平成8年度 第3回 定例県議会 一般質問速報版

県議会本会議
平成8年9月12日

1.県の高度情報社会への対応について

  1. 行政情報の公開のあり方(総務部長)
  2. 高度情報社会への対応の具体策(企画部長)
  3. 情報教育の推進(教育長)
  4. 携帯電話からの119番通報(生活環境部長)

2.高齢者福祉の推進について

  1. ホームヘルプの充実と介護者支援策(福祉部長)
  2. 訪問看護ステーション整備と医学的管理サービス導入(衛生部長)
  3. 一元的・総合的な推進体制(知事)

3.病原性大腸菌O157への恒久的対策について

  1. 飲料水の安全対策(衛生部長)
  2. 総合的食品衛生管理体制の導入(衛生部長)

4.河川改修と水辺空間づくりについて(土木部長)


1.県の高度情報社会への対応について

1-1行政情報の公開のあり方

井手 義弘

公明・新進クラブの井手義弘でございます。県政の諸課題につきまして、知事並びに関係部長、教育長にご質問いたします。明快、かつ前向きなご答弁を期待いたします。

 「知は力なり」との、フランシス・ベーコンの有名な言葉がございます。「知」つまり情報を得ることの重要さを表現した箴言(しんげん)であります。

 英語の「know(ノウ)」も「思い通りに支配する」の意味を持っていたといわれます。

 また、日本語の、「知る」の語源をひもとけば、「土地を支配する」意味での『領(し)る』に通じると言われております。

 古来、情報は権力の源泉だったことを示す事例は、その枚挙にいとまがありません。

 したがって、情報がだれに握られているかによって、その社会システムが左右されてきたといっていいと思います。

 国民主権の日本国憲法の下にあっては、行政の情報は本来、国民のものであります。しかし、戦後50年、その情報は行政官庁や、官僚に独占されてきたといっても過言ではありません。

 まさに、「知(し)らしむべからず」の体質が抜け切らず、国民との関係は「主客転倒」し、いびつな姿を見せてきたと思うのは私だけではないと思います。

 さて、県が行う情報公開には、県民の要求に応じて行政が情報を公開する情報開示と、行政が進んで情報を提供する積極的な意味での情報公開があります。

 前者の情報開示については、すでに、県の情報公開条例が昭和61年に施行され、県民への適切な情報公開が進んでおります。

 しかし、情報開示に対する社会的要求は大きく変化しております。

 市民団体の食糧費をめぐる情報公開請求に対し、宮城県は、会合に出席した議員や県職員らのプライバシーが侵害される、と名前や会合場所の公開を拒んでおりました。その是非が争われた行政訴訟の判決が、去る7月29日、仙台地裁で言い渡され、裁判所は宮城県側の言い分を退け、会合の出席者の名前を含む全面公開を命じました。

 判決では、公文書に記載された公務員の名前については、「いわゆるプライバシーには当たらない」と明確に結論づけております。

 この判例により、相手と職員と両方の氏名を開示する自治体が東京、群馬、青森など7都道府県に増え、職員名を公開する自治体は12自治体にのぼっております。

 さらに、三重県においては、10月より、食糧費に加え出張報告書や旅費に関しても全面開示することを決定いたしました。

 私は、食糧費の情報の全面開示は、時代の趨勢となっていると思います。

 食糧費に関する不透明さは、宮城県や北海道、東京都など多くの自治体で指摘を受けております。実際、不適当な支出があったことも事実であり、我が県においても「対岸の火事」として見逃すのではなく、大いに反省し、教訓として行かねばならない事例であると考えます。

 さて、情報公開の制度が進んでおりますアメリカにおいては、「政府の情報は税金でつくられた資産。納税者にはアクセス権がある」との考え方で、政府が管理するデータベースの公開に力を入れ、1993年6月に連邦政府のデータベースを市民に解放する政府印刷局電子情報アクセス強化法が成立しております。

 この法律により、毎日200ページも発行されている議会の会議記録は、全て国民に公開されるようになりました。さらに、検索機能が充実され、キーワードを入力することで、大量のデータから必要なデータを選び出すことが瞬時にできるようになっております。

 その結果、国民が直接、法律の審議の過程から参加できるようになったと伝えられております。

 日本においても、税金の使い道など、行政情報を広く公開することで、住民の監視を行き届かせ、民主主義と住民自治を実のあるものにする。そして、その積極的な住民の参加に中で、県政を充実させていくことこそ、茨城県の真の発展につながると確信いたします。

 今後、我が県におきましても、

 あらゆる分野での積極的な情報提供を図る必要があると思います。

 高度情報社会を迎えた茨城県の行政情報公開のあり方について、総務部長のご所見をお伺いいたします。

 さて、この情報公開の有力なツールとして、インターネットがあります。

 ここで、インターネットを活用した情報公開のあり方について、私の考えを述べてみたいと思います。

 本県においても、昨年7月にホームページを全国の都道府県に先駆けて公開いたしました。一年間で、260万件を越すアクセスが記録され、県民を含め全国、否世界中からの注目が寄せられていることが実証されました。

