平成12年第1回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明に先立ち、県政運営に関する所信の一端を申し上げます。
第1 県政運営の基本方針 激動の20世紀を締めくくる本年は、新しい千年紀(ミレニアム)の幕開けでもあります。この大きな節目の時、世界は歴史的な転換期を迎えており、あらゆる情報が瞬時に地球規模で飛び交う情報技術革命を背景に、急速なグローバル化が進展し、まさにボーダレスな大競争時代の真っ只中にあります。
こうした世界の大きな潮流のなかで、我が国においても、新しい時代のシステムづくりに、懸命の取り組みがなされております。
規制緩和、金融改革、産業再生、中央省庁再編など一連の改革は、いずれも従来の規制・裁量型の仕組みから世界共通のルールで競い合うシステムヘの変換を図る試みであり、戦後の経済成長を支えてきた日本型経済社会システムを全般にわたり、根底から変革しようとするものであります。
このように、21世紀を目前にして、日本再生への道筋が着々と描かれつつあり、我々地方公共団体にとっても、本格的な地方分権制度がいよいよこの4月からスタートし、地方の時代の幕が切って落とされようとしております。
これからは、地方自らの選択と責任の下で、主体的な行政遵営や地域経営を行うことが求められ、地域間競争の時代に突入してまいります。
一方、こうした内外の激しい変革のうねりのなかで、本県は今、かつてない厳しい試練に直面しております。長引く景気低迷により県財政は危機的状況に瀕し、財政再建団体への転落も想定せぎるをえない状況にあります。加えて、昨年の原子力臨界事故は、これまで原子力発祥の地として歩んできた本県のイメージを著しく低下させ、今なお社会経済の様々な面に大きな影響を残しております。
私は、この困難な状況を一日も早く克服するため、県議会や県民の皆様のご理解をいただきながら、行財政改革など喫緊の課題に全力を傾注して取り組み、21世紀に向けて郷土いばらきの明るい展望を切り開いてまいりたいと存じます。
幸い本県は、全国でも有数の発展可能性を持っております。そして、この可能性を現実のものとするための基盤整備が着実に進展してきており、21世紀の早い時期には県土の骨格が出来上がってまいります。私は、その時こそ、必ずや日本をリードする「茨城の時代」が到来するものと碓信いたしております。現在、県計画の改定作業を進めておりますが、この秋頃を目途に新たな県政運営の指針として決定し、県民の皆様に、今後の茨城づくりの方向や実現に向けた施策などをお示ししてまいりたいと考えております。
また、本年は、徳川光圀公没後300年・斉昭公生誕200年という記念すべき年であります。
進取の気概に溢れ、学問から食生活まで万事に旺盛な好奇心を有し、今なお黄門さまの名で庶民に親しまれている光圀公、波瀾万丈の時代にあって藩政改革に辣腕を揮った斉昭公、本県の歴史に燦然と輝く2人の名君の業績に思いを馳せつつ、この機会をとらえ、キャンペーンや各種イベントなどにより、本県のイメージアップに努めてまいります。
〔予算編成の基本的考え方〕 次に、県政の当面する重要課題及び平成12年度予算編成に当たっての基本的な考え方について申し上げます。
まず第1に、景気・雇用対策への取り組みであります。
豊かな県民生活と活力ある地域社会を築いていくためには、今持ち直しの兆しのある景気を確かな回復軌道に乗せ.雇用の安定を図ることが何よりも重要であります。
このため、昨年9月に、3年間で7,000人の雇用創出を目標とする緊急雇用対策を決定するとともに、12月には、国の経済新生対策と連携した過去2番目め規模となる経済対策を弾じ、着実にその執行を図っているところであります。
来年度予算の編成に当たりましても、厳しい財政状況のなかではありますが、社会資本の整備や中小企業対策、雇用対策などを中心に、出来る限りの予算措置を講じたところであり、先の12月補正予算と一体的に捉え、いわゆる15か月予算の考え方の下、年度間で切れ目のない執行を図り、当面の景気・雇用対策に全力で取り組んでまいりたいと存じます。
第2は、行財政改革及び地方分権の推進であります。
