平成13年第2回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明と報告を申し上げます。
降霜被害 まず、去る4月23日に発生いたしました降霜被害についてであります。
このたびの霜による農作物の被害は、県内15市町村に及び、梨、かき、ぶどう、うめなどを中心に、被害面構で約2,400ヘクタール、被害金額で約22億円に上っております。
被害に遭われた県民の皆様に、心からお見舞いを申し上げます。
農作物の被害対策といたしましては、去る5月1日に茨城県農林漁業災害対策特別措置条例を適用し、経営資金に対する利子補給並びに樹草勢回復用肥料や病害虫防除用薬剤の購入等に対する助成を行うことといたしました。
経済対策 次に、最近の国内の経済動向でありますが、内閣府の5月の月例経済報告によりますと、アメリカ経済の減速に伴い輸出及び生産が減少するとともに、雇用情勢は失業率が高水準で推移し、個人消費が概ね横ばいの状態が続くなど、「景気は、さらに弱含んでいる」という状況にあります。
こうした状況のなか、県におきましては、本年3月に中小企業金融安定化特別保証制度が終了したことに伴い、中小企業に対する新規融資枠の拡大や融資条件の改善など、資金調達の円滑化に努めてまいりましたが、さらに、季節的な資金需要に対応するため、6月1日から、過去最低水準の金利で中元融資の申込みの受付を開始したところであります。
また、依然として厳しい雇用情勢に対応するため、引き続き、緊急雇用対策事業をはじめ、就職面接会や県民雇用相談を実施しますとともに、今後、経済団体に対する求人要請を行っていくなど、雇用の促進に努めてまいります。
今後とも、県内経済を回復軌道に乗せていくため、政府の緊急経済対策との連携を図りつつ、適切かつ効果的な措置を講じてまいりたいと存じます。
行財政改革、地方分権の推進 次に、行財政改革並びに地方分権の推進についてであります。
長引く景気の低迷により、本県財政は極めて厳しい状況にあり、行財政改革大綱並びに本年2月に改定いたしました財政再建プランに沿って、財政再建団体への転落を回避すべく、引き続き、全庁一丸となって、行財政改革に取り組んでいるところであります。
4月1日には、全国で初めて県内全市町村で構成する、税の滞納整理等のための一部事務組合「茨城租税債権管理機構」が設立されたところでありますが、県といたしましても、職員の派遣や財政的支援を行い、市町村と連携しながら、収入未済額の縮減に努めてまいりたいと存じます。
しかし、巨額の財源不足を解消し、分権時代にふさわしい行政を推進していくためには、こうした県独自の取り組みに加え、現行の地方税財政制度の抜本的な見直しによる、財政基盤の充実強化が必要不可欠であると考えております。
このため、国から地方への所得税や消費税の税源移譲や法人事業税への外形標準課税の早期導入などの税財政制度の改革について、今後とも、国に強く働きかけてまいりたいと存じます。
なお、現在、小泉内閣において、経済・財政の構造改革の一環として、地方交付税のあり方や道路特定財源の見直し等が検討されておりますが、地方税財政基盤の充実強化を図るという観点に立って、地方の実情を十分に踏まえ、議論されていくべき問題であると考えております。
さらに、地方分権を推進する上で避けて通れない課題の一つであります市町村合併につきましては、4月1日に、関係者のご努力により県内21番目の市として「潮来市」が誕生いたしましたはか、5月7日には、取手市と藤代町が第1回の法定合併協議会を開催するなど、動きが活発化しております。
県といたしましては、今後、国の指針に基づき合併重点支援地域を指定し、合併を促進してまいりますはか、新たに、合併気運のある地域ごとに懇話会を開催し、県議会議員や関係市町村の長などの意見交換の場を設けますともに、引き続き、シンポジウムなどの啓発事業を実施し、合併に関する気運の醸成を図ってまいりたいと考えております。
原子力安全対策の推進 次に、原子力安全対策の推進についてであります。