 他県が行っているインターネットの情報提供サービスをみてみますと、ホームページの公開では、本県に遅れをとった東京都ですが、さすがにその情報量の豊富さでは他県を大きく凌駕しております。

 都知事の毎日の行動予定、数ある審議会の議事録や報告書、執行部から出される白書・報告書・計画書の類、まさに、パソコンから入手できる都政の資料は一日では読み切れぬ量に及びます。

 また、この8月から情報発信を開始した高知県のホームページには、食糧費を全て公開するページが開設されました。所管する部門、日時、人数、金額。食糧費の明細が掲載され、それ以上の詳細データについては、情報公開条例によって開示請求をするような仕組みになっております。

 地方議会においても、インターネットでの新たな試みが進展しております。

 埼玉県議会では、議案やその内容の詳細、請願・陳情を掲載しております。本会議での質疑の議事録も公開されております。

 こうした他県の事例も参考に、本県においても、

 をインターネットという新たなメディアを使い、積極的に県民への情報公開に努めるべきであると提案いたします。

 例えば、今、県民の大きな関心の的となっております「カシマ・サッカースタジアム」の改装計画にあっては、「整備検討委員会」が設けられ、詳細な検討が進められているわけですが、

 こうした、検討委員会での検討資料等は、逐次、広く一般県民にも、インターネットを活用し、情報公開していくことが大事だと思います。それによって、県民世論を喚起し、県政への参加意欲は飛躍的に高まると確信いたします。

 また、総務部が行っております「おはよう茨城」などのテレビ番組やラジオでの広報活動も、県民がいつでも見られるように、インターネット版を研究・検討することも今後の課題である考えます。

 こうしたインターネットを活用した情報提供につきまして、総務部を初め、関係部署でのご検討を強く要望するものです。

総 務 部 長

 行政情報の公開のあり方についてお答えいたします。

 情報公開につきましては、開かれた県政を一層推進するため、条例の適正な運用を図り、情報の開示に努めてきたところでございます。

 近年、開示請求件数は年々増加の傾向にあり、情報公開制度は一定の成果をおさめてきたものと考えております。

 議員ご提案の各種行政情報の提供についてでございますが、県が進んで行う情報提供施策は、県民の請求に応じて開示する情報公開制度と相互補完的な関係にありますが、これまでも新聞・ラジオ・広報誌等を活用して広報広聴活動、行政資料の提供などに努めており、行政運営の中で重要な機能を果たしているところでございます。

 昨年度策定いたしました茨城県行政改革大綱におきましても、「生活者の立場に立った行政運営」を柱の一つとして位置づけ、県民へのわかりやすい情報提供に努めるとともに県政への県民意見の反映の充実に努めることが必要であるとしているところでございます。近年、イン夕―ネットなど情報通信技術の進展は目覚ましいものがありますが、本県としては既にこれらを活用して県政情報を提供しているところであります。さらに、新県庁舎の建設にあわせて、新しいメディアを活用して、県政情報を総合的・体系的に提供できるシステムの整備に全庁的に取り組んでいるところでございます。

 高度情報化社会に対応して県民が必要とする行政情報を積極的に提供することま、県政に対する理解を深め、開かれた県政を推進する上で大変重要なことでございますので、今後とも条例の適切な運用に努めるとともに、県民のニーズを的確に把握し、それに即応した情報提供を推進してまいりたいと考えております。


1.県の高度情報社会への対応について

1-2高度情報社会への対応の具体策

井手 義弘

 次に、高度情報社会への対応を企画部長にお伺いいたします。

 この4月には総務部の情報システム課と企画部の高度情報化を担当する部署を発展的に統合し、企画部情報政策課が設置されました。また、8月28日には、「茨城県高度情報化推進協議会」が設立され、いよいよ県民に具体的なサービスを提供する主体が産声を上げたところであります。

 推進体制が整った現在、これからは、インターネットを使った県民サービスとして、福祉データベースや生涯学習データベースなどの県の管理するデータベースとの融合を目指し、新県庁舎の完成までには、総合的な県民データベースをインターネットからアクセスできる環境を整備する必要があると考えます。

 そこで、県が進めている高度情報化時代への具体的対応策を企画部長にお伺いいたします。あわせまして、茨城県高度情報化推進協議会の役割と今後の予定をお伺いいたします。

企 画 部 長

 高度情報化時代への具体的対応策についてのおたずねでございますが、近年、情報通信の分野では、光ファイバー網の整備が着実に進む中で、音声・文字・画像を組み合わせて双方向で処理ができるマルチメディア技術が次々と実用化されております。

 また、世界的なネットワークであるインターネットが急速な発展を見せております。

 このような中で、豊かで暮らしやすい地域づくりを進めるためには、県民誰もが必要な情報を容易に利用できる環境を整備し、高齢化・国際化への対応や産業の活性化などを図っていくことが重要な課題となっております。

 このため、本県では、全国の都道府県に先駆けて昨年7月からインターネットを使った県政情報の提供を実施しております。

 今後は、これらの情報に加えて、すでに情報発信を開始しております工業技術センターの工業技術情報をはじめ、県社会福祉協議会の福祉情報、健康科学センターの健康情報など、県の各部門の情報を順次イン夕―ネット化し、情報内容をより充実するとともに、一層の情報通信基盤の整備を進めるなど、高度情報化の進展に対応してまいりたいと考えております。