今日の財政危機を一日も早く克服し、21世紀に向けて確固たる行政運営体制を確立するためには、行財政改革をより一層強力に推進していくことが必要であります。
このため、今般、行財政改革大綱を見直し、改革の推進期間を2年間延長して平成14年度までとし、事務事業の見直しや定員適正化をさらに進めるとともに、地方税の広域的な徹収体制の確立や県有未利用財産の売却推進など歳入確保対策にも力を入れてまいります。
また、併せて財政再建プランを策定し、平成14年度までの3年間に見込まれる巨額の財源不足を解消するための具体的方策と目標額をとりまとめたところであります。
今後は、この大綱及びプランに沿って、不退転の決意で行財政改革を成し遂げ、何としても財政再建団体への転落を回避するとともに、分権時代に相応した行財政基盤を構築してまいりたいと存じます。
一方、地方分権につきましては、いよいよこの4月から地方分権一括法が施行され、県や市町村の役割と責任が一層増大してまいります。
県といたしましては、一連の制度改正に的確に対応するとともに、簡素で効率的な行政システムの確立や職員の政策形成能力の向上などに努めてまいります。特に、市町村合併につきましては、国の指針に基づき、合併パターンを含む市町村合併推進要綱を早期に定め、地域における議論の活発化、気運の醸成を図ってまいります。
第3は、少子・高齢社会に向けた福祉、医療体制の充実であります。
21世紀、我が国は少子・高齢社会が本格化するとともに、人口が減少に転じるという、いまだかつて経験したことのない時代に突入いたします。
こうしたなか、4月から介護保険制度がスタートいたしますが、実施主体である市町村と連携し、制度の円滑な運営に万全を期してまいりますほか、来年度を初年度とする高齢者保健福祉計画の策定を現在進めており、新たな視点での保健福祉施策の充実に努めてまいります。
また、地域ケアシステムにつさましても、介護保険制度とめ整合性を図りつつ再構築し、全国に誇れる茨城型福祉の実現を目指してまいります。
一方、少子化対策につきましては、新たに、2人以上の乳幼児を持っ母親を対象とする子育て支援制度を創設するなど、安心して子どもを産み育てられる環境づくりを一層推進するとともに、中長期的な観点に立った少子化対策指針を策定してまいります。
医療面では、地域の中核となる病院の整備を推進するほか、県民誰もが身近なところで適切なリハビリテーションが受けられるよう、県立医療大学付属病院を中心に地域リハビリテーション体制の構築を図るとともに、健康寿命を出来るだけ延ばすため、県民総ぐるみの健康づくり運動を展開してまいります。
第4は、21世紀のいばらきを担う子どもたちの健全育成であります。
未来の担い手である子どもたちが心身ともに健やかに成長することは、本県の将来の発展のみならず.今後我が国が国際社会の中で大さな役割を果たし、確固たる地位を築き上げていくための基本であります。
このため、ティーム・ティーチングの積極的な活用など、多様な教育活動を推進し、児童生徒一人一人の個性を尊重しながらこころ豊かでたくましい人材の育成に努めてまいります。
一方、近年、少子化、核家族化など子どもを取り巻く環境が大きく変化するなかで、学級崩壊、いじめや不登校、青少年の非行や児童虐待などが深刻な社会問題となっております。
こうしたなかで、今後は、学校、家庭、地域社会が連携し、地域全体の教育力を生かしていくことが極めて重要になってくることから、地域に開かれた学校づくりを推進するとともに、地域社会における体験学習などを学校教育に積極的に採り入れ、地域ぐるみで子どもたちの健全な育成を図ってまいります。
第5は、安全で安心できる生活環境の創造であります。
昨年、JCOウラン加工施設で発生した原子力臨界事故は、国内初の犠牲者と多数の被ばく者を出し、内外に大きな衝撃を与えました。
県といたしましては、先の第4回定例会において、総額88億円を超える原子力防災・安全対策を講じるとともに、JCO臨界事故補償対策室を設置し、風評被害等に係る県民の補償問題に対処してきたところでありますが、引き続き来年度予算におきましても、事故の厳しい反省と教訓を踏まえ、原子力防災計画の見直しを進めるなど、対策の一層の充実強化を図ってまいります。
