県議会本会議速報
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平成15年 第1回定例県議会本会議

知事提案説明要旨

<平成15年2月26日 水曜日 午後1時開議>

 平成15年第1回県議会定例会の開会に当たり、提出いたしました議案等の説明に先立ち、県政運営に関する所信の一端を申し上げます。

第1 県政運営の基本方針

 21世紀も3年目を迎えましたが、米国とイラクの軍事的対立が極めて切迫した局面を迎え、同時に、国際テロや北朝鮮の核開発問題への懸念が強まり、国際社会の平和と世界経済の安定に重大な脅威となっております。

 今、世界では、軍事、経済、宗教、民族など様々な面で、グローバリズムとナショナリズムが交錯するうねりが生じ、国際秩序の再構築が余儀なくされております。

 このような中、我が国は、戦後初めて経験するデフレが長期化し、経済の停滞による閉塞感が深まっております。

 政府は、経済の再生をはじめ社会経済システム全般にわたる改革を進めておりますが、地方においても、あらゆる面で構造改革を進め、「均衡ある発展」から「知恵と工夫の競争による個性ある発展」へ転換することが求められております。今後、地方分権が進展するにつれて、繁栄する地域と衰退する地域の差が鮮明になり、地域間格差が一層拡大していくものと思われます。

 私は、かねてより元気ないばらきづくりを進め、その活力をもって、住みよい地域社会の実現を図ることを提唱し、実行に移してまいりましたが、日本経済が停滞を続け、国民が将来の設計に不安を抱いている今こそ、本県の有する潜在力を最大限に生かし、今後益々激化する地域間競争を勝ち抜いてまいりたいと考えております。

 このため、陸、海、空の広域交通ネットワークの整備を進め、併せてこの4月から供用開始されます高度情報通信基盤、いばらきブロードバンドネットワークを活用し、人・物・情報の一大交流拠点の形成を図ってまいりますとともに、国内のみならず、世界とも競争できる産業の振興を図り、雇用機会の拡大や所得の向上につなげてまいりたいと考えております。

 これまで世界は、技術革新が原動力になって発展してまいりましたが、我が国にとつて未来を切り拓く鍵はまさに、科学技術であります。幸い本県は、高度な科学技術の集積地を数多く有しておりますので、つくばのゲノム科学の研究集積や東海村に建設中の大強度陽子加速器などを活用し、知的特区構想の推進を図るなど、これらを産業の振興や県民生活の向上に結びつけ、日本をリードする科学技術立県をめざしてまいります。

 また、経済発展の源は人的資源であります。産業教育の高度化を進めるほか、産学官連携による大学院づくりなどを実現させ、実用化研究を推進するような体制整備についても積極的に取り組んでまいります。

 さらに、雇用の拡大と民間資本による投資を促進するため、県内に新規立地する企業等に対し、新たに、思い切った税制上の優遇措置を講じますとともに、工業団地においてリース方式を導入してまいりますほか、「鹿島経済特区構想」や茨城、栃木、群馬の3県で共同提案いたしました「国際物流特区構想」の実現に努めてまいります。

 また、農業につきましても、全県をあげての総点検を実施し、地域自らの創意工夫に満ちた自主的な取り組みを促し、生産力向上に向けた改革を進めてまいります。

 このようにして、本県産業の振興を図り、雇用の揚がしっかり確保された元気な県をつくり、その活力を生かしつつ、福祉や医療、教育や文化、環境などの面での施策を一層充実させ、住みよい県づくりを進めてまいります。

〔県政の重要課題と予算編成の基本的考え方〕

 次に、当面する県政の重要課題と平成15年度予算編成に当たっての基本的な考え方を申し上げます。

 まず、第1に、景気・雇用対策であります。

 我が国経済は、個人消費や輸出は横這いとなっており、失業率がこれまでの最高水準となるなど、景気は一部に持ち直しの動きがみられますものの、弱含みとなっております。

 このため、国においては、昨年決定した「改革加速プログラム」に基づき、不良債権処理の加速に併せて雇用や中小企業の安全網を整備するとともに、構造改革推進型の公共投資を促進するため、約3兆円の補正予算を編成いたしました。県といたしましても、今回、国と連動し、総額約152億円の経済対策を講じることとし、平成14年度補正予算案を本定例会に追加提案する予定としております。