 さらに、平成11年度に開庁します新県庁舎の県民情報センターにおいては、県民生活に関わりの深い情報を来庁者に提供するとともに、各家庭からも、イン夕―ネットを使って情報を得ることができるシステムを整備するなど、高度情報化社会にふさわしい県民情報センターとしてまいりたいと考えております。

 次に、「茨城県高度情報化推進協議会」についてのおたずねでございます。

 ご案内のとおり、去る8月28日に、県内の産学官にわたる各界の皆様のご参加を得て、本県の高度情報化を推進する中核的な組織として、「茨城県高度情報化推進協議会」が設立されたところでございます。

 この協議会では、高度情報化社会を担う人材を育成するための講演会やパソコン研修会筆を開催するほか、地域格差のない情報利用環境を実現するため、県内15か所の市外局番単位にインターネットのアクセスポイントを設置し、県内全域を網羅するネットワーク接続サーピスを実施することとしております。

 さらに、情報通信ネットワークの活用方策等を検討する調査研究活動など、協議会会員である市町村や企業、様々な団体、機関が、相互に連携を図りながら、幅広い事業を行うこととしております。

 この協議会は、本県の高度情報化を推進する上で重要な役割を担う組織でありますので、県といたしましては、協議会の行う各種事業について、積極的に支援してまいりたいと考えております。


1.県の高度情報社会への対応について

1-3情報教育の推進

井手 義弘

 さて、ここで、高度情報通信社会における教育の課題にふれてみたいと思います。

 本年7月19日に提出された文部省の第15期中央教育審議会の答申には、『情報通信ネットワーク環境の整備の在り方として、近い将来、すべての学校がインターネットに接続することを目指す』ことが表明されております。

 情報通信の先進国、アメリカの状況を見てみますと、「ネットデー96」という事業があります。今年1月にホームページが開設されて以来、1万3千校が参加する大きな盛り上がりを示しています。ホームページの作成や子供たちにパソコンを教えるボランティアの登録も、3月31日現在で約1万8千人にのぼっています。

 全ての学校が、独自にホームページをつくり、学校間や学校と父母、地域の企業や研究機関との交流ができるようになっています。

 この計画にはクリントン大統領も全面支持を表明。1月の一般教書演説で「2000年までに全米の各教室にインターネットを接続する」と発表しました。

 企業も積極的に支援に乗り出しました。アメリカの通信事業社の最大手のAT&Tが2月末、月20ドル・2000円強で使い放題という定額料金を設定し、個人や学校のインターネット利用には、ひと月5時間までは接続無料という特別サービスを始めました。

 マスコミ等の報道によると、この「ネットデー96」事業により、学校の欠席率が目立って減少したり、暴力事件が少なくなったなどの事例が多く寄せられているといいます。2年後、3年後こうした教育を受けた生徒たちがどのように成長するか、その期待が高まっております。

 「ネットデー96」の成功の要因は、最初の第一歩を勇気を持って踏み出したことだと言われています。

 日本でも、我が茨城においても、まず可能なことからスタートすることが必要であると考えます。

 そこで、私は茨城県の最初の第一歩として、一学校一台、一回線のネットワーク対応パソコンの導入を提案するものであります。

 私の試算によると一学校に一台のインターネットの接続に要する初期投資は、デジタル回線を導入したとしても20万円程度。一日7時間、月に20日間通信したと仮定してランニングコストは年間、約36万円にすぎません。最小の投資で、大きな効果が期待できると確信いたします。

 また、情報教育を進める上では、指導する教師の資質の向上が不可欠であります。

 私は、高等学校の教育の現場を実際に視察させていただきました。いずれの高校も、生き生きとパソコンに向かう生徒の姿が印象的でした。そして、現場の先生方に伺ったお話は、異口同音にパソコンを指導できる人材の育成の必要性を力説されておりました。

 大部分の高校が、コンピュータに明るい、興味のある先生の大変なご努力で、学校の情報教育が支えられている現実を見逃すことはできません。

 また、中教審の答申の中でも述べられているように『情報処理技術者や専修学校の教員等のコンピュータに関する指導の専門家を、授業や教員研修などの場に迎えることも積極的に推進されるべき』であります。と同様に、情報教育へのボランティア受けれ制度の導入も大いに検討に値すると思いますので、今後の課題として受け止めていただけますようお願いいたします。

 さらに、デジタルカメラや、カラープリンター、パソコン用ビデオプロジェクターのように学校単位ではその整備が困難な情報機器の貸出制度の創出も、情報教育の振興のために要望いたすものです。

 以上、高度情報通信社会への対応について教育長のお考え方をお伺いいたします。

教 育 長

 高度情報通信社会における教育の課題についての御質問にお答えいたします。イン夕―ネットのめさましい普及など、情報化が急速に進展する社会にありまして、学校教育におきましては、児童生徒の情報活用能力を育成することが強く求められております。

 そのため、県としましては、従来から「情報教育の推進」を学校教育指導の重点に掲げまして、コンピユー夕やソフトウエアの整備を進めるとともに、教員の研修を実施するなど、情報教育の充実に努めているところでございます。