また、地球環境問題は、私たち一人一人の社会経済活動に深く関わっているものであり、自らの責任として取り組むべき極めて重要な課題であります。
このため、県自らが消費者・事業者の立場に立ち、日常業務の中で率先して省エネルギー・省資源等に取り組み、環境への負荷の少ない資源循環型社会の実現を目指してまいります。
さらに、引き続き、ダイオキシンや産業廃棄物対策の充実強化を図るとともに、県の真重な財産である霞ケ浦の水質浄化に取り組むなど、郷土いばらきの豊かな自然環境を21世紀に引き継ぎ、県民が安心して暮らせる環境づくりに努めてまいります。
第6は、活力と創造性に富む産業社会づくりであります。
農林水産業をめぐる情勢は、食料・農業・農村基本法の施行や米輸入の関税化への移行、さらには、次期WTO交渉の開始など大きな変革期を迎えております。
県といたしましても、こうした情勢の変化に的確に対応しつつ、生産性の高い農業の実現に向けた取り組みや産地間兢争に打ち勝つ園芸県づくりを進めるとともに、林業の担い手育成やつくり育てる漁業の一層の推進を図るなど、魅力とやりがいのある、活力に満ちた農林水産業の確立を目指してまいります。
また、国際化の進展や価格競争の激化など中小企業の経営環境が厳しさを増しているなかで、昨年12月、中小企業基本法の改正により、小回りのきく中小企業の強みが評価されるとともに、ベンチャー企業などの創業や経営革新への支援がますます重要となってきております。
こうしたなか、本県の開業率は全国的にも低い状況にあることから、県内の産業支援機関のネットワーク化により、企業が必要とするサービスを総合的に提供する「いばらさ未来産業プロジェクト」を推進するなど、創造性や自立性に富み、競争力のある足腰の強い中小企業を育成してまいります。
第7は、明日のいばらきを築く発展基盤の整備であります。
郷土いばらきを「かがやく未来」へと導き、「新しいゆたかさ」を実現していくためには、発展基盤の整備が不可欠であります。
本年は、北関東自動車道が常磐自動車道につながるとともに、首都圏中央連絡自動車道で県内初の工事が始まりますほか、常陸那珂港の外貿ふ頭が供用開始されます。
また、百里飛行場の民間共用化についても、待望の事業着手が決定されるなど、県土発展の基盤づくりか大きく進展してまいります。
今後とも、交流の時代といわれる21世紀を茨城の時代とするため、陸・海・空の広域的な交通ネットワークなど、社会資本の整備に積極的に取り組んでまいります。
第2 予 算 次に、予算について申し上げます。
本県の予算編成の前提となる国の予算は、改善傾向にある景気を本格的な回復軌道に繋げていくため、経済運営に万全を期すとの観点に立ち編成されたところであり、一般会計予算め総額は84兆9,871億円、対前年度比3.8パーセントの増、また、政策経費であります一般歳出についても、対前年度比2. 6パーセントの増と、積極型の予算となっております。
一方、地方公共団体の予算編成上の指針であります地方財政計画をみますと、歳出のうち公債費等を除いた地方一般歳出が、対前年度比0.9パーセントの減、このうち、投資的経費については.補助事業で対前年度比2.7パーセントの減、地方単独事業で対前年度比4.1パーセントの減となっており、経費全般について徹底した節減合理化を推進する一方、経済新生対策への対応や少子・高齢社会に向けた地域福祉施策の充実など、当面する重要課題に積極的に取り組むこととされております。
次に、本県の平成12年度当初予算について申し上げます。
まず、来年度の財源見通しであります。歳入の中心であります県税収入につきましては、郵便貯金の集中満期到来により、県民税利子割の臨時的な増収が見込まれるものの、企業収益や個人所得の減、さらには恒久的減税の平年度化の影響により、法人2税や個人県民税などを中心に、11年度当初予算額を約50億円程度下回るものと予想され、前年度当初予算に比ベ1.5パーセントの減と見込んでおります。
特に、法人2税につきましては、前年度当初予算に比ベ13.4パーセント減の約737億円と見込まれ、ピークであった平成3年度の約1,500億円の半分にも満たない額となっております。.