 また、来年度当初予算の編成に当たりましては、中小企業対策として、パワーアップ融資及びセーフティネット融資の融資枠を大幅に拡大するなど、金融面からの支援を強化してまいりますとともに、新製品開発や販路の開拓などに対する支援を拡充してまいります。また、雇用面では、引き続き緊急雇用創出基金を活用し、雇用創出効果の高い諸事業を実施し、約3、000人の新規雇用を創出してまいりますとともに、就職サポートセンターの設置や就職支援相談員の増員など就職支援体制の充実を図りますほか、若年者向けの企業合同説明会や就職を希望する高校生全員を対象としたインターンシップを実施するなど、再就職の支援や若年者の就職率の向上を図ってまいります。さらに、社会資本の整備につきましては、保育施設や老人福祉施設、生活道路や下水道など、民間需要誘発効果や雇用創出効果が高い生活関連基盤の整備に重点的、効率的に取り組むことといたしました。

 第2は、改革の推進であります。

 長引く景気の低迷により、県税収入の大宗を占めます法人2税は、平成3年度のピーク時の1、500億円に比べ、来年度は704億円と大幅に減少する見込みであり、県財政はまさに未曾有の危機に瀕しております。このため、議会並びに行財政改革推進懇談会などのご意見を踏まえ、平成15年度から17年度を推進期間とする「第三次行財政改革大綱」及び「財政構造改革プラン」を策定し、本定例会に報告してまいりたいと考えております。新たな大綱では、県民サービス改革、県庁改革、財政構造改革など5つの改革を柱に、事業の成果をこれまで以上に重視するとともに、職員の意識改革を徹底しながら、県民本位の活力ある県政の実現を目指してまいります。今後も、新大綱に基づき、行財政システム全般にわたる抜本的な改革を断行し、スリムで機動的な組織体制を整え、分権時代にふさわしい効率的・効果的な行財政運営を確立してまいります。

 一方、国におきましては、三位一体の改革や道路公団の民営化など、地方分権の推進にとって極めて重要な改革が行われようとしていますが、外形標準課税の導入決定を除けば、義務教育費国庫負担金の問題や新直轄方式による高速道路の整備など、なし崩し的に地方への負担転嫁を図るものが多く、地方の声を無視した見直しがなされようとしております。今後も、地方税財源の充実強化につながり、真に地方分権に資する改革となるよう強く働きかけてまいります。

 また、県出資法人等の改革につきましては、県出資団体等調査特別委員会のご提言を踏まえ、「県の出資法人等への関わり方に関する基本的事項を定める条例」を本定例会に提案し、出資法人等の健全な運営の確保と出資法人等を通じた多様な行政目的の実現を図ってまいります。

 さらに、市町村合併につきましては、合併重点支援地域として、今月新たに3地区が指定され、県全体では7地区20市町村となるなど合併に向けての気運が急速に高まってきておりますが、合併特例法の期限である平成17年3月までにできるだけ多くの合併が実現できるよう、最大限の支援を行ってまいります。また、分権の担い手であります市町村への権限移譲も積極的に進めてまいります。

 第3は、少子・高齢社会に向けた福祉や保健、医療の充実であります。

 我が国における少子高齢化の急速な進展は、これまで日本経済を支えてきた社会経済システムを根底から揺るがす極めて重要な問題であります。少子化の大きな要因は、未婚率の上昇や晩婚化であり、男女の出会いの場づくりを積極的に推進するとともに、待機児童の解消や多機能型保育所の整備を進め、結婚、出産、育児に夢と希望を持てる環境づくりに取り組んでまいります。

