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最終更新日:2003/JAN/18
北朝鮮貨物船が日立港で座礁
燃料重油とタイヤチップの撤去完了。
費用負担が大きな課題。

日立港東堤防で座礁した北朝鮮貨物船から積み荷のタイヤチップを撤去
日立港東堤防で座礁した北朝鮮貨物船
2003/1/13、EOS D-30で撮影。PhotoShopで解像度変更後、色調調整。

 朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)船籍の貨物船チルソン(CHIL SONG)が、日立港沖堤防で座礁し、燃料の重油が現場一帯に流出するという事故が発生しました。
 チルソン号は、2002年12月4日午後7時半ごろ、検疫錨地でアンカー(錨:いかり)を下ろして停泊しました。しかし、アンカー設置が不完全であったため、5日未明、停泊中にエンジントラブルを起こし漂流。東堤防のテトラポットに座礁しました。
 船底が破損し、燃料用のC重油が流出しました。チルソン号が座礁した日立港の北隣には久慈漁港があり、周囲の海はアワビやウニ、シラスなどの好漁場となっています。漁業に対する影響が大いに懸念されました。
 県や日立市関係者、漁協関係者、市民のボランティアなどの協力で、6日〜8日にかけて重油の回収作業が行われ、漁業に対する深刻な被害は回避されました。
 この回収作業には、井手よしひろ県議をはじめ、石井啓一衆議院議員、額賀俊彦市議など公明党日立支部の党員ら50名も協力しました。
 日立港を管理する茨城県は、座礁したチルソン号を東洋一の高馬力タグボートで曳航する計画を進めました。
 作業開始から33時間をかけ、必死の作業が続きましたが、船体の損傷と浸水が予想外に激しく、強行すれば船体が分解することも懸念され、曳航作業は、12月11日に中止されました。
 このままでは、船体の分解も懸念されるため、積み荷のタイヤチップ約1200トンを撤去する作業が2003年1月10日から始まりました。この作業は17日ごろまでに完了しました。
 廃油の撤去や曳航作業、積み荷の撤去作業に要した費用は、県が代執行で肩代わりしています。
 今後、その費用負担を巡って、北朝鮮との外交問題に発展しそうです。