こうした地方公共団体の大幅な財源不足に対応し、国において、地方交付税の増額や財源対策債の増発などによる地方財政対策が講じられ、本県においても交付税の増などが見込めますものの、一般財源総額としては、ほとんど伸びは期待できない状況となっております。
こうしたことから、今回の予算編成におきましても、一般財源基金を、250億円取り崩し、所要の財源を確保したところであります。
なお、各種使用料・手数料につさましては、社会経済情勢の変化等を踏まえ、受益者負担の適正化を図る観点から、所要の見直しを行うこととしております。
また、歳出につきましては、こうした厳しい財源状況を踏まえつつ、財政再建プランに基づき、徹底した事務事業の見直しに取り組み、一般行政施策につきましては、対象経費の約21パーセントの削減を図るとともに、県単公共事業につきましても、15パーセントの事業費の縮減を図ったところであります。一方、景気の動向に配慮し、国補公共事業につきましては、地方財政計画の投資的経費における補助事業の伸び率及び国直轄事業における本県の所要見込額を勘案して措置いたしたところであり、先の12月補正と合わせた、いわゆる15か月予算べースでは、前年度当初予算に比べ約22パーセントの伸びとなっております。
また、緊急雇用対策として、総額約21億円を計上いたしましたほか、福祉・医療や環境、教育などの分野を中心に施策の充実を図ったところであります。この結果、平成12年度一般会計予算の総額は、1兆755億7,300万円となり、前年度当初予算に比べ、0.1パーセントの減となっております。
また、特別会計は17件で、総額1,411億900万円となり、5.6パーセントの減、企業会計は5件で、総額874億6,200万円、8.3パーセントの減となっております。
なお、債務負担行為は、一般会計で新規42件、特別会計で新規7件、企業会計で新規4件であり、その内容は、建設工事の請負契約などであります。
次に、平成12年度の主な施策について申し上げます。
まず第1は、誰もが健やかに暮らせるやすらぎに満ちた社会づくりについてであります。
少子・高齢社会や男女共同参画社会への対応 まず、高齢社会への対応といたしましては、介護保険制度の円滑な実施に向けて、介護の基盤となる施設の整備や人材の確保を図るとともに、市町村保険財政の安定した運営を支援するため、介護保険財政安定化基金を創設するほか、制度の仕組みやサービス内容等に係る住民からの相談に応ずるため、市町村や病院に介護保険相談員を配置するなど、対応に万全を期してまいります。
また、明るい長寿社会に向けた生きがいづくり活動を広く県民運動として展開していくため、「高齢者はつらつ百人委員会」を設置いたします。
少子化対策につきましては、新たに、複数の乳児・幼児を持つ母親が安心して乳児の子育てに専念できるよう、1歳から5歳までの上の子どもを預かる子育てママ支援預かり保育事業を創設するとともに、これまで市町村保健センターや公民館等を活用して親子の交流・相談の場を提供してまいりました子育て広場推進事業を、民間保育所でも実施できるよう拡大してまいります。
また、若い世代自らが少子化問題を議論する懇話会を開催し、そこでの提案等を踏まえ、少子化対策指針を策定してまいります。
さらに、子育て家庭の経済的な負担の軽減を図るため、児童手当の支給対象年齢を現行の3歳末満から義務教育就学前までに拡大してまいります。
男女共同参画社会の実現を目指す取り組みといたしましては、昨年施行された男女共同参画社会基本法を踏まえ、広く県民の皆様のご意見等をいただきながら、県としての男女共同参画計画づくりや条例制定に向けた検討を進めてまいります。
福祉コミュニティづくりと福祉サービスの充実 地域福祉の推進につきましては、福祉・保健・医療の連携による総合的なサービスを提供する本県独自の地域ケアシステムについて、身体障害者・知的障害者や介護保険の対象とならない高齢者に加え、精神障嘗者や難病患者の方々も幅広く取り込むなど、介護保険制度導入を機に見直しを行ってまいります。
茨城町で進めている、やさしさのまち「桜の郷」整備事業につさましては、中核的な施設となる国立水戸病院の移転整備が国の来年度予算案に盛り込まれたところであり、バリアフリーに配慮した人にやさしいまちづくりのモデルとなるよう、引き続き整備を推進してまいります。