 高齢者対策といたしましては、新たな高齢者プラン21を策定し、介護サービス基盤の整備を図りながら、高齢者の生きがいづくりを推進し、明るい長寿社会の実現をめざしてまいります。また、健康寿命を伸ばし、生涯を元気に暮らせるよう、健康いばらき21プランに基づき、県民総ぐるみの健康づくりに取り組んでまいります。さらに、引き続き、本県独自の地域ケアシステムや全県的な地域リハビリテーション支援体制の整備に努めてまいります。

 第4は、安全で快適な生活環境づくりであります。

 地球温暖化をはじめ、河川や湖沼の水質悪化、廃棄物の増大など今日の環境問題につきましては、県民一人ひとりが、日常生活や社会経済活動のそれぞれの段階で、環境への関わりを深く認識し、環境への負荷をできる限り少なくしていくことが求められております。

 このため、新たな環境基本計画を策定し、資源のリサイクル、省エネなどゼロエミッション社会をめざした取り組みを促進してまいりますほか、公共処分場の整備を推進してまいります。また、霞ヶ浦の水質浄化につきましては、従来の浄化槽に比べ格段に窒素、リンの除去率の高い、いわゆる「霞ヶ浦方式」の浄化槽の導入を図り、浄化対策を強化してまいります。さらに、原子力の安全対策につきましては、JCO事故の反省と教訓を踏まえ、原子力防災体制の一層の充実に努めてまいります。

 第5は、21世紀のいばらきを担う子どもたちの健全育成であります。

 昨年4月から完全学校週五日制や総合的な学習の時間を取り入れた新しい学習指導要領が実施に移されるなど我が国の教育は大きな転換期にありますが、こうした状況の下で、児童生徒の学力低下や社会性、自律性の欠如が深刻な問題となっております。

 このため、本県では、全国で初めて全小中学校でティーム・ティーチング方式を実施するとともに、今年度から、小学1年生を対象に少人数学級とティームティーチングを取り合わせた茨城独自の少人数教育を導入しておりますが、来年度は小学2年生までこれを拡大し、きめ細かな学習や生活指導を一層充実してまいります。さらに、全国トップレベルのIT教育環境づくりにも取り組んでまいります。

 一方、児童生徒の社会性や自律性を高めるためには、子どもたちに、社会の中での自分の役割をしっかり認識させることが重要であります。このため、各種の社会体験活動に加え、新たに大人と子どもたちとの交流を促進するなど、学校、家庭、地域が連携した取り組みを進め、道徳教育を推進してまいります。

 第6は、活力ある産業の育成であります。

 商工業につきましては、中小企業の技術力の向上と販路の拡大を図るとともに、本県に集積する高度な科学技術をいかに産業振興に結びつけていくかが重要な課題であります。

 このため、サイエンスフロンティア21構想や構造改革特区構想などを推進し、産学官の連携による研究開発の高度化を進め、新技術の開発や新産業の創出を図ってまいりますとともに、中小企業への技術移転やベンチャー企業の資金調達、さらには、全国規模での販路拡大などに対し、積極的な支援策を講じてまいります。

 農林水産業につきましては、輸入農産物の増加による価格競争の激化や担い手の不足、高齢化などが進んでいる中、本県の農業産出額は近年減少を続けており、生産力向上に向けた抜本的な農業改革が急務でありますとともに、食の安全性に対する信頼の確保が大きな課題であります。

 このため、県内全市町村において農業構造の総点検を実施し、きめの細かい対策を講じていくとともに、目標とやる気を持った農業者を積極的に支援してまいります。

 今後、農地の高度利用に向けた生産基盤の整備を進めながら、市場ニーズに即応できる生産体制の確立や品質の向上、販売体制の強化を進めてまいります。また、食の安全につきましては、農薬の使用に対する監視を強化するとともに、トレーサビリティシステムの導入、BSE検査の徹底などを図ってまいります。

林業につきましては、県産材の利用を促進してまいりますほか、全国植樹祭の開催準備を進めます。また、水産業につきましては、つくり育てる漁業の推進と合わせ、漁業資源調査船「いばらき丸」の活用により、活力ある沿岸漁業の振興を図ってまいります。