 御質問のイン夕―ネットは、学校に居ながるにして世界の様々な情報が得られたり、双方向での情報交換ができるなどの点で、教育上大きな効果が期待できますので、今後、積極的に利用していくことが必要であり、御提案のように、イン夕―ネット利用環境を整備することは極めて大切であると考えております。

 本県では、平成6年度から小・中・高等学校各一校が、文部省と通産省の指定を受け、イン夕―ネット利用に関する実践研究に取り組んでおりまして、児童生徒が国内外の学校等との情報交換を通して、情報活用能力を高めるとともに、楽しみながら学習を進めております。

 県としましては、教育庁内に高度情報システム検討プロジエクトチームを設けまして、これら指定枝の研究の成果等を参考にしながら、学校教育におけるイン夕―ネットの利用の方法や、その利用環境の整備などについて検討しているところでございます。

 また、教員の資質の向上につきましても、県教育研修セン夕―におきましてコンピユー夕に関する研修を計画的.体系的に実施しているところでございます。

 平成8年度におきましては、基礎的な講座から高度な内容の講座まで、24本の講座を設けまして、約2000人の教員が受講することになっております。イン夕―ネットの研修に関しましても、来年度から、新たなかたちで実施するよう、その準備を進めているところでございます。

 今後とも、児童生徒が情報化の進展する社会に主体的に対応できるよう、諸条件の整備に努めまして、情報教育の一層の推進を図ってまいる所存でございます。


1.県の高度情報社会への対応について

1-4携帯電話からの119番通報

井手 義弘

 去る9月9日は、「救急の日」でありました。

 平成7年の救急車の出動件数は、60、731件にのぼり、8分39秒に1回、救急出動が行われていることになります。

 こうした救急業務の入り口が119番通報であります。

 ここで、移動電話からの119番通報についてご質問いたします。

 携帯電話・自動車電話、PHSなど移動体通信の普及は目に見張るものがあります。

 ことし3月末の移動電話の累計加入数が、1千万台を超え、日本人の成人10人に1台の携帯電話・自動車電話が普及したことになります。それ以降も、1ヶ月100万台近くのペースで増加しているといわれております。

 こうした携帯電話の爆発的な普及に、行政側の対応が追いついていないという現実があります。

 その典型的な事例が、携帯電話からの119番通報の問題であります。

 携帯電話からの119番通報は、生活環境部の調査に寄りますと、

 平成3年には298件でありましたが、平成6年には556件となり、昨年は、1310件と倍増しました。

 一般の有線電話からの119番は、かけた地域を管轄する消防本部にNTTの回線を通じてつながる仕組みになっています。

 しかし、携帯電話の場合、NTTドコモだけが専用線を一本、水戸市消防本部に接続されているにすぎません。携帯電話から通報をすると、県内どこから通報しても、全て水戸市消防本部に接続されてしまうことになります。

 消防への通報は、所管の消防本部に入電されなくれば、出動に支障をきたします。

 そのため、水戸市消防本部では、管轄以外の地域からの通報には、「その地域を管轄する消防署の直通電話番号を教え、かけ直してもらう」ことで、急場をしのいでいるのが現状です。

 さらに、NTTドコモ以外の携帯電話事業者は、消防署への専用線さえ接続されていません。つまり、119番通報は全くできないのが現状です。

 こうした、現状に対して、全国消防長会でも調査検討が開始されておるとは聞き及んでおりますが、具体的対策まだ手つかずの状態です。

 一方、自治体が独自に整備した事例もございます。千葉市消防局は、災害時の事務連絡用として整備した3者通話転送システムを活用し、本年4月より、全ての携帯電話からの119番通報を受信可能な体制を、整備いたしました。

 私が、直接、担当者にそのシステムについて調査をしたところ、NTTの三者通話システムを利用したため、全く初期投資なしでシステムを導入できたそうです。

 また、ランニングコストも、費用負担の課題があるそうですが、その金額はきわめて軽微であるといわれております。

 さらに、千葉市の消防局にNTTドコモ以外の移動体電話業者の専用線も接続させたため、千葉県内をサービスエリアとする全ての業者の携帯電話から通報が受けられるようになったとのことでした。

 119番通報を受ける受信施設の違いなどによって、簡単にこの千葉方式が、本県に導入できるとは思いませんが、早急に、県民の安全を守る立場を第一義に考え、携帯電話からの119番通報を受けられる体制を整備する必要があります。

 各地域の消防本部、消防長会と連携を密にするとともに、県の強いリーダシップが望まれております。この件につきまして、生活環境部長のお考えをお伺いいたします。

生 活 環 境 部 長

 携帯電話などからの119番通報についてお答えいたします。

 ご承知のように、一般加入電話や公衆電話から119番通報をしますと、発信位置を確認し、通報した位置を管轄する消防本部に自動的につながるシステムになっております。

 一方、携帯電話などはこのシステムが使用出来ません。

 このため、多くの都道府県では、自動車電話サービスを最初に開始した会社についてのみ、一つの消防本部が代表となって119番通報を一括して受信し、通報者から仕置を確認した後、管轄する消防本部の一般加入電話番号を教えて、再度電話をしていただくようお願いしているところでございます。

