委員会記録

平成8年 第2回定例県議会委員会質疑速報

<福祉衛生委員会>

福祉部関連 生活保護について生活保護の現状
  生活保護費の給付方法について
  口座払いの推進
 児童虐待の防止策について児童虐待の現状
  早期発見と防止策
衛生部関連   非加熱製剤の県内での使用状況 非加熱製剤の県内での使用状況
  ミドリ十字等への不買運動について
 県立中央病院について 中央病院の経営改善策について

生活保護の現状と問題点について

井手委員

 東京都豊島区池袋本町2のアパートで、2人暮らしの母親(77)と長男(41)が餓死し、20日間以上たった4月末に発見されていた。

 長男は病気のために寝たきりで、母親の日記には「子供と私は、後どんなにして生きていくのだろうか、いくら考えてもわからない。区役所等に頼んでも、私共は、まともには、世話してもらえないし、どんなところに、やられて、共同生活をしなければ、できないかを考えると、病気で苦しんでも、誰も、わかってもらえそうにないので、今の自由のきく生活のままで、二人とも、死なせていただきたい」(死の一ヶ月前の3月8日付け)と記されていたという。

 この痛ましい事件を見ると、福祉をめぐる誤解と根深いマイナスイメージが感じられる。

 平成8年6月議会において、茨城県における生活保護の現状とその問題点を質問した。

社会福祉課長 保護世帯数の現状

     平成8年3月末現在で6435世帯(9376名)

申請数の推移(市への相談申請のみ)

相談数申請数
H5年1888 1436
H6年2068 1628
H7年22091528

市町村、各福祉事務所の現状

福祉事務所名
口座振替払実施の状況
今後の実施予定
水戸市
有(約90%)
日立市
有(7件)※必要があれば口座払いを拡大する
土浦市
有(約82%)
古河市
無(現行どおり)
石岡市
無(現行どおり)
下館市
無(現行どおり)
結城市
有(身障者、寝たきり老人など)
竜ケ崎市
有(36%)
下妻市
無(保護者と定期的に会う機会がなくなる)
水海道市
有(5件) ※必要があれば口座払いを拡大する
常陸太田市
有(2件) ※必要があれば口座払いを拡大する
高萩市
無(現行通り)
北茨城市
有(75件)
笠間市
有(実施を検討している)
取手市
無(現行通り)
岩井市
無(保護者と定期的に会う機会がなくなる)
牛久市
無(ケースが少なく、要望がない)
つくぱ市
有(95.8%)
ひたちなか市
有(32%)
鹿嶋市
無(要望がない)
水戸地方
無(現行通り)
大宮地方
有(町村からの要望もあり、口座払いを検討中)
常陸太田地方
無(現行通り)
鉾田地方
無(現行通り)
江戸崎地万
有(原則口座払いの方向で、町村に打診中)
土浦地方
有(原則口座払いの方向で、町村に打診中)
下館地方
無(現行通り)
境地方
無(現行通り)

井手委員 今後の支給法についての県の考え方について

 生活保護法は、憲法第25条の1「すべての国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」の理念に基づき制定されたものです。

 したがって、生活保護の給付も、給付を受けている者に精神的・物質的負担をかけてはならないと思います。しかし、給付の現実は、月一回の給付日に市町村の窓口に取りに来ることを義務づけている自治体が大半です。

 そのために、仕事を休まなくてはならない。体が不自由でも出向かなくてはならない。市町村の窓口で長く待たされたり、並ばなくてはならない。等の物質的、精神的な苦痛を余儀なくされています。 

 一方、水戸市や土浦市、つくば市のように大部分を口座払いに移行しているところもあります。

 こうした住んでいる地域によって得られるサービスが異なることは、生活保護法第二条の「全ての国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護を、無差別平等に受けることができる」との条文の精神にも反すると考えられます。

したがって、一刻も早く、希望する者には口座払いによる保護費の支払いを実施する必要があると主張いたします。

社会福祉課長

 平成6年に県の細則を変更し、口座払いもできるようにした。

 今後は、口座払いを推進する方向で、町村とも打ち合わせながら、生活保護制度の充実を進めていきたい。


児童虐待の早期発見と防止策

井手委員

 茨城県における児童虐待の現状と早期発見対策、その防止策をお伺いしたい。

 特に、児童虐待の早期発見のために、児童相談所や民政員などの福祉分野だけではなく、医療機関や保育所など総合的な対策が必要である。

 また、相談電話サービスの充実も不可欠である。

児童福祉課長 児童虐待の相談件数グラフ

 茨城県による児童虐待は、中央児童相談所の集計では、平成3年以来、毎年増加傾向にあり、平成6年度には5倍近くの148件に達した。

 平成7年度は、若干落ち着きをみせ108件であった。

 しかし、その実態は不明の部分が多く、早期発見と防止策に真剣に取り組む必要がある。

児童虐待の相談種別ごとの割合
身体的暴力性的暴行ネグレクト心理的虐待登校禁止
男子15 011 0 0
女子11 2 8 0 0
合計26 219 0 0
ネグレクトとは、保護の怠慢・拒否のこと

児童を加えた者の割合

 子供・家庭テレホン相談
 子供や家庭の問題について、中央児童相談所に専用電話を設置し、専門の相談員による相談を受け付ける。


県内の非加熱血液製剤の使用状況

井手委員

 非加熱製剤によるHIV感染が大きな社会問題となっている。

 ミドリ十字・バクスターなど五社が製造販売した非加熱製剤により、血友病患者の内2000人が、HIVに感染した。その内400名が既に死亡しているという。

 HIV感染患者と製薬会社との和解が、3月29日に成立し、一応の決着を見たが、その責任体制など多くの課題を抱えている。

 特に、血友病以外の患者への非加熱製剤の使用が広範囲に行われていた事実が浮上し、現在その追跡調査が行われている。

 茨城県における非加熱製剤の使用の実態、特に、使用の可能性があるといわれる医療機関の数と、県立三病院(中央病院・友部病院・子供病院)が使用されていたか、否か、伺いたい。

医療整備課長

 県内で非加熱製剤が出荷されていた医療機関は、40カ所である。

 県立の医療機関で使用されていたかどうか個別の使用状況は、厚生省の指導もあり答弁できない。

井手委員

 今回の薬害エイズの事件で、全国14都道府県が、ミドリ十字など五社からの薬品購入を中止した。

 橋本県知事においては、4月4日の記者会見によって、「和解の条件が守られ、補償が履行されていくのなら不買運動を行う必要はない」と延べ、不買は行わない方針を明確にしている。

 しかし、非加熱製剤の投与実態が血友病のみに限られず、加熱製剤が生産され、HIV感染の危険性が指摘された86年1月以降も、非加熱製剤が出荷されていたなどの新たな事実が判明してきた事実を考慮するとき、不買運動を再検討を強く要望する。


県立中央病院の経営改善について

井手委員

 県立中央病院は、昭和63年に現在の病院に改築されてから、毎年多額の赤字を計上し、その累積赤字は、39億円にのぼっている。

 個別の効率指標を見ると

 効率的の多くの課題があることが浮き彫りになっている。

 平成7年度の収支状況と、経営改善策を伺いたい。

医療整備課長

県立中央病院の収支状況
赤字額
平成4年4億5982万
平成5年6億2707万
平成6年6億3438万
平成7年3億3700万

 主な経営改善策としては、

 こうした改善策を着実に実行し、2000年までに赤字を無くしたい。


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