フロンガス分解処理装置・公明新聞に紹介される

 Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:y_ide@jsdi.or.jp)  最終更新日:1997/Oct/7


回収フロン・・・急がれる処理体制づくり

茨城県が新方式の装置導入

公明・井手幹事長ら推進役を果たす
公明新聞の記事  地球を取り巻くオゾン層を破壊するフロンガス。ここ数年、ようやく全国の自治体などで回収システムが確立されつつあるが、回収したフロンを分解処理する体制づくりは遅れており、その処理に困っているところが多い。そうした中、茨城県は県公害技術センター内にフロン分解装置を設置し、今月から、県内の自治体が回収したフロンの分解処理に乗り出し、注目されている。わが国で初めて「触媒方式」という新しい分解方式を取り入れており、都道府県レベルでの分解装置導入は全国で2番目。

 水戸市石川町にある県公害技術センターの一角。新設されたフロン分解装置は、縦1.5m×横3.0m×高さ2.2mで、重量約2t。当初は可般式のものとして開発されたという。回収した特定フロンをこの装置に入れて水を加え、新たに開発された触媒(酸化チタン)を通すと酸性ガスが発生。これをアルカリ溶液で中和することにより、白い汚泥状の無害物質(塩化カルシウムとフッ化カルシウム)に分解される。

 この方式は、400度の低温で99.99%のフロンを分解することが可能。処理システムが簡素化されていることが特徴だ。ダイオキシンの発生も抑えるよう工夫されている。同装置の処理能力は1時聞1kgで、1日に約6kg。装置は日立製作所が開発した。

 同県では、1994年度の神栖町を皮切りに、現在、県下全市町村の79%に当たる67市町村がフロンの回収を実施している。昨年度は合計615kgを回収したが、分解処理については県外の産廃業者に委託するしかなかったため、約400kgは市町村がボンベに詰めたまま保膏している。

市町村保管分の分解をスタート

 そこで県は、今年5月に市町村や家電、自動車メーカーなどと「県フロン回収推進協議会」を設置し、分解処理の在り方などを検討。まず県が分解装置を設置し、当面は市町村に保管されているフロンを処理していくことになった。

 公明茨城県本部では、柳堀弘・神栖町議が県内で初めてのフロン回収実現を推進して以来、各市町村での回収実現に尽力。鈴木孝治、井手義弘の両県議も、フロン回収の推進や分解装置の導入などを早くから県に申し入れるなど、推進役を果たしてきた。

フロン分解施設は全国でまだ17ヶ所

 冷蔵庫やエアコンの冷媒、クッションなどの発泡、エアゾールやスプレーなどの噴射剤として広く使われてきたフロンガス。

 地球を有害な紫外線から守っているオゾン層をこのフロンガスが破壊していることが明らかになったのは80年代。以来、国際的にフロン全廃への取り組みが進められているが、使用量が世界2位(世界全体の15%)の日本の対応は遅れている。

 ようやく昨年1月に特定フロンの生産・供給が全廃されたが、以前に生産された冷蔵庫やエアコンなどの廃棄については、法的な規制や罰則は全くないのが実情だ。省庁の指導等で回収を呼び掛けているだけ。

それでも、自治体や企業などのフロン回収への取り組みは徐々に進んできた。環境庁の調べでは、フロン回収を実施している自治体は、96年度末で全国の市町村の61.0%(1986六市町村)。97年度以降の予定を含めると77.3%になるという。

 また96年度に回収された家庭用冷蔵庫は約78万台で、ここから回収されたフロンは約54tと、いずれも前年の約2倍に増えている。

 ところが、分解施設がどれだけ導入されているかとなると、民間と自治体合わせて全国でわずか17施設にすぎない。自治体では今春に群馬県が設置したのが全国初で、茨城県がまだ2番目だ。フロンガスは通常の環境では破壊されない安定した物質であるため、単に回収するだけでなく、きちんと分解させることが重要だ。ところが分解の技術はまだ開発途上の感があり、その方式も高温で行うプラズマ方式や焼却方式、化学的熱分解方式などさまざまな方法がある。

 現在、回収・分解されているフロンは、冷蔵庫やエアコンの冷媒として使われているガス状のものがほとんどで、「断熱材など発泡体として使われているものからのフロン回収は非常に困難」(環境庁)。ほとんどがそのまま空気中に放出されており、こうしたフロンを使ったさまざまな製品の回収・分解技術の確立も今後の課題になっている。


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