 しかしながら、議員ご指摘のように、この方式は、

 など、迅速性に欠けるなどの課題がございます。

 このため、千葉県のように一部の県では、独自に携帯電話4社と、代表となる消防本部とを専用回線で結び、通報者の声を、地元消防本部へ転送するシステムを取り入れるなど新たな試みがなされております。

 しかし、この方式においても、転送のための新たなシステムが必要なこと、さらには、携帯電話各社の交換局から遠距離にある茨城県などでは、多額の回線使用料が必要となるといった課題がございます。

 こうしたことから、全国消防長会では費用等の問題も含め、どのような方式が良いか、委員会を設けて検討を進めているところであり、自治省消防庁でも、その結果により対策をまとめたいとしております。

 したがいまして、県といたしましては、この検討結果を踏まえ、県内消防関係機関と協議し、移動体電話から通報を受けられる体制の整備を進め、火災等の早期発見・早期通報に万全を期すよう努めてまいります。


2.高齢者福祉の推進について

2-1ホームヘルプの充実と介護者支援策

井手 義弘

 次に、高齢者の福祉の課題を知事並びに福祉・衛生の両部長にお伺いいたします。

 現在、国におきましては、介護保険制度の導入が検討されております。

 私の所属する公明は、国の介護保険制度導入への議論に、机上の空論ではなく、確たる裏付けを持って参加すべく、この8月に、在宅介護に関する全国調査を実施いたしました。

 「調査無くして発言なし」が私たちのモットーであります。全ての地方議員が、寝たきりのお年寄り、痴呆の高齢者、痴呆で寝たきりの高齢者の方を実際に訪問し、介護している方から生の声を伺うことができました。

 茨城県分を集計した結果からは、寝たきりや痴呆の高齢者の介護の実態がいかに深刻なものか、その現状がひしひしと伝わって参ります。

 たとえば、介護される方の年齢と介護している方の年齢をクロスリファレンスした結果がございます。

 それによると、70歳以上の方が、同じく70歳以上の高齢者を介護している例が全体の46%にものぼっている事実が浮かび上がって参りました。すでに、介護する者も精神的、肉体的限界に達しているのが実状でありましょう。

 また、その費用の問題も深刻でありました。介護費用が家計の中にしめる状況が、「危機的状況である」が2.8%。「非常に重い」が22.7%。「重いが」51.9%を占め、その合計は、77%の家庭が重い負担に呻吟している状態です。

 こうした、実状の中、一番希望する在宅福祉サービスは何かとの問いに、圧倒的に多くの方が望んだサービスは、ホームへルプサービスであり、28.2%の方が必要だと答えました。また、訪問看護を必要なサービスと上げた方が二番目に多く、13.4%の高率にのぼっています。更に、医学的管理サービスの導入を希望する声も多く見られました。

 こうした実態調査をもとに、福祉部長にお伺いいたします。

 ホームヘルプサービスは、その量的な充実も叫ばれておりますが、質の充実も重要な観点であります。具体的には、早朝や夜間のサービスの実施や、土日の体制整備などは、積極的にその充実を図る必要があります。

 ホームヘルプサービスの質的向上への具体的施策をお伺いいたします。

 また、介護者を精神的、肉体的に支援する施策の導入を検討する必要があると思いますが、あわせまして福祉部長のご所見をお伺いいたします。

福 祉 部 長

 高齢者福祉の推進についてお答えいたします。まず、ホームヘルプサービスの充実についてでございますが、ホームヘルプサービスは、ヘルパーの増員とともに、そのサービス内容の充実が課題となっております。

 そのため、サービスの提供時間や訪問回数などの改善について、利用者のニーズに応えることができるよう、市町村に対し、強く働きかけているところでございます。

 さらに、介護ニーズの高いねたきりや痴呆性のお年寄りに対して、より質の高いサービスが可能となるよう、早朝や夕方、休日等、幅広い時間帯でサービスを提供する「チーム運営方式」の導入を、市町村に対し昨年度から指導・要請しているところでございまして、本年8月現在、日立市、龍ケ崎市など9市町で13のチームが発足しております。

 また、今後は特別養護老人ホームなど、民間への事業の委託を一層促進するなどにより、24時間対応型のサービスが提供できるような体制の整備に努めてまいります。

 次に、家族介護者の精神的、肉体的な面についての支援策についてでごさいますか、介護を必要とするお年寄りの「生活の質」の向上はもとより、介護者の負担軽減を図ることが強く求められております。

 このため、ホームヘルプ、デイサービス、ショートステイの在宅福祉三本柱を中心に、訪問入浴サービスや車いすの給付など、各種の介護支援施策のなお一層の推進に努めてまいります。

 さらに、精神面からの支援につきましても、地域において24時間体制で介護相談が受けられる「在宅介護支援センター」の拡充を図りますとともに、介護機器の相談や介護技術を身につけられる「県介護実習・普及センター」、お年寄りの心配事や悩み事の相談に応じる「県高齢者総合相談セン夕―」(シルバー110番)などの相談機能の充実に努めてまいります。