 第7は、社会資本の整備と交流の拡大であります。

 元気で住みよいいばらきづくりを進めていくためには、交通基盤や情報ネットワークの整備充実が不可欠であります。

高速道路の整備につきましては、道路公団民営化の影響により整備の遅れが懸念されておりますが、国の責任において計画どおり予定路線の整備が完成するよう強く働きかけてまいります。

 常陸那珂港につきましては、先進的な港湾においては常識となってきている港湾手続きのワンストップサービス化などを推進する国際物流特区構想の実現に努め、首都圏における新たな物流拠点の形成を図ってまいりたいと存じます。また、百里飛行場の民間共用化につきましては、アクセス道路の整備やターミナルビル等の検討を進めてまいります。さらに、つくばエクスプレスにつきましては、鉄道や駅舎の建設とあわせ、沿線の区画整理事業の推進を図ってまいります。

 また、国内最高レベルの地域情報通信基盤となる2.4ギガビットの高速大容量の「いばらきブロードバンドネットワーク」の活用を促進してまいります。

第2 予 算

 次に予算について申し上げます。

 本県の予算編成の前提となる国の予算でありますが、一般会計予算の総額は81兆7、891億円で、対前年度比0.7パーセントの増、また、政策経費であります一般歳出については対前年度比0.1パーセントの増で、2年連続の緊縮型予算となっております。一方、地方公共団体の予算編成上の指針であります地方財政計画を見ますと、総額で対前年度比1.5パーセント減と2年連続で前年度規模を下回るとともに、歳出のうち公債費等を除いた地方一般歳出につきましては、対前年度比2パーセントの減と4年連続の減となっております。

 次に、本県の平成15年度当初予算について申し上げます。

 まず、来年度の財源見通しであります。歳入の中心であります県税収入につきましては、企業収益の悪化及び郵便貯金に係る利子の減少により、引き続き、法人2税、県民税利子割が大幅な減になるほか、地方消費税、個人住民税、不動産取得税についても減収が見込まれるため、14年度当初予算に比べ7.4パーセント、約222億円の減と2年連続の大幅な減と見込んでおります。

 また、その他の一般財源につきましては、14年度当初予算に比べ、地方交付税をマイナス6.9パーセント、153億円の減と見込む一方、地方の財源不足に対応して発行が認められる臨時財政対策債等の一般財源県債を657億円発行しますとともに、県有未利用財産の売却や特別会計等からの繰入などによりその確保に努めましたが、なお、不足する財源につきましては、財政健全化僕等の活用及び一般財源基金の取り崩しを行ったところであります。

 また、歳出につきましては、聖域のない徹底した事務事業の見直しに取り組む一方、限られた財源を、人づくりや少子高齢化対策、循環型社会づくり、IT戦略の推進、地域経済の活性化対策など、「改革いばらき」に資する重点分野に配分し、施策の充実を図ったところであります。また、公共事業につきましては、生活関連社会資本の整備への重点化を進めながら、国補公共事業につきましては、5.1パーセントの減、県単公共事業につきましても5.5パーセントの減といたしました。

この結果、平成15年度一般会計予算の総額は、1兆486億1,700万円で、前年度当初予算に比べ、2.3パーセントの減となったところであります。

 また、特別会計は17件で、総額1,018億8,600万円となり、5.0パーセントの減、企業会計は5件で、総額844億9,600万円、3.0パーセントの増となっております。なお、債務負担行為は、一般会計で48件、特別会計で8件、企業会計で4件であり、その内容は建設工事の請負契約などであります。

 次に、平成15年度の主な施策について申し上げます。

 第1は、誰もが健やかに暮らせるやすらぎに満ちた社会づくりについてであります。

(少子・高齢社会への対応)

