新進党の小沢一郎党首のインタビューから
『日本の「再生・発展」(新進党)か「衰退・崩壊」の自社さか』
−−今回の総選挙の最大の争点は何でしょうか。また選挙戦で訴えるポイントを聞かせてください。
今回の総選挙の歴史的意義は、日本の「再生・発展」という改革の道(新進党)を選ぶか、「衰退・崩壊」という守旧の道(自社さ政権)を選ぶか、にあるといえます。今になって口先ではだれもが「改革、改革」と言っていますから、どれが本物かを国民の皆さんに見極めていただく選挙になると思います。
今、景気回復とか経済の再建という言葉が盛んに使われていますが、マクロ(大きな)の視点で日本経済がどうだ、貿易収支がどうだと言われているうちはいい。けれども、このままいくと、じわじわと個人の現実の暮らしの中に響いて、生活そのものを崩壊しかねない。雇用も依然として最悪の状態で、失業がもっと増えるかもしれない。ですから、今回の総選挙で私が国民の皆さんに一番訴えたいのは、まだマクロの議論、すなわち、まだ足腰の立つうちに国民生活を立て直すための改革をするのが一番大切な問題だということです。
−−今回の「政権構想」の中で、単なる選挙公約ではなく、選挙で国民と「契約」を交わすという画期的なスタイルをとったのは……。
行政改革にしても国民の暮らしをより豊かにするためにやるんです。公共料金の引き下げも、高齢社会時代の不安を解消しようといっているのも、結局は国民の暮らしを守っていくという政治の原点の話です。今これをやらないと取り返しがつかなくなってしまいます。ですから、新進党は「暮らし立て直し政権」をつくって、バブル経済とその崩壊で疲れ切っている国民生活を四年間で立て直します、ということを国民の皆さんと「契約」したい。
契約は、不履行の場合、法的責任が問われます。総選挙で新進党に過半数を与えてくださり、政権を任せていただくなら、私たちは必ず「契約」を実行します。もし、「契約」を実行しなかった時には、私が責任を取り、政治家を辞め政界を去ります。「契約」のスタイルを取り、このように政治責任を取る決意表明をしたのは、「私たちは必ず実行する」ということを明らかにしたいと思ったからです。
−−来年度からの十八兆円の大減税の財源はどうするのですか。
消費税率据え置きと大減税を断行すると一時的に財政が悪化することは避けられません。しかし、経済の活性化、新しい時代に向けての構造改革などを行う中で、税収増が期待できるし、国・地方を通じた二十兆円以上の革命的な行政改革を進めることによって無駄な経費を省くこともできます。政府・与党、そして彼らにくみしている人たちは財政を悪化させるという理由で批判しますが、何もしないでいても、毎年二十兆円以上の国債発行(国の借金)が行われており、このまま無為無策の政権が続けば、結局、減税できない、借金は増える、経済は停滞し、破たんの危険に直面する。その一方、消費税だけはどんどん上がるという悪循環になってしまいます。
今われわれがやるべきことは、一時のバランス(財政均衡)にこだわらず、思い切った政策を実行することにより、日本経済を将来的に活性化させ、立ち直らせる、それに最大の力を注ぐべきだと思います。行革は本当に困難なことですが、断固やらなければいけないと考えています。
−−行政改革のタイムスケジュールはどうなんですか。
今世紀中、総選挙後の新しい任期中に実行することが、すべての「契約」の前提です。行革は、最終的な結果を見るのにもう少し時間がかかる問題もありますが、しかし、行革のための制度、仕組みの導入は、総選挙後の任期中に実行します。
行革の中身は、中央省庁(現在二十一省庁)を最終的に十省にするとか、国家公務員の削減、特に高級官僚を半分に減らす、特殊法人は原則全廃など新進党の「明日の内閣」の議論の中から、私が考えていた以上の思い切った意見が出てきました。私の長い経験からいっても、高級官僚が五十歳で辞めていくような実態を続ける必要はないし、ノンキャリアの人でも十分に課長、局長をやれる人はいます。今、勤めている人を解雇することなどできませんが、採用を減らすことで対応できます。
−−中央省庁の再編については、橋本首相も半減する考えを唐突に言い出していますが。
自社さ三党の連立政権は既に二年半たっています。「行革は内閣の最大の優先課題」と繰り返し言いながら、衆参両院で絶対の多数を持っているのに、なぜ今までやらなかったのか。なぜ新進党のいう省庁再編案を一顧だにせず、多数で廃案にしたのか。なぜ今、選挙前になってそんなことを言うのか。行革審などで省庁の再編その他の構想はなされており、あとは政治の判断と決断だけなのに、なぜ、また一年もかけて検討しなければならないのか。全く理解に苦しみます。ですから、言葉は同じでも新進党と現政権とは全く考えが違う。彼らには、それを実行する意思も力もありません。
日本の経済は厳しい試練に直面し、国民の間に将来への強い不安が広がっています。21世紀に向けた構想を明示し、責任を持って改革を実行する政治が求められているのです。
『契約1』
『契約2』 『大胆な行政改革、地方分権、規制撤廃を断行し、国と地方の経費を20兆円以上減らします』
『契約3』
『契約4』
『契約5』
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