 また、家族介護者が一堂に会し、交流が深められる「在宅介護者の集い」を毎年開催し、リフレッシュを図っていただいているところでございます。

 今後とも、家族の方々が安心して介護にあたられるよう、市町村や関係機関と連携を密にしまして、介護者の精神的・肉体的な負担をできるだけ軽くするための施策を充実させてまいります。


2.高齢者福祉の推進について

2-2訪問看護ステーション整備と医学的管理サービスの導入

井手 義弘

 次に、訪問看護の充実、並びに医学的管理サービスの導入について衛生部長にお伺いいたします。

 訪問看護は、各地域でその導入が進み、実績が着々と上がってきております。しかし、地域の拠点、すなわち訪問看護ステーションの整備は、端緒が開かれたにすぎません。現在の整備状況では、遠隔地の場合、利用者の交通費負担が大きく利用できないという実例も出てきております。

 このような状況を解消するためにも、県民からの要望の高い訪問看護ステーションの整備促進に向けて、どのような取り組みをされるのでしょうか?

 また、かかりつけ医師などにより療養上の管理や指導を行う医学的管理サービスは、寝たきりの高齢者だけではなく、先のアンケート結果でも明らかなように介護者への援助策としても大変重要な施策であると考えられます。今後、地域ケアシステムの整備充実の中で、在宅医療についての体制整備を進めていくため、一刻も早く具体的な誘導策を施策化すべきだと考えます。以上2点につきまして、衛生部長にお伺いいたします。

衛 生 部 長

 まず、老人訪問看護ステーションの整備についてお答えします。この施設は、本格的な高齢化社会の到来に対応して、在宅療養の高齢者に対する生活の質を配慮した訪問看護サービスを提供するものとして、在宅ケアの中心をなす重要なものでございます。

 県におきましては、老人保健福祉計画において平成11年度までに110ケ所の整備を目標に、設置の促進を図っておりますが、現在設置数は35ケ所、目標達成率は32%で、年度内には46ケ所になる見込みでございます。

 さて、利用者の交通費負担が大きく利用しずらいとの議員のご指摘がございましたが、このため、身近な場所に適正に配置してまいりたいと考えております。

 その方策として、本年4月から、地域で在宅ケアを進めている保健所に、ステーション開設に当たっての事前協議等の事務を委譲し、医療機関との連携や看護婦情報の提供等、木目細かな助言指導を行えるよう体制の強化を図ったところでございます。

 今後とも、医師会、医療法人、社会福祉法人等の設置主体に対し、建物や備品などの整備に係る助成制度の活用についての普及啓発を図り、老人訪問看護ステーションの一層の整備促進を進めてまいりたいと思います。

 次に、医学的管理サービスについてお答えします。

 かかりつけ医が家庭を訪問し、療養上の管理や指導を行うことを医学的管理サービスとよばれており、国で導入を予定している介護保険制度におきましても、給付内容のひとつとしてとりあげられております。

 また、本県で実施しております地域ケアシステムにおきましても、かかりつけ医は、栄養、服薬等の療養上の管理・指導を行うなど、重要な役割を担っております。

 しかしながら、地域ケアシステムが導入されてから日が浅いため、必ずしもかかりつけ医の参加が充分とはいえない状況下にございます。

 また、住民の大病院志向のもとで、かかりつけ医制度が県民に浸透していない現状でございますので、現在実施しておりますかかりつけ医推進モデル事業,かかりつけ医のマップの作成配布、訪問看護ステーションとの連携、相談窓口の開設などを,より一層充実することにより、かかりつけ医制度の定着を促進するとともに、地域ケアシステムの事業のなかに、かかりつけ医の参加について今後も医師会と連携を図り、その促進に努めてまいりたいと考えております。


2.高齢者福祉の推進について

2-3一元的・総合的な推進体制

井手 義弘

 さて、こうした高齢者福祉の行政を進める上で、今、議論を深めなくてはならない課題があります。それは、福祉の部門と医療の部門の一体的、総合的な行政の推進と言うことです。

 現在、高齢者の福祉は、必ずしも一元的に進められているとはいえません。

 たとえば、在宅福祉においては、ホームヘルプサービスは福祉部高齢福祉課、訪問看護や老健施設でのディケアは衛生部健康増進課とその所管は二つの部にまたがっております。

 入所施設に関しても、老人ホームや特別養護老人ホームなどを所管する福祉部、老健施設を所管する衛生部とに分かれているのが現実です。

 こうした現状の上に、新たな介護保険制度が創設・導入されたならば、現在の福祉部と衛生部の二部体制による高齢者福祉の体制を抜本的に見直す必要性を感ずるのは私一人ではないと思います。

 目を全国に転じてみますと、既に25府県が福祉分野と医療分野を一元的に管轄する部局を設置しております。

 更に、来年度より青森、岩手、静岡、熊本の四県が統合を予定しております。

 こうした現状を詳細に検証するため、私は、福島県と栃木県の両県を視察し、関係者から説明を聴取いたしました。

 福島県においては、平成6年4月より、栃木県においては、本年4月より、保健・医療と福祉の総合的で一体的推進体制を確立するための組織機構改革が断行されました。

 この機構改革により、高齢福祉の担当課には、在宅福祉を所管する部門と、老人ホーム等の老人福祉施設を所管する部門、老健施設等の老人保健法に関する事業を行う部門が一括して配置されました。