 まず、少子化対策につきましては、保育所の新設や増額築をはじめ、延長保育や預かり保育など多様な保育サービスへの支援に加え、新たに、私立幼稚園に対し、子育て支援のための施設整備や育児相談員の設置に対し助成してまいりますほか、聴覚障害児の検査療育体制の充実を図ってまいります。さらに、結婚対策として、若い男女が自然な形で出会える場づくりにも、引き続き、積極的に取り組んでまいります。次に、高齢社会への対応といたしましては、特別養護老人ホームの整備やホームヘルパーの育成など介護サービス基盤の充実に努めてまいりますとともに、市町村が実施する介護予防事業や生きがいづくり事業に助成してまいります。また、「高齢者はつらつ百人委員会」に対し支援するほか、新たに指定いたしましたヘルスロード、70コースの活用を促進し、健康寿命の伸長を図ってまいります。

(福祉コミュニティづくりと福祉サービスの充実)

 「やさしさのまち桜の郷」につきましては、中核となる国立水戸病院の建設が順調に進んでおりますが、平成16年度の街開きに向けて、県営住宅や民間事業者による保健福祉施設などの整備を推進してまいります。

 また、県立内原厚生園と県立コロニーあすなろとを統合した「あすなろの郷」につきましては、本年4月から開所いたしますが、新たに24時間緊急ステイ事業を実施するなど知的障害者に対する支援機能を充実してまいります。また、ITを活用した障害者の自立を支援するため、パソコンボランティアの養成、派遣を実施してまいりますとともに、新たに総合相談窓口の設置、IT体験フェアの開催などを行ってまいります。

 さらに、ドメスティックバイオレンス対策といたしまして、婦人相談員の増員や一時保護所の受入れ体制の充実を図り、相談・保護体制を強化してまいります。また、児童虐待への対応としまして、被虐待児童の心のケアを行う情緒障害児短期治療施設の整備に対し支援してまいります。

(保健・医療の充実)

 次に、医療体制の充実についてであります。

 まず、がん対策につきましては、本年4月、日立製作所日立総合病院に県内で4番目となる地域がんセンターがオープンいたします。また、PET(陽電子放射断層撮影)検査装置の導入など、放射線を利用したがん対策の高度化について検討を進め、がん対策拠点施設の整備のための基本構想を策定してまいります。

 また、医療に関する苦情処理や相談を行う「医療安全相談センター」を新たに設置してまいりますほか、波崎済生病院の移転整備や筑波メディカルセンター病院の災害対応施設の整備に対し助成してまいります。さらに、医療の高度化に対応できる看護師等を養成するため、県立の中央看護専門学院の増改築工事に着手しますとともに、茨城キリスト教大学看護学部の設置に対し助成してまいります。

 第2は、ゆたかさを実感できる安全快適な生活環境づくりについてであります。

(循環型地域社会づくり)

 まず、循環型地域社会づくりにつきましては、新たに、県内全世帯を対象として、省エネ、省資源等の身近な取り組み事例を広く公募し、優良事例を紹介するなど、エコライフの普及、促進を図ってまいりますほか、引き続き、市町村の先進的なごみ減量化運動に対し助成してまいります。

 また、廃棄物対策といたしましては、県環境保全事業団が建設を進めております「エコフロンティアかさま」に対し支援してまいりますほか、早朝や夜間における不法投棄を防止するため、不法投棄監視員の大幅な増員を図ってまいります。

 大気汚染対策といたしましては、新たに自動車から排出されるディーゼル微粒子の除去装置の装着に対し助成してまいります。

 霞ヶ浦の水質浄化につきましては、霞ヶ浦流域全市町村を対象として、「霞ヶ浦方式」の浄化槽の設置に対する助成制度を創設してまいります。また、来る7月23日及び24日の両日、玉造町及び霞ヶ浦町を会場として開催します自然公園大会の成功に向け全力を挙げて取り組んでまいりますほか、「(仮称)霞ヶ浦環境センター」につきましては、平成17年度の開館に向け、本年秋に建設工事に着手してまいります。

(安全な県民生活の確保)

