災に対して採った消火に係わる
処置の具体的な経緯及び事実関係についてー

 

1.発生日時   平成9年3月11日(火) 10時06分頃

2.発生場所   動力炉・核燃料開発事業団東海事業所
         再処理施設アスファルト固化処理施設

3.火災に対して採った消火に係わる処置の具体的な経緯及び事実関係

 アスファルト固化処理施設は、平成9年2月7日から開発運転を実施していた。
 平成9年3月11日(火)10時06分頃,操作区域(G115)内の作業員がアスファルト充てん室(R152)において火災が発生していることを目視により確認し、制御室(G218)に連絡した。操作区域(G115)及び制御室(G218)内にいた作業員がアスファルト充てん室(R152)のセル換気系の温度警報装置が吹鳴していることを確認した。ほぼ同時に、アスファルト充てん室(R152)内の監視カメラ(2台)からの画像が、白っぽくなっって見えなくなったことを(G218)の監視テレビで確認し、火災が発生していることを認識した。水噴霧消火の指示を受け、作業員は10時12分頃に操作区域(G115)内のバルブを手動開により水噴霧して消火作業を行い、10時13分頃にセル内を見たところ煙で真っ白であったが、火が見えなくなったことから火が消えていると認識し水噴霧を停止した。
 10時13分から10時18分にかけてアスファルト固化処理施設の、βダストモニタ(β−4,β−5,β−3,β−6)警報が吹鳴した。10時26分に第三低放射性廃液蒸発処理施設において、局所排気モニタのβダスト警報が吹鳴した。
 「換気系異常」のランプ点灯を確認した作業員は10時23分頃にアスファルト固化処理施設の換気系の全ブロワを自動運転モードから手動運転モードに切り替えることにより停止し、その後再起動を試みたがダンパ閉のため排風機能が回復せず排気ブロアを停止した。また,10時15分頃に設置した現場指揮所の指示(10時32分頃)により、当該施設の作業員は施設外に退避した(10時37分頃)。
 

4.報告書(第1報)との相違

報告書(第1報)の記載内容の内、火災の発生からアスファルト固化処理施設からの作業員の待避までにおけるアスファルト固化処理施設に係わる事項で、誤りもしくは追加等のあった記述は以下の通り。
4-1報告書(第1報)本文
報告書(第1報)においては、「10時22分頃に操作区域(G115)から,目視により消火していると判断した。」と記載しているが、この時刻に操作区域(G115)に入り消火の確認を行ったという事実はなかった。
(記述の誤りが発生した経緯)

10時20分頃、環境施設部長は、現場指揮所に関係職員に対して第1報の情報、「アスファルト固化処理施設のドラム缶から煙が出ている、水噴霧で火は消えた、火災かどうか確認中である。」の説明を行った。部長が発言した時刻10:22を含め、この内容が現場指揮所のホワイトボードに「10:22水噴霧で火は消えた、火災かどうか確認中である。」と記載された。その直後、現場指揮所に到着した同部技術課長はホワイトボードの記載を見て、これを事実と考え、事故発生連絡票(第1報)に「10:22水噴霧で消火した」と加筆し、事業所通報連絡責任者へ送付し、外部機関に送付された。その後、10時22分に消火の確認を行ったという事実はなかったことが明らかになったが、修正は行われなかった。その経緯の詳細は資料―3を参照。

 

5.添付資料(以下は動燃事業団のホームページにリンクしています)

 

図−1  再処理施設建家配置図
図−2  アスファルト固化処理施設 1階平面図
図−3  アスファルト固化処理施設 2階平面図
図−4  第三低放射性廃液蒸発処理施設 3階平面図
資料−1 事故発生直後の主な経緯
資料−2 アスファルト固化処理施設の概要及び当日の運転状況
資料−3 アスファルト固化処理施設建家及びセル換気系について
資料−4 被害等状況図
資料−5 環境モニタリング
資料−6 爆発後の措置

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