 また、健康保険と年金を所管する保険課や国民年金課も統一された保健福祉の担当部に属し、ほとんどすべての高齢者にたいする施策が同一の部内で処理できる体制が整えられました。

 さらに、栃木県では、来年度を目処に、出先機関である保健所と地方福祉事務所を福祉保健センターとして再編する作業も進められております。

 一方、本県におきましては、昨年12月「行政改革大綱」がまとめられました。平成8年度の大綱の実施計画によりますと「高齢化に対応した施策推進体制の強化のため」、「福祉・保健・医療の連携」について担当部門による検討が行われることになっております。

 行政のあるべき姿、組織体を考えるときそれは、そのサービスを受ける主体者である県民の目から見る必要があります。県民のニーズの変化や社会的な状況の変化によって、組織体も柔軟に対応していくことが必要でありましょう。

 そこで超高齢社会を迎えるに当たり、高齢者に対する福祉・保健・医療の一元的・総合的な推進体制について、橋本知事から基本的なお考えをお伺いいたしたいと思います。

知  事

 井手義弘議員のご質問にお答えいたします。

 高齢者福祉の一元的・総合的な推進体制についてでございます。

 高齢者の福祉や保健・医療の対策につきましては、その施策の基本となります「老人保健福祉計画」に基づきまして、特別養護老人ホームや老人保健施設、ホームヘルパーや訪問看護ステーションなどのサービス提供の体制づくりを、一体的、総合的に進めているところであります。

 また、在宅ケアチームを組み、総合的にサービスを提供する「地域ケアシステム」は、福祉・保健・医療の連携施策として、全国に先駆けて取り組んで参ったところです。

 さらに、庁内に、各部局長等を構成員とする「高齢化対策推進本部」を設置し、高齢者福祉や雇用、生涯学習などを含む高齢化対策について、全庁的な調整を図りながら推進しているところであります。

 しかしながら、今後ますます高齢化が進むなか、県民が安心して暮らせる長寿社会を実現していくためには、引き続き施策相互の連携を図っていくほか、様々な行政課題に、より適切に対応できる推進体制の充実・強化を図っていくことも必要であると考えております。

 このため、今後、高齢者の福祉・保健・医療の総合的な推進につきましては、国の地方分権推進委員会において福祉事務所や保健所の組織などに対する規制や関与の見直しについて、議論が行われているところでありますので、その動向なども見ながら、対応して参りたいと考えております。


3.病原性大腸菌O157への恒久的対策について

3-1飲料水の安全対策

3-2総合的食品管理体制(HACCPの導入)

井手 義弘

 続きまして、病原性大腸菌O157への恒久的対策についてお伺いいたします。

 9月9日現在、厚生省の調べによると、O157中毒での累計の患者数は、9709名に達し、11名の尊い人命が失われました。また、216人の方が依然として入院をしております。

 我が県においても6名の患者が確認されております。

 現在も入院加療中の方も含め、患者の皆さまに、お見舞いを申しあげますとともに、亡くなられた皆さまのご冥福を心からお祈りいたすものであります。

 この夏の日本でおきた集団発生は、WHO世界保健機構の調査でも過去に類例を見ない大規模なものでありました。

 このO157による感染症は一過性のものではなく、むしろ、本年がO157への戦いの始まりの年と位置づけ、抜本的対策を確立する必要があります。

 O157は塩素による殺菌にきわめて弱いと伺っています。したがって、水道水は一般に安全であるとされております。

 しかし、茨城県では、約15万戸の家庭が井戸水を飲用に使用しております。飲料井戸の安全対策が是非とも必要になってまいります。

 同様に、ビルやマンションで使用している受水槽の対策も必要であると思われます。

 また、O157感染を、その根本(ねもと)から断つ発想での対策も不可欠です。つまり、食肉処理の段階からO157をはじめとする細菌を予防する試みです。

 食肉や食肉製品の生産、加工、流通販売の各段階で、きめ細やかに細菌汚染の防止措置を取る衛生管理システムは「HACCP(ハサップ)」とよばれております。

 すでに、栃木県では1992年、産・学・官からなる「県食肉衛生技術会議」を発足し、全国に先駆けてこのシステムの調査研究を進めてきております。

 「HACCP(ハサップ)」は、食肉や食肉製品の原材料、つまり牛や豚、ニワトリなどの飼育や、収穫から、加工、輸送(ゆそう)、販売、調理に至る一連の処理過程において微生物の危険度を特定し、計画的に制御するシステムです。

 我が県においても、食肉処理場や食品工場などに、この「HACCP(ハサップ)」の概念を導入した総合的な食品衛生管理体制を研究、導入する必要があると思われます。

 飲料水の安全確保対策と総合的食品衛生管理体制の導入について衛生部長のご所見をお伺いいたします。

衛 生 部 長

 病原性大腸菌0―157への恒久的対策についてお答えいたします。

 はじめに、飲料水の衛生確保対策についてでごさいます。

 水道水は、塩素消毒をしており安全ですが、塩素消毒をしていない井戸水の検査結果をみますと、一般細菌や大腸菌群で約5割か基準を超えており、0―157などの病原菌に汚染される恐れかあることから、住民に対し井戸水の大腸菌群の検査を行うよう市町村の広報紙等を活用して周知を図っているところでごさいます。検査の結果、万一、大腸菌群が検出された場合には、煮沸してから飲用するよう指導しております。