 次に、食の安全の確保につきましては、健康食晶や農産物、香料等に対する検査を強化しますとともに、食品の安全に関する情報提供の拡充を図ってまいります。

 また、いわゆるピッキング等の犯罪防止、交通事故の抑止や暴走行為の防止に関し、関係条例を本定例会に提案いたしますとともに、3年連続で警察官の増員を図りますほか、平成17年度の開庁を目指し、「(仮称)牛久警察署」の建設工事に着手してまいります。

 原子力施設の安全確保につきましては、引き続き、立入調査や環境放射線監視を充実強化いたしますほか、新たに防災情報ネットワークの整備を進めてまいります。

(快適な生活環境施設の整備)

 次に、快適な生活環境施設の整備につきましては、慢性的な渋滞箇所等の整備を行う「安全快適なみち緊急整備事業」を引き続き進めてまいります。また、本年6月から、鹿行地域全域に広域水道の給水区域を拡大しますとともに、新たな生活排水ベストプランに基づき、下水道や農業集落排水施設のほか、合併処理浄化槽の整備の促進を図ってまいります。さらに、石岡市を始めとする沿線5市町村の通勤、通学の重要な交通手段となっております鹿島鉄道に対しましては、その存続を図るため、沿線市町村と連携協力して、鉄道施設の整備に対し助成をしてまいります。第3は、個性と創造性に富むこころ豊かな人づくりについてであります。

(学校教育の充実と青少年の健全育成)

 まず、学校教育についてでありますが、本県独自の少人数教育を進める「のびのびいばらきっ子プラン」につきまして、対象を小学2年生まで拡大してまいりますとともに、引き続き、「TT特別配置事業」を実施し、すべての小中学校でティームティーチングを進めてまいります。

 さらに、いばらきブロードバンドネットワークを生かし、高精度な動画等を活用して質の高い教育が展開できるよう、教育情報ネットワークの整備を進めてまいります。

 高校再編につきましては、先般、策定いたしました前期実施計画に基づき、活力と魅力ある多様な高校づくりに取り組んでまいりますとともに、「(仮称)つくば養護学校」につきましては、平成19年度の開校に向け基本設計に着手いたします。

 私学教育の振興につきましては、引き続き私立高等学校や幼稚園等の経常費に対する助成の充実を図ってまいりますほか、通信制高等学校につきましても新たに経常費に対する助成措置を講じてまいります。

 未来を担う人づくりにつきましては、小学1年生を対象とした「お手伝い・ボランティア奨励事業」などに加え、新たに、中学生自らが学校生活の改善プランを提案し実践する「みんなでつくる明るい学校づくり推進事業」や、高校生自らがボランティア活動を企画して取り組む「高校生の心の教育推進事業」を実施してまいります。

 また、これまで子どもや地域との関わりが少なかった大人にも、地域活動への参加を促進する「地域親普及啓発事業」を新たに実施しますとともに、子どもいきいき自然体験フィールドへのアドバイザーの配置や県内の湖沼を生かした親子での環境学習など体験学習の充実を図ってまいります。

 不登校対策としましては、スクールカウンセラーに加え、新たに、大学生など児童生徒と比較的年齢が近い「スクールライフサポーター」を小中学校に配置し、不登校児童生徒の解消に努めてまいります。

(生涯学習とスポーツ、文化の振興)

 生涯学習の推進につきましては、2市の図書館建設に対し助成することとするとともに、新たに県立図書館と市町村図書館とをネットワーク化し、相互に図書の検索、貸出しができるシステムの整備を進めてまいります。

 スポーツの振興につきましては、ワールドカップ開催の成功を生かし、本年6月に開催1周年記念イベントを行うとともに、笠松運動公園をはじめ県内のスポーツ施設につきまして、インターネットによる予約システムを導入するなど利便性の向上を図ってまいります。

 芸術・文化活動の推進につきましては、「地域伝統芸能全国フェスティバル」を平成16年に本県で開催するための基本計画を策定してまいります。

 第4は、新しい魅力と活力あふれる産業社会づくりについてであります。

(新産業の創造と商工業の振興)