本年度予定しております原子力総合防災訓練につきましては、来る9月29日に、核燃料サイクル開発機構東海再処理施設を対象施設として、実施することといたしました。
現在、事故想定や避難方法につきまして、県原子力防災連絡協議会において検討を進めておりますが、児童生徒も含め、多くの地域住民の方々の参加を得ながら、実効性のある訓練としてまいりたいと考えております。
また、県立中央病院敷地内に、全身放射線測定装置(ホールボディカウンタ)を備えた「茨城県放射線検査センター」がこのはど完成し、原子力災害時の第2次緊急医療体制の強化が図られたところであります。
今後とも、JCO臨界事故の厳しい反省と教訓を踏まえながら、原子力防災体制の確立に努めてまいります。
環境保全率先実行計画の改定 次に、環境保全率先実行計画についてであります。
地球温暖化の防止や循環型社会の形成をめざし、県自らが事業者あるいは消費者として、率先して省エネ・省資源を推進するための「環境保全率先実行計画」、いわゆる県庁エコオフィスプランをこのたび3年ぶりに改定いたしました。
今回の改定にあたりましては、県の全組織を対象として、新たに施行された地球温暖化対策推進法やグリーン購入法等に基づき、温室効果ガス排出量の削減率やグリーン購入率などを加えた、10の数値目標を設定し、毎年度その達成状況を調査するなど、環境に配慮した行政運営のより一層の徹底を図ることといたしました。
農産物セーフガードの発動等 次に、農産物に対するセーフガードの発動等についてであります。
本県におきましても、輸入野菜等の増加に伴う価格の長期低迷により、厳しい農業経営環境となっておりますことから、国に対し農産物のセーフガードの早期発動を要望してまいりましたが、去る4月23日、本県の主産物であります、ねぎ、生しいたけなど3品目につきまして、200日間の暫定措置が発動されたところであります。
しかしながら、セーフガードは緊急避難的な措置であり、また、期間や対象品目も限られておりますので、県といたしましては、海外産地の実態を調査しながら、対応策を検討するとともに、輸入の影響のある農産物につきまして、コスト低減や品質の向上、消費者との連携などの対応を早急に進めるため、積極的に支援策を講じてまいりたいと考えております。
また現在、産地に対しましては、消費者ニーズに応え、安全で付加価値の高い農産物を安定的に供給することが求められておりますことから、農薬や化学肥料を削減して栽培した農産物を県が認証する「特別栽培農産物認証制度」をこの5月1日からスタートさせ、現在、米、野菜、果実の18品目が本制度の対象となっているところであります。
今後順次、認証基準を整備し対象品目を増加させながら、安全・安心な農産物の生産・流通を一層促進するとともに、本県産地の国内外に対する競争力の強化を図ってまいります。
国際熱核融合実験炉の誘致 次に、国際熱核融合実験炉(ITER)の誘致についてであります。
国におきましては、先月、原子力委員会のITER計画懇談会において「設置国となることの意義が大きい」との報告書がとりまとめられ、昨日、同委員会におきまして、「日本誘致を念頭において推進していく」との考え方が結論づけられたところであります。
本年の夏頃までには、国において、国内候補地の絞り込みと日本への誘致表明がなされる見込みでありますので、現在策定中の「サイエンスフロンティア21構想」による新たな科学技術拠点の形成をめざし、今後とも、本県の那珂地区への誘致の実現につきまして、県議会をはじめ関係者のご協力をいただきながら、国等への要望活動を積極的に進めてまいりたいと存じます。
県立施設等の整備 次に、県立施設等の整備についてであります。
まず、鹿島地域において、県及び地元の市町、企業等で構成する第3セクターにより整備が進められてまいりました「鹿島共同再資源化センター」がこのはど完成し、4月から操業を開始いたしました。