 県としては、今後とも機会があるごとこ、県や市町村の広報紙、ラジオ、新聞等を活用して水質検査を行うよう井戸水利用者に対する啓発を行ってまいります。また、抜本的な対策としては、安全な水道の普及を進めることが最も重要であり、水道の整備促進と水道が整備されているにもかかわらず加入していない人達への加入促進を図ってまいります。

 次に、ビルやマンションに設置している受水槽の衛生確保対策についてであります。

 受水槽は、汚れがありますと、残留塩素か消失し、また、受水槽に亀裂等かありますと、外部から汚染された水が入り込む危険があるわけで、定期的に清掃や補修など管理の徹底を図る必要があります。このため、0―157の緊急対策として、残留塩素の有無の検査を8月1日から保健所窓口で無料で実施しておりますが、今後は、水道法やビル管理法及び県給水施設条例に基づき、管理検査や水質検査を徹底するよう設置者に対する指導を強化していくとともに、広報紙や新聞等を活用して受水槽の適正な管理を行うよう啓発を行ってまいります。

 次に、総合的食品衛生管理体制の導入についてのご質問にお答えします。この管理方法は「HACCP(ハサップ)」危害分析・重要管理点方式とよばれており、食品の処理・製造工程中の汚染原因を徹底的に分析し、重要な管理ポイントを連続的に監視して危害を除去する方法で、国際的に高い評価を得ております。

 このため、厚生省では、食肉処理場の新たな衛生管理基準の見直し作業を進めております。その中で、この、HACCP(ハサップ)」の手法を取り入れた新しい基準を年度内に作成する予定と伺っております。

 県としましては、その新たに示される基準か遵守されるよう指導してまいりますが、それまでの間は、食肉処理場における衛生指導の一層の徹底を、従来にも増して行ってまいります。

 一方、食品工場の場合についてでごさいますか、食品衛生法などにより、衛生管理の基準が示され、保健所の監視指導によりまして、その遵守を図っているところでごさいます。

 食品工場に対しまして、「HACCP(ハサップ)」を強制的に導入させることはできませんか、先程ご説明しましたとおり、従来の手法よりも優れた総合的な管理方法でありますので、その普及啓発に努め、工場が導入を図るよう指導をしてまいります。


4.河川改修と水辺空間づくりについて

井手 義弘

 最後に日立・十王地域の都市河川の河川改修並びに水辺空間づくりについて土木部長にお伺いいたします。

 私の住む日立市にあっては、南北に細長い住宅地に、建物が密集しているということもあり、住宅地を流れる河川にあっては、コンクリートで固められた親しみ、うるおいのない川が多く見られます。

 特に南部を流れる大沼川にあっては、両岸には住宅団地が張り付いているため、川幅も狭く、家屋の浸水による被害もみられる状況にあります。

 このような状況下、大沼川の改修について着手したと聞いておりますが、今後の整備についてお尋ねいたします。

 また昨今、環境に対するやさしさがクローズアップされており、すでに市内南部の茂宮川の河口付近や、中央部を流れる鮎川の諏訪梅林付近では親水性のある階段護岸等が整備され、自然にしたしみ、住民のいこいの場としての、うるおいのある水辺空間が創出されております。

 今後とも都市河川の整備には、環境に配慮した施策の展開が望まれるわけですが、これら3河川の水辺空間の整備について土木部長の考えをお尋ねいたします。

土 木 部 長

 河川改修と水辺空間づくりについてお答えいたします。

 まず、大沼川の整備についてでごさいますが、この河川は、勾配が急なうえに、住宅密集地を流れていることから、河床の洗掘を防止するため河床をコンクリートで固めたり、護岸勾配を急にするなどの工法で整備してまいりました。

 特に、日立電鉄線から国道245号までの700m区間は河巾が狭いことから度々沿川宅地の浸水被害を惹き起こしております。

 これらを解消するため、本年度から日立市が事業主体になり、洪水を安全に流すことができるよう改修することとなっております。

 また、平水時は水辺に近づけるよう親水性のある水辺空間を確保することにより、街づくりと一体となった川づくりを進めていくこととしておりますが、県としても支援をしてまいります。

 次に、茂宮川や鮎川についてでごさいますが、議員御承知のとおり、水と親しめるように階段護岸を整備するとともに、自然環境と調和する石積護岸につても整備を進めております。

 特に鮎川では、河川の清掃が地元の人たちにより行われたり、夏場の水遊びの場として子供達に喜ばれております。

 今後とも特に都市河川については、治水上安全性が確保できるような河川施設の整備とあわせて、水に親しめる川づくりを進めてまいります。


井手よしひろのホームページに戻る
ご意見・情報をお送りください(Email y_ide@jsdi.or.jp)