朝日新聞 1998年11月14日号(12版・茨城県版) |
ホームページ・メール パソコンで支持獲得図る(98県議選)有権者と政治家が意思を伝え合う新たな手段として、県議の間でもここ二、三年、インターネットや電子メールを使う人たちが出てきた。「住民の要望に素早く対応できる」と指摘する議員がいる一方、「反応がほとんどない」とこぼす議員もいて、まだ評価は定着していない。しかし、増え続ける無党派層から支持を獲得するには、意見や実績をだれにでも知ってもらうことが必要で、「もうすぐパソコンが欠かせなくなる」と、県議たちは口をそろえる。来月十三日投票の県議選で、その効果は現れるのだろうか。「市道の補修改修をお願いいたします。要望箇(か)所は……」。知り合いの公明党県議から十月二十三日、電子メールが市職員に届いた。穴ができて水がたまり、通行人に危険な状態になっていたという。市職員は翌日、「二十七日以降になりますから、ご了承下さい」と、やはり電子メールで回答した。 県議は市道補修の要望を、選挙区内の有権者から相談を受ける「市民相談」で聞き、その直後に電子メールを送った。この四年間の「市民相談」の延べ件数は一千件弱。膨大な数の要望を効率よく処理する必要から、県や市の職員、市議、弁護士らとの連絡は、可能なかぎり電子メールを利用している。 ホームページも一昨年四月に開設し、選挙区内の道路計画など身近な情報のほか、介護保険、さい帯血バンク、化学物質過敏症など社会全般にかかわる調査結果を載せてきた。とくに関心の高いのが介護保険問題で、県内外から電子メールで反響が寄せられている。 神奈川県の自民党県議からは「介護保険について教えてほしい」といったメールが届き、情報交換を始めた。ほかの人がこのページを見た回数を示すヒット件数は先月、三万件を上回った。
県議会広報委員会は昨年七月、兵庫県議会のホームページの作成、更新作業を視察した。四カ月後、議会の審議内容を公表するホームページを開設した。ただ、一般質問などの発言者名は記載しないので、議員個人の活動内容は分からない。
県南地域の自民党県議は一昨年五月、個人のホームページを開設した。「目につく事業は市町村主体の場合が多い。有権者が県政のことを『別の世界』と思っているのでは」と感じたのがきっかけで、有権者との溝を埋める方法の一つだという。自分の一般質問の詳しい内容などを収録しているが、有権者が電子メールで意見を寄せることはほとんどない。「まだ一般化していないのだろう」と、反響は気長に待つつもりだ。
県央地域の自民党県議も三年前にホームページを開設した。今年になってようやく、感想や意見の電子メールが月に一、二本届くようになった。選挙が近づいたせいか、「がんばって下さい」「業界へのご支援をお願いします」などのメールもあるという。 この県議は、宣伝効果のある電子メディアを自民党が活用するべきだと主張する。「保守はピーアールが下手。参院選で自民党が負けたのは、取り組みが対組織に限られていたからだ。景気対策などで何をしているのか一般の有権者に知ってもらえるように、インターネットなどで対国民の取り組みをするべきだ」
【写真説明】 ☆参考の記述は、HPの管理者の責任で付加しました。
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