当センターは、固形燃料化した一般廃棄物と企業から排出される産業廃棄物を合わせて焼却する全国初の施設であり、適切な燃焼管理と最新鋭の排ガス処理設備により、ダイオキシン等の発生を防止するとともに、焼却により発生する熱エネルギーを電力として有効に活用するもので、県で進めております循環型社会づくりの中核施設として、大いに期待されているところであります。
また、2002年ワールドカップの会場となるカシマサッカースタジアムの増築工事が完成し、去る5月19日に竣工記念試合が、さらに、5月31日から一昨日まで、ワールドカップのプレ大会としてコンフェデレーションズカップ3試合が開催され、多くの観戦者の方々に、臨場感あふれるプレーをご覧いただくことができました。
一方、同じく2002年開催のインターハイのメイン会場となります笠松運動公園につきましては、陸上競技場が去る4月にリニューアルオープンいたしましたはか、引き続き、アイススケート兼用型の屋内プール等の競技施設の整備を進めるなど、2002年開催の2つのビッグイベントの成功に向けて、万全の対策を進めてまいります。
次に、つくばエクスプレスの整備でありますが、去る3月に伊奈谷和原駅及び萱丸駅等の工事が始まるとともに、残る未着工区間につきましても今月末までには工事が発注され、全線で工事が着工される予定となっております。
さらに、沿線地域のまちづくりにつきましても、本年3月までに、つくば市内の4地区の土地区画整理事業計画が認可されましたので、県といたしましても、本格的に沿線整備を進めながら、平成17年度のつくばエクスプレス開業に向け、全力で取り組んでまいりたいと考えております。
また、旧県議会議事堂を改修し整備を進めておりました県立図書館が完成し、去る3月24日オープンいたしました。
新しい図書館は、旧図書館の約3.6倍の閲覧スペースのはか、視聴覚コーナーやこども図書室などを備え、こどもから大人まで広く明るい快適な雰囲気のなかで本と親しむことができる施設として、大変好評を博しておりますが、今後とも、より多くの方々にご利用いただける図書館をめざしてまいります。
一方、大洗水族館につきましては、昭和45年の開館以来、この30年間で、約1700万人に上る多くの来館者を迎えたところでありますが、新水族館整備のため、5月10日をもって閉館いたしました。
なお、新しい水族館であります「アクアワールド茨城県大洗水族館」につきましては、来年3月21日のオープンをめざし、現在、開館準備に万全を期しているところであります。
また、常陸太田市内に点在する7つの県の出先機関を集約する「常陸太田合同庁舎」が完成し、5月16日に開庁いたしました。
今後、来庁者に親しまれる庁舎をめざしますとともに、より質の高い行政サービスの提供に努めてまいります。
次に、道路の整備につきましては、去る3月に、国道6号の日立バイパスの一部と藤代バイパス、さらに、国道124号の鹿嶋バイパスが、それぞれ開通いたしましたほか、道路利用者の休憩施設として、国道354号の玉造町高須に道の駅「たまつくり」がオープンいたしました。
また、去る4月7日、五霞町と境町を結ぷ新利根川橋が無料化されるとともに、5月30日には、県道笠間緒川線の那珂川に架かる御前山橋の新橋が完成し供用を開始いたしました。
今後とも、地域間交流の一層の促進や交通渋滞の緩和を図るため、道路網の整備に積極的に取り組んでまいります。
提出議案 次に、提出議案についてご説明を申し上げます。
今回の提出議案は、条例その他11件、報告1件であります。
条例は、改正するもの6件で、都市計画法の一部改正に伴う「茨城県宅地開発事業の適正化に関する条例の一部を改正する条例」などであります。
条例以外の議案といたしましては5件で、「大宮町と金砂郷町との境界変更について」などであります。
報告は、専決処分の報告で、平成12年度の一般会計並びに特別会計の歳入が確定したこと等に伴う予算の補正などであります。
以上で、提出議案等の説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書等によりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申し上げます。