また、新たに、民間資本を活用して高齢者向け賃貸住宅の整備を促進する市町村に対し助成をしてまいります。
さらに、最近、児童虐待が深刻な社会問題となっていることに鑑み、新たに、児童相談所に専門員を配置するとともに、学校をはじめとする関係機関の連携を図るための市町村ネットワークを構築するなど、地域ぐるみで児童虐待の早期発見、未然防止に取り組む体制を整備してまいります。
また、障害者福祉を推進するため、老朽化の著しい内原厚生園につきまして、県立コロニーあすなろへの移転改築に向けた実準設計を行ってまいります。
健康づくりと保健・医療の充実 次に、医療体制の充実についてであります。
中核的医療施役の確保を図るため、整備を進めてまいりました行方地域中核病院が本年6月に開院の運びとなりますほか、龍ヶ崎地域における中核病院の整備に対し助成を行い、地域医療体制のさらなる充実を図ってまいります。
また、新たに、県立医療大学付属病院を含めた県内リハビリ関係機関によるネットワークを構築し、患者がその症状に応じ、身近なところで効果的なリハビリテーションが受けられる体制を整備してまいりますとともた、医療大学付属病院と市町村保健センター等をテレビ会議システムで結び、リハビリの遠隔訓練指導等を行うモデル事業の充実を図ってまいります。
さらに、高齢になっても自立した生活が送れるよう、健康寿命を出来るだけ延ばすため、県民の健康づくりを総合的に支援する「健康いばらき21」計画を策定し、県民総ぐるみの健康づくり運動を展開してまいります。
第2は、ゆたかさを実感できる安全快適な生活環嶺づくりについてであります。
安全な県民生活の確保 まず、原子力防災・安全対策でありますが、引さ続き住民の健康診断や心のケア相談を実施するとともに、国の安全審査指針の見直しなどを踏まえ、原子力防災計画を全面的に改定するほか、県、関係市町村が、施設の立入調査や事故発生時に迅速・的確な対応ができるよう、原子力施設安全調査員制度を創設いたします。
また.新たに、国の交付金を活用して原子力安全等推進基金を創設し、今後の原子力安全対策の充実や地域振興に役立てていくほか、引さ続き、県民に対する原子力知識の普及に努めるとともに、観光や農畜水産物、企業誘致などについてのPRを積極的に展開し、県のイメージアップを図ってまいります。
次に、市町村における消防施設の整備促進を図るため、新たに、鹿島南部地区消防事務組合が行う消防艇の整備に対し助成してまいります。
交通安全の推進といたしましては、本年4月から着用が義務づけられるチャイルドシートの着用促進に向けた普及広報活動を強化してまいります。
県民主体の地域社会づくりと環境の保全 誇りと生きがいの持てる地域社会を創りあげていくためには、県民一人一人が主体性をもって地域社会が直面する課題に取り組んでいくことが必要であります。、このため、引き続き大好きいばらき県民会議の活動を支援するとともに、昨年11月から三の丸庁舎に開設している交流サルーンいばらきを拠点として、NPOやボランティアなど様々な団体の地域活動を支援してまいります。
また、本年6月にオープンする鹿島セントラルビル新館に鹿行パスポートセンターの出張窓口を開設し、県民サービスの向上を図ってまいります。
地球環境の保全につきましては、昨年施行された地球温暖化対策の推進に関する法律に基づき、県が排出する温室効果ガス抑制のための実行計画を策定するほか、県の出先機関をモデルとして、環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001の認証取得を目指してまいります。
霞ヶ浦の水質浄化につきましては、下水道の整備などの生活排水対策を中心に、計画的、総合的な水質保全対策を進めるとともに、引き続き、産学官の共同研究事業による新たな水質浄化技術の開発に取り組んでまいります。(仮称)霞ヶ浦環境センターにつきましては、用地取得に向けた所要の調査や手続き等を行ってまいります。
