Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:y_ide@jsdi.or.jp) 最終更新日:1998/APR/18
今,県の財政は大きな危機に直面しています |
県の財政は、平成9年度末には借入金である県債の残高が一兆円を超え、一方、預貯金に相当する基金は約540億円まで減少する見込みです。
また、このままの予算編成を続けるとすると、平成10年度以降毎年度約1千億円もの財源不足(赤字)が生じることが予想され、大きな危機に直面しています。このため、行財政運営全般にわたる抜本的な改革を行わなければなりません。
増え続ける県債(借入金),底をつく基金(預貯金) |
県では,これまで遅れている福祉や医療の充実,さらには社会資本の整備などを積極的に進めてきました。
しかしながら,バブル経済崩壊後の平成4年度以降は景気の低迷により県の自主財源である県税が減収となり,特に,平成5年度から7年度にかけてはピークであった平成3年度の9割まで落ち込みました。
この間,景気の回復を図るため,国と歩調を合わせ公共事業や減税などの対策を実施してきましたが,県税収入が落ち込む中,その財源を借入金である県債の発行と預貯金に相当する基金の取り崩しに頼らざるを得ませんでした。
この結果,県債の残高は,平成9年度末には,1兆円を超える見込みであり,これは県民一人当りに換算しますと約33万7千円にも相当します。今後,県債の償還金である公債費が増加していき,財政運営の大きな圧迫要因となってまいります。
一方,基金の残高も平成9年度末には約540億円(県民一人当り約1万8千円)まで減少する見込みです。
このままでは毎年度約1千億円もの財源不足(赤字) |
これまでの景気対策にもかかわらず景気の回復は依然として足踏み状態が続いています。県税収入は新たに導入された地方消費税を除くと平成九年度においてもピーク時の約3,500億円の水準まで回復し得ない見込みであり,今後とも大きな伸びは期待できない状況です。
一方,今後高齢化が急速に進行することが予想され,ますます医療や福祉などの需要が増えることが見込まれます。また,まだまだ遅れている下水道や道路,公園などの社会資本の整備も引き続き進めていかなければなりません。
このような中,今後の県の財政収支を試算しますと,公共投資を平成9年度予算と同水準に据え置いても,歳出の40%以上を占める人件費や県債の償還金など縮減することが難しい義務的経費の増加などにより,毎年度約1千億円もの財源不足(赤字)が生じます。平成10年度の不足額でさえも,基金(約540億円)では,到底補てんできない状況に至っています。また,県債の残高も増え続け,まさに県の財政は,大きな危機に直面しています。
区 分 | 平成9年度 | 平成10年度 | 平成11年度 | 平成12年度 | |
歳 入 うち県税収入 ・地方消費税 ・その他 |
10,452 3,586 284 3,302 |
11,100 4,300 800 3,500 |
11,100 4,400 800 3,600 |
11,200 4,600 900 3,700 |
|
歳 出 |
義務的経費 ・人件費 ・扶助費 ・公債費 |
4,736 3,405 467 864 |
5,100 3,500 500 1,100 |
5,100 3,500 500 1,100 |
5,400 3,600 600 1,200 |
投資的経費 | 3,636 | 3,900 | 3,700 | 3,500 | |
補助費等 | 1,168 | 1,600 | 1,700 | 1,700 | |
その他の歳出 | 1,481 | 1,500 | 1,500 | 1,500 | |
歳出合計 | 11,021 | 12,100 | 12,000 | 12,100 | |
財源不足額 | 569 | 1,000 | 900 | 900 |
○平成9年度は当初予算額で、財源不足額は基金の取り崩しで補てんする予定です。
○地方消費税は平成9年度に導入され、平成10年度に平年度化されます。
○平成10年度以降は、平成9年度当初予算を基礎として、過去の伸び率等を参考に試算しています。ただし、投資的経費のうち公共事業は平成9年度当初予算と同額としています。
■国においては、平成15年度(2003年度)までの財政健全化目標を定め、財政構造改革を進めています。 ・財政赤字対GDP比3%以下 ・赤字国債発行ゼロ 特に、平成10年度から12年度までの3年間を「集中改革期間」と定め、「一切の聖域なし」で歳出の改革と縮減を進めることとしています。 ・平成10年度公共投資予算を7%削減 ・地方公共団体などに対する補助金削減・合理化など ■一方、地方財政も全国的に厳しい状況が続いており、地方公共団体全体の借入金残高は平成9年度末で147兆円にのぼると見込まれ、各地方公共団体においても、財政健全化が緊急の課題となっています。 |
行財政改革を総力を挙げて推進します |
県では,これまでも平成7年度に「茨城県行政改革大綱」を策定するなどして,簡素で効率的な行政運営を目指し,行財政改革に取り組んできたところですが,この危機的な財政状況を克服し健全化していくには,これまで以上に強力に行財政改革を進めていかなければなりません。
○組織機構等の簡素・効率化,定員の抑制
組織機構等の簡素・効率化を徹底しながら,定員の抑制を図り,人件費の増加を抑えていくなどの県内部の改革を進めていきます。
○事務事業の見直し
県の歳出全般にわたる「聖域のない」見直しを行う必要があり,現在,すべての事務事業について,
・真に県民が求めている施策か,県民のニーズが変化していないか。
・県が本来行うべき事業か。
・目的に対して効果的・効率的に行われているか。
といった視点で見直しを進めています。
○公共事業の抑制,大規模建設事業の見直し
公共事業については重点化・効率化を図りながら抑制すること,また,大規模建設事業についても事業効果や事業規模などを再点検し,計画の見直しや先送りをすることについての検討を進めています。
行財政改革の具体的検討事項 ・事務事業の見直し(補助金の整理合理化を含む) ・公共事業の抑制 ・大規模建設事業の見直し 事業費が概ね10億円以上の建物などの見直し ・組織機構等の簡素・効率化 本庁部局や出先機関などの見直し ・定員の抑制 事務事業の見直しや組織機構等の簡素・効率化を徹底し,定員を抑制 |
(問い合わせ先)
茨城県総務部行政改革・地方分権推進室
TEL: 029−221−9732