 まず、サイエンスフロンティア21構想につきましては、大強度陽子加速器に閲し、県内企業が優先的に利用可能な中性子ビームの実験装置等の導入に向け、調査検討を進めるなど、研究成果の本県産業への波及に努めてまいります。

 次に商工業者の厳しい経営環境を踏まえ、セーフティネット融資及び中小企業パワーアップ融資の融資枠を大幅に拡大しますほか、制度融資の借換条件を緩和してまいります。また、ベンチャー企業の資金調達を支援するため、新たに投資事業組合への出資を行いますとともに、ベンチャー企業支援融資の対象企業を拡大いたします。

 さらに、新産業の創出や中小企業の新分野進出を促進するため、経営革新に取り組む企業に対する助成を拡大しますとともに、新たに全国ネットで販路の取り次ぎを行う「ビジネスマッチング等支援事業」を実施してまいります。

 さらには、中小企業へのITエキスパートの派遣に加え、新たにいばらきブロードバンドネットワークを「つくば創業プラザ」や「ひたちなかテクノセンター」に直結し、大容量の情報通信基盤を生かした研究開発や事業の高度化を支援してまいります。

 商業の振興につきましては、中心市街地の街づくり機関(TMO)の設立を促進してまいりますとともに、商店街の景観づくりに対し助成するほか、新たに、地域のニーズに配慮したコミュニティビジネス等の創業を支援してまいります。

(新たな環境に対応した農林水産業の振興)

 農業につきましては、総点検の結果を踏まえた生産技術の開発や新品種の実証栽培など課題解決に向けた農業者自らの主体的な取り組みに対し支援してまいります。

 青果物につきましては、メールマガジンの活用など市場での評価を迅速に産地に提供できるシステムを構築してまいりますほか、露地野菜については、均質で大ロットの生産体制を確立するため、生産農家の組織化を促進してまいります。

 県産米につきましては、新たに、米品質の診断ソフトを開発し、全県的な品質診断や技術指導を実施してまいります。

 また、規模拡大を図るための基盤整備につきましては、水田の大区画化に加え、新たに、畑地についても上乗せ補助を行うこととするとともに、担い手不足の解消を図るため、農業法人が導入する機械、施設に対し助成してまいります。

 一方、食の安全を確保するため、生産履歴を消費者に提供するためのトレーサビリティシステムの構築に向けての取り組みに対し助成してまいりますとともに、農薬取締指導員の増員や農薬適正使用アドバイザーの育成を図ってまいります。

 畜産業の振興につきましては、ローズポークの生産集団の拡大を支援してまいりますとともに、牛海綿状脳症対策につきましては、死亡牛の検査体制の整備や家畜個体識別システムの拡充を図るなど、牛肉の安全性に対する信頼を確保してまいります。

(雇用環境の整備と人材の育成)

 最近の県内雇用情勢は、有効求人倍率が8ケ月にわたり全国平均を下回り、高校生の就職内定率が過去最低になるなど深刻な状況が続いております。このため、引き続き、緊急雇用創出基金事業を実施するとともに、新たに水戸及び土浦両市に就職サポートセンターを設け、就職相談の専門職であるキャリアカウンセラーを配置してまいりますほか、求人の多い業種に焦点を合わせた就職講習会を開催してまいります。

 また、高校生などの若年者の就職支援対策といたしまして、求人開拓を行う就職支援相談員を増員しますとともに、新たに若年者のみを対象とする企業合同説明会を開催してまいりますほか、就職を希望する高校生全員を対象としてインターンシップを実施してまいります。

 また、高度なIT技術者の養成など産業技術専門学院の高度化や再編整備を進め、時代の要請に対応した教育訓練に努めてまいります。

(観光の振興)

 観光の振興につきましては、本県での映画やテレビ等の撮影支援やロケーションの誘敦を行うフイルムコミッションを推進してまいりますほか、板谷波山没後40周年にちなみ、波山の生き方を描く映画製作への支援や陶芸体験ツアーなどの記念事業を実施するなど、本県のイメージアップと誘客の促進に努めてまいります。