快適な生活環境施設の整備 県民誰もがゆたかさを実感できる快適な生活を送るため、引き続き、生活道路や上下水道などの基礎的な社会資本の整備を進めてまいります。なお、下水処理場から発生する汚泥の効率的な処理とリサイクルを推増するため、今後汚泥発生量の増加が見込まれる県西地区において、広域汚泥処理施設の整備に向けた基本計画を策定してまいります。また、県民の皆様が霞ヶ浦の自然により一層親しめるよう、来年度から、新たに霞ヶ浦自転車道の整備に着手いたします。
ダイオキシン対策につきましては、本年1月に施行されたダイオキシン類対策特別措置法を踏まえ、大気、水質、土壌等のモニタリング調査を県下全域で実施するなど、監視体制の拡充を図るとともに、産業廃棄物焼却施設等の排出源の実態調査や規制指導の徹底などにより対策の充実強化に努めてまいります。また、産業廃棄物につきましては、引き続きボランティア監視員の活用などにより、県民総ぐるみで不法投棄の根絶を目指してまいりますほか、平成13年度を初年度とする第6次の産業廃棄物処理計画を策定してまいります。
第3は、個性と創造性に富むこころ豊かな人づくりについてであります。
学校教育の充実 学校教育につきましては、各分野で優れた技術や専門的な知識を有する社会人の活用や複数の教員が協力して学習指導に当たるティーム・ティーチングの拡充を図るなど、創意工夫を生かした特色ある教育活動を推進してまいります。最近大きな社会問題となっている学級崩壊につきましては、授業の成立が困難な学級を抱える小学校に対して、新たに、経験豊かな退職教員などを非常勤講師として派遣し、学級運営の改善を図ってまいります。
また、学校、家庭、地域社会が連携し、地域全体の教育力を生かして子どもたちの健全な育成を図っていくため、新たに、学校運営に地域住民等が参画するとともに、学校開放講座の開設や学校施設の開放を進め、地域に開かれた学校づくりを推進してまいります。併せて、子どもたちが、家庭や地域社会の中での様々な体験や活動を通じて、責任感や自立心などを身につけていけるよう、新たに、小学1年生全員を対象とした「お手伝い・ボランティア奨励事業」や、小学5年生が、自分たちの住む地域を再発見するために活動や交流を行う「ふるさと発見事業」、さらには、中学2年生が職場体験等を行う「中学生社会体験事業」を始めることといたしております。
障害児教育の推進につきましては、不足教室の解消に努めるとともに、今後の養護学校の整備のあり方について調査検討を進めてまいります。
私学教育の振興につきましては、厳しい財政状況のなかではありますが、私立高等学校や幼稚園等の経常費、あるいは私立幼稚園退職基金財団の基金積立に対する助成を拡充するなど、私学教育の一層の充実を図ってまいります。
生涯学習とスポーツ、文化の振興 生涯学習の推進につきましては、平成13年3月の開館を目指して県立図書館の整備を進めますとともに、三の丸庁舎における水戸生涯学習センター分室、茨城大学公開溝座、NHK文化センター水戸教室などを活用し、多様な学習機会の提供に努めてまいります。
スポーツの振興でありますが、ワールドカップにつきましては、昨年、大会期間や大陸別予選組合せが決定されるなど、2002年大会が実質的にスタートを切ったところであります。また、インターハイにつきましても、来年度は準備委員会が実行委員会に改組されるなど、開催準備がいよいよ本格化してまいります。
この2002年に行われる2つのビッグイベントを成功に導くため、大会に向けた気運の醸成を図るほか、引き続き、それぞれの会場施設の整備を進めるとともに、大会運営などソフト面の対策についても万全を期してまいります。
文化活動の推進につきましては、笠間芸術の森公園内に整備を進めてまいりました茨城県陶芸美術館が、本年4月15日にオープンいたしますが、開館を記念して「人間国宝展」を開催するなど、県民の皆様をはじめ多くの方々に親しまれる施設として本県の文化振興や地域振興に役立ててまいります。
第4は、新しい魅力と活力あふれる産業社会づくりについてであります。
新たな国際環境に対応した農林水産業の振興 まず、農業についてでありますが、引き続き農地の流動化を図り、農業経営の規模拡大や効率化を進めますとともに、特に経営条件の厳しい中山間地域につきましては、生産条件に関する不利を是正するための支援を行うことにより、農業生産の維持を図りつつ農地の多面的機能を確保するため、新たに、一定の農業生産活動等を行う農家に対する直接支払制度を創設し、地域の活性化を図ってまいります。
