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県議会議員 井手 よしひろ
サッカーワールドカップ2002年大会の開催地が、日本と韓国の共同開催で決定した。
日本では全64試合から、せいぜいがその半分の32試合程度の開催にとどまり、国内開催地が削られる可能性も出てきた。
しかし、鹿嶋市での開催は間題ない、というのが一般的な見方である。少なくても二試合を見込んでいる。共同開催ということで、一時の熱狂に水が差されたという考えもあるが、世紀のイベントが我が茨城で、鹿島で開かれることの意義は大きい。
W杯開催国の義務とされる項目がFIFAにある。スタジアム、移動と交通手段、サッカーの地位向上、インフラ、通信システム、メディアのための施設、政府保証、国民の支持など。これらの基準を満たすために、国や県、鹿嶋市はこれまで努力を続けてきた。
しかし、開催が具体化した今、その準備はこれからが本番であるといえる。
サッカー場の改装、交通網の整備、財政問題、人的問題、さらには自然環境保全といった問題はまだ満足な青写真すらできていない。今後はハード面を中心に急ピッチで鹿嶋地域の整備が進められることになる。
最も重要な問題であるスタジアム建設について、一部マスコミに、「県は現在の県立カシマスタジアムを鹿嶋市に売却し、収容能力4万人以上の新カシマサッカースタジアムの建設を進めていく考えをもっている」と報道されている。
現在の県営鹿島サッカースタジアムを、市へは数十億円で売却し、その代わりとして200億円以上の工事費を投じ、W林基準に合った競技場を新築するという計画である。
この計画は、茨城県サッカー協会の志村巌会長らが前々から提言していたもの。県の企画部では、こうした具体的な計画は一切ないと強く否定している。
鹿嶋市側も公式にはこの提案を否定も肯定もしていない。
一般には、こうしたスタジアムは二つも必要ない、とする強い批判も存在するもの事実である。果たして二つのサッカー専用スタジアムが必要なのかという根本的な疑問である。鹿嶋で開催が予想される二試合のために、県と市側を合計して、300億円近くの投資が許されるのかという論議である。
また、ワールドカップ終了にいかにこのサッカー場を利用するか、維持費をどうするかという問題も大きい。
町おこしのシンボルでもある県立カシマサッカースタジアムが、練習場に格下げになることに市民らが異論を唱えることも考えられる。
このほか新しいスタジアムは神栖町へ誘致しようという動きも強い。
駐車場の確保、練習用グランドの整備などもあり、スタジアム建設には難しい問題が控えている。
憶測や願望での論議を廃して、具体的な論議の積み重ねが必要である。
新聞等の報道機関も、責任ある冷静な報道が期待される問題だ。
一つ都市で開催されるオリンピックとは違って、ワールドカップは、交通網整備も重要な課題である。サッカーの神様ジーコ氏も、4月のシンポジウムで、交通網の整備に関して強く注文を付けていた。訴えたのがこの間題だった。
日韓共同開催となると、成田国際空港へのアクセス道路の整備が最重要となるだろう。東関東自動車道潮来ICとスタジアムを結ぶバイパス整備、国道124号の整備、北浦に架かる新神宮橋、さらに水戸方面からのアクセス道路の整備も含め、スタジアム周辺の道路改善を急ぐ必要がある。
また、編成の長大化を含めてJR鹿島線の充実も必要となる。
このほか選手、役員、観客の宿泊施設の確保も必要だ。鹿島セントラルホテルの新館建設だけで対応できるか総合的に判断する必要がある。
さらに、大会を支えるボランティアの育成・組織化も大きな課題となってこよう。
今後激化する国内の招致合戦を勝ち抜き、茨城の21世紀の最初の巨大イベントを成功させるためには、県民の自由な論議と、英知を結集する以外に方策はない。
4年前にスタートしたJリーグとともに、国内で最も有名な「町」となった鹿島町は、昨年9月に北部に隣接する大野村と合併して鹿嶋市となり、人口約6万人、面積もほぼ倍の広さとなった。
91年に茨城県は、旧鹿島町、神栖町、波崎町の三町を中心とした開発地域に対して「鹿島地域楽しい街づくりプラン」を掲げた。そのプランとは、鹿島地域にふさわしい機能をそれぞれにもたせ、旧鹿島町にはスポーツ文化施設などを中心とした「スポーツ文化コア」、神栖町にはSCやコンベンションセンターを中心とした「商業業務コア」、波崎町には海辺や河川を利用した「リゾート・レクリエーションコア」という三ゾーンを形成していくもの。
そして開発の勢いとして最も入きかったのは当時、地元企業の住友金属工業がブロサッカーチームをもつ計画を進めていたことを契機に、サッカー場の整備などによるサッカータウンづくりの推進を打ち出したことであった。
こうして93年に鹿島アントラーズのホームスタジアムとして、茨城県立カシマサッカースタジアムを建設。旧鹿島町が地域コミュニティの場として、また地域間交流の拠点施設として整備を進めていたト伝の郷(ぼくでんのさと)運動公園内に、サッカー専用施設として日本一を誇るスタジアムが誕生し、限りなく可能性のある新生「鹿嶋市」が浮上してきた。
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札幌市 | ホワイトド−ム(仮称) | 新設 | 球技場 | 札幌市 | 360億円 | 43,000人 |
青森県 | 青森県営サッカ−スタジアム(仮称) | 新設 | サッカ−専用 | 青森市 | 150億円 | 41,716人 |
宮城県 | 宮城県スタジアム (愛称:グランディー21スタジアム) | 新設 | 陸上兼用 | 利府町 | 200億円 | 49,281人 |
茨城県 | 茨城県立カシマサッカースタジァム | 改修 | サッカー専用 | 鹿嶋市 | 248億円 | 43,340人 |
埼玉県 | 埼玉県営スタジアム | 新設 | 球技場 | 浦和市 | 未定 | 63,000人 |
千葉県 | 千葉県立スタジアム(仮称) | 新設 | 球技場 | 市原市 | 206億円 | 48,500人 |
横浜市 | 横浜国際総合競技場 | 新設 | 陸上兼用 | 横浜市 | 600億円 | 70,000人 |
静岡県 | 小笠山総合運動公園スタジアム(仮称) | 新設 | 陸上兼用 | 袋井市 | 未定 | 49,730人 |
新潟県 | 新潟県総合スタジアム(仮称) | 新設 | 陸上兼用 | 新潟市 | 300億円 | 43,000人 |
豊田市 | 豊田市スタジアム(仮称) | 新設 | 球技場 | 豊田市 | 250億円 | 62,300人 |
京都府 | 京都スタジアム(仮称) | 新設 | 球技場 | 城陽市 | 未定 | 43,000人 |
大阪市 | 長居陸上競技場 | 改修 | 陸上兼用 | 大阪市 | 401億円 | 42,988人 |
神戸市 | 神戸総合運動公園陸上競技場 (愛称:ユニバ−記念競技場) | 改修 | 陸上兼用 | 神戸市 | 300億円 | 42,020人 |
広島市 | 広島広域公園陸上競技場 (愛称:広島ビックアーチ) | 改修 | 陸上兼用 | 広島市 | 799億円(公園全体) | 41,806人 |
大分県 | 大分県スポーツ公園メインスタジアム(仮称) | 新設 | 陸上兼用 | 大分市 | 250億円 | 43,000人 |