北朝鮮貨物船「チルソン号」の座礁事故の経過
12月5日(木)
5:05日立港湾事務所から連絡
「北朝鮮船籍の貨物船「チルソン号」が日立港東防波堤北側で座礁、油が流出し、第一埠頭から日立港内に入っているらしい」との第一報
5:20臨港消防署にオイルフェンスの手配を指示
6:00日立市が災害情報連絡会議を設置
7:00日立市より県防災ヘリコプター海面調査のため出動要請
7:40日立市消防本部が警防指揮本部を第一埠頭に設置
7:50海上保安庁の監視船2隻が出動
8:15日立港内にオイルフェンス設置開始
8:30日立港長から日立港における航泊禁止通知
8:40日立市長及び両助役、関係部課長において対策協議
9:20県防災ヘリが現場から水木浜方面へ約1qにわたって油の流出を確認
10:00第一埠頭において油回収作業開始
10:05県防災ヘリが久慈浜海水浴場で油の漂着確認
10:10風向きの変化に伴い、北側にオイルフェンスを増設、漁船5隻が油回収のため久慈漁港出港
11:00久慈町漁協において海上保安庁主催の第1 回事故対策会議開催、海上保安庁ヘリが船体調査を実施し、チルソン号第2タンクの破損を確認
11:10消防本部が回収用具として、ドラム缶33本、柄杓50本、タモ網20本を準備
12:10海上保安庁から油の流出状況報告あり
日立港内設置のオイルフェンス内側約50%の範囲で油膜を確認
日立港外の約3.2km先まで、薄い油膜の点在を確認
座礁船付近は防波堤に沿って約500mの濃い油膜を確認
12:35井手よしひろ県議日立港第一回現場視察
14:15海上保安庁、日立港湾事務所、漁業関係者等が船7隻、200人体制で油回収作業中
15:30市職員90人体制で久慈浜海水浴場の油回収作業実施(土のう14袋分回収)
12月6日(金)
8:00漁業関係者、ボランティアが油の回収作業を開始
9:00久慈浜海水浴場では、県職員30人、市職員50 人、漁協婦人部70人、及びボランティアが共同で回収作業実施
10:25防災ヘリが座礁船から南南東約3km 、幅約100m にわたり油の流出確認
10:40海水浴場の油回収作業終了(土のう26袋分を回収、2日間の合計は40袋、約200kg分)
10:45井手県議2回目の現地視察(久慈浜海水浴場付近)
11:30第一埠頭入口付近にボランティア受付テントを設置。県と市で対応
11:40海上保安庁が今後3日分の資機材等を準備。座礁船の北側にオイルスネア設置
11:45井手県議第一埠頭入り口でボランティア受け入れ状況を確認
12:15井手県議、額賀市議、地元久慈町漁協今橋組合長とボランティア派遣について打ち合わせ。
12:30井手県議、石井啓一衆議院議員の現地調査日程を国会ならびに市現地本部打ち合わせ(12月7日、8:00に決定)
13:10漁協から市に対し、ボランティア用の昼食、飲み物、ビニール製防護服等の要望
13:50日立市社会福祉協議会からボランティア派遣体制が整っているとの連絡あり
16:33荒天のため第一回えい航作業延期の決定
17:00第4回事故対策会議で、えい航作業を12月7日に再度実施すると報告
12月7日(土)
7:30市職員20人体制で久慈浜海水浴場の油回収作業実施
8:00石井啓一衆議院議員が現地調査
公明党員50名を含め、ボランティアが油回収作業を再開
8:56日赤茨城県支部が救護所を第一埠頭に設置
9:40県港湾課がひたちなか港付近への油流出を確認
13:35那珂湊海上保安部が座礁船えい航作業の延期を発表
14:00漁船の出漁禁止解除
12月8日(日)
7:30市職員20人体制で久慈浜海水浴場の巡視活動実施
第 一埠頭で油回収作業開始
9:00那珂湊海上保安部は、船体調査及び船体と防波堤との間に橋を架けるための現地調査実施
船主から油抜取り作業の実施についての同意は得ているが、作業費用の負担については引き続き交渉中
17:00座礁船の船長から下船要望を取り下げる旨の報告あり
17:30県港湾振興監から久慈町漁協へ、日立港内の水質は問題なしとの報告あり
12月9日(月)
12月10日(火)
11:30日本サルベージ(株)所有の大型タグボート「航洋丸」が日立港到着
19:00日立港座礁船対策実施会議結果
海の条件がよければ、11日午前10時から座礁船にロープを懸け、大型タグボート航洋丸で引き出した後、検疫錨地東側まで曳航する予定(所要時間は約4時間)
えい航中は、船内に入り込んだ海水をポンプで船外へ排出する
12月11日(水)
9:05日立港湾事務所長から説明あり
午前10時から予定していた座礁船のえい航作業は、船体の損傷が予想以上に悪化しているため延期する
10:45航洋丸始動
14:30橋本昌県知事ならびに井手県議現場にて曳航作業を視察
14:31県が座礁船引き出し開始の指示
14:40座礁船に設置した第1タンクのポンプから排水を開始
14:45ロープの張り合わせ作業を開始
16:27那珂湊海上保安部発表
曳索張力50tの力で引いているが、変化はない
船体の傾きは14度、船首の向きに変化はない
16:30井手県議、日立港湾事務所で状況説明を聴取
16:40橋本県知事が漁船に乗り現地を調査中
17:30橋本知事、井手県議ら久慈町漁協で漁協関係者らと意見交換
22:00県港湾振興監記者会見報告
座礁船の引き出しは、12日午前3時の干潮以降に実施する予定
油の流出については、現在はほとんど見られない
12月12日(木)
5:00第1船倉は適宜排水中、第2船倉はポンプ4台で排水中だが、潮位が上がる一方で船倉内の水位が下がらないため、さらにポンプを増設する方向で検討中、エンジンルームは適宜排水中
11:05第2 船倉排水開始
19:20日立港座礁船対策実施会議開催
曳航は断念して今後はオイル回収に専念
明日早朝からオイル抜き作業を開始
12月13日(金)
県議会農林水産委員会が現地調査
井手県議も参加
1月10日(金)
積み荷のタイヤチップ回収開始
1月16日(木)
積み荷のタイヤチップ回収を完了


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