また、来年度からスタートする生産調整の次期対策を踏まえ、水田の排水対策等を強化し、麦・大豆等の生産拡大を図ってまいります。
さらに、本県独自の新しい銘柄米である「ゆめひたち」の消費拡大に取り組み、小中学校の学校給食にも積極的に提供してまいります。
園芸の振興につきましては、引き続き、園芸日本一「10アップ運動」を全県下で展開してまいりますほか、施投化や機械化を積極的に支援し、生産の安定化や出荷期間の拡大を図るとともに、省力化・低コスト化を推進してまいります。
畜産の振興につきましては、八郷町への移転整備を進めてまいりました畜産センターが完成し、本年7月に開場いたしますので、21世紀に対応する畜産技術開発の拠点として試験研究体制の確立を目指してまいります。
また、豚コレラワクチン接種中止に伴う養豚農家の不安解消を図るため、新たに、豚コレラ撲滅支援経営安定資金に係る利子助成制度を創設してまいります。
林業の振興につきましては、引さ続き、林業労働力確保支援センターを中心に、林業の担い手確保・育成や新規就業の促進を図ってまいります。
水産業の振興につきましては、県の魚であるヒラメについて、放流種苗の体色の黒化を防ぐ品質向上技術の開発を進めるなど、つくり育て管理する漁業を一層推進してまいります。
さらに、激しい産地間競争に打ち勝つため、引き続き、統一キャッチフレーズ「うまいもんどころ」を活用しながら、本県の優れた農林水産物のイメージアップと販売力の強化に力を入れてまいります。
新産業の創造と商業の振興 次に、商工業関係でありますが、.県内中小企業を取り巻く現下の厳しい経常環境に鑑み、中小企業金融安定化特別保証制度やパワーアップ融資制度などにより、引き続き円滑な資金調達を支援してまいります。
また、新たに、中小企業振興公社を中核に産業支援機関のネットワーク化を図り、企業が必要とする人材や技術、経営情報の提供など、研究開発から事業化、販路開拓に至るまで一貫したサービスを行う「いばらき未来産業プロジェクト」を推進し、中小企業の新分野への進出や経営革新を支援してまいります。
商業の振興につきましては、賑わいと活力のある商店街づくりを積極的に推進するため、引き続き、中心市街地活性化法に基づく市町村の計画づくりに助成を行うとともに、商業地域活性化の中心的役割を担う街づくり機関を支援するほか、新たに地域商店街パワーアップ基金を創役し、身近な地域商店街の活性化に向けた取り組みを支援してまいります。
雇用環境の整備と人材の育成 最近の雇用情勢は、有効求人倍率が依然低水準で推移しているほか、高校生の就職内定率が過去最悪となっているなど、引き続き厳しい状況にあります。
このため、昨年決定した緊急雇用対策に基づき、来年度は約21億円を措置し、社会人TTや介護保険相談員の配置事業などを着実に実施に移しますとともに、引き続き、新規学卒者就職面接会を行うほか、新たに、各総合事務所に雇用相談コーナーを設置するなど、きめ細かな雇用対策を講じ、県民の雇用の安定に全力で取り組んでまいります。
産業の活力を支える人材の育成につきましては.国の来年度予算案に調査費が計上された職業能力開発促進センターの設置を推進するとともに、県内の産業技術専門学院の再編整備を進め、時代のニーズに対応した訓練内容の充実を図ってまいります。
また、経済活動の源泉である「ものづくり」を支える人材の育成と「ものづくり」に対する意識の高揚を図るため、新たに、優れた技能者に「ものづくりマイスター」の称号を付与し、技能の伝承や産業の振興に活用してまいります。
観光の振興 観光の振興につきましては、徳川光圀公没後300年・斉昭公生誕200年を記念し、光圀公や斉昭公ゆかりの観光資源を活用した周遊・体験型の観光ツアーや様々なキャンペーン、イベントを展開するなど、本県のイメージアップと一層の誘客に努めてまいります。
また.伊奈町に整備が進められております、歴史公園「ワープステーション江戸」が、本年4月21臼にオープンいたしますが、この施設を使用して撮影の一部が行われているNHK大河ドラマ「葵〜徳川3代」の効果なども活用しながら、本県の新たな観光拠点としてまいります。