 また、阿字ヶ浦海岸につきましては、砂浜の回復を図るため、沖合に離岸堤を設置するなど侵食対策事業を進めてまいります。

 第5は、いばらきの発展と交流を支える基盤づくりについてであります。

(交通基盤の整備)

 まず、道路網の整備についてでありますが、首都圏中央連絡自動車道につきましては、来月、県内ではじめて常磐自動車道のつくばジャンクションからつくば牛久インターチェンジ間が開通しますとともに、阿見吉原地区につきましては、来年度に事業認可を得て、アクセス道路を優先的に整備してまいります。北関東自動車道につきましては、早期の全線開通に向けて事業の促進に努めてまいります。また、東関東自動車道水戸線につきましても、鉾田町から茨城町までの施行命令区間におきまして、用地買収に着手しますとともに、潮来市から鉾田町間の基本計画区間につきましては、整備計画の策定を国に強く働きかけてまいります。さらに、北関東自動車道と県西地域を連絡する広域的な幹線道路である「筑西幹線道路」につきましては、(仮称)岩瀬インターチェンジの供用開始に合わせ積極的に整備を進めてまいります。

 次に港湾の整備と振興についてでありますが、常陸那珂港につきましては、北米や東南アジア等との定期コンテナ航路の誘敦に努めますとともに、中央埠頭の整備を進めてまいりますほか、鹿島港につきましては、本年度一部供用を開始しました北公共埠頭の整備を引き続き進めてまいります。また、北朝鮮籍貨物船チルソン号の座礁事故につきましては、引き続き、船社に対し、貨物船の撤去や事故対策に要した費用の補償などを求めてまいりますとともに、国に対しましても、問題解決に向けた取り組みを要請してまいります。

 つくばエクスプレスにつきましては、引き続き平成17年秋の開業に向け全力を尽くしてまいりますとともに、沿線地域の整備につきましても、鉄道の開業に合わせた街開きに向け来年度中に県有地の一部分譲に着手するなど、一層の推進を図ってまいります。

 百里飛行場の民間共用化につきましては、ターミナルビルの運営方法等について検討を始めるとともに、アクセス道路や空港公園の整備を進めるなど、国や地元と緊密な連携をとりつつ、開港に向けて引き続き全力を挙げて取り組んでまいります。

(情報交流空間づくり)

 次に、情報交流空間づくりの推進についてでありますが、「いばらきブロードバンドネットワーク」は、いよいよ本年4月から供用開始され、10月からは県内全市町村とも結ばれます。このブロードバンドネットワークは、防災情報の充実をはじめ、遠隔医療や在宅勤務の実現など人々の暮らしをより豊かなものにするとともに、産業振興の面でも、電子商取引などのビジネス展開や研究開発部門における大量のデータ解析を可能とするなど幅広い分野で利便性が高まってまいります。今後、行政面におきましても、電子申請をはじめ、公共工事における電子入札システムや公共施設の予約システムの導入を図り、IT社会にふさわしいサービスの提供に努めてまいります。

(第3条例その他)

 次に、条例その他について申し上げます。条例は、新たに制定するもの10件、改正するもの37件、廃止するもの1件、合わせて48件であります。

 新たに制定する条例は、県内に事務所等を新設又は増設した法人に対する法人事業税等の課税免除を定める「茨城県産業活動の活性化及び雇用機会の創出のための県税の特別措置に関する条例」、安全なまちづくりに関する施策の基本と犯罪防止のための規制等について定める「茨城県安全なまちづくり条例」などであり、一部改正を行うものといたしましては、知事等の給料について減額措置の継続を定める「知事等の給与の特例に関する条例の一部を改正する条例」などであります。

 条例以外の議案といたしましては4件で、全国自治宝くじ事務協議会規約の一部変更、包括外部監査契約の締結などであります。

 以上で説明を終わりますが、なお詳細につきましては、お手元の議案書などによりご審議の上、適切なご議決を賜りますようお願い申しあげます。


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