第5は、いばらきの発展と交流を支える基盤づくりについてであります。
交通体系と産業基盤の整備 まず、道路網の整備についてであります。
北開東自動車道につきましては、全線にわたり事業が順調に進められておりますが、3月18日には、水戸南インターチェンジから友部ジャンクションまでの約14キロメートルの区間が開通し、常陸那珂港から常磐自動車道までつながることとなり、また、友部ジャンクションから(仮称)友部インターチェンジまでの約8キロメートルの区間につきましても、平成12年度中に供用開始される予定であります。
首都圏中央連絡自動車道につきましては、用地取得や各種調査が大きく進捗してきており、去る2月21日に、常磐自動車遥から国道6号牛久土浦バイパスまでの区間で県内初の工事が開始されたところであります。
東関東自動車道水戸線につきましては、施行命令が出ている茨城町から鉾田町間で測量・調査が開始されており、一日も早い開通に向けて整備を促進してまいります。
次に、港湾の整備でありますが、常陸那珂港につきましては、本年4月に外貿ふ頭の供用開始を予定しており、港湾施設や運営体制の整備を進めるとともに、低コスト・高サービスなど本港の優位性をアピールトながら、外国航路開設に向け精力的にポートセールスを展開してまいります。
また、鹿島港につきましては、北公共ふ頭の早期供用開始に向け、航路の浚渫や岸壁の整備を進めてまいります。
常磐新線の建設につきましては、昨年つくば地区の都市計画が決定され、この3月には、ターミナル駅であるつくば駅の工事が発注される予定であります。今後は、平成17年度の開業に向けて建設を促進するとともに、本年夏頃にはつくば地区の土地区画整理事業の認可を取得するなど、沿線地域のまちづくりについても積極的に進めてまいります。
百里飛行場の民間共用化につきましては、国の新年度予算実に民間共用化に向けた事業費が計上され、県民が待ちに待った事業者手が決定いたしました。順調に進めば、あと7年前後で一番機が飛べる見込みであり、今後とも、関係機関に強く働きかけるなど、一日も早い共用化の実現に向けて努力してまいります。
次に、首都機能移転についてでありますが、昨年暮れの国会等移転審議会の答申において、本県は、「栃木・福島地域と連携し、これを支援・補完する役割が期待される地域」として位置づけられました。本県地域が新首都の整備にとって重要な地域であると認識されたものであり、今後は、北東地域の各県と連携し、利根川越えの首都機能移転実現に向けて努力してまいります。
第3 条 例 その他 次に、条例その他について申し上げます。
条例は、地方分権に関連するもの16件、その他のもの35件の計51件であり、このうち新たに制定するもの11件、改正するもの40件であります。
地方分権に関連する条例につきましては、先の第4回定例会において、既に31件の関係条例をご議決いただいておりますが、今回は、国の政令や省令の公布を踏まえて制定する、手数料の徴収や必置規制の見直し等に関係する条例を提案いたすものであります。
また、今般の使用料・手数料の見直しに関連し、30件の関係条例を提案いたしております。
今回提案しております条例の主なものを申し上げますと、まず、新たに制定する条例は、地方分権一括法の制定等に伴い、手数料の額等を定めるための「茨城県手数料徴収条例」、市町村の介護保険財政の安定化を図る基金を設置するための「茨城県介護保険財政安定化基金条例」、地方教育行政の組織及び運営に関する法律に基づき、学校職員の定数を定めるための「茨城県学校職員定数条例」などであり、全部または一部を改正する条例は、情報公開に関し、対象公文書や請求権者の範囲の拡大を図るなど、現行集例の全部を改正しようとする「茨城県情報公開条例」、使用料の見直しに係る「茨城県行政財産の使用料徴収条例の一部を改正する条例」、「茨城県都市公園条例の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案といたしましては3件で、茨城県道路公社の定款の変更などであります。
以上で説明を終わりますが、なお詳細につさましては、お手元の議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。