日立市の朝夕の慢性的な交通渋滞を解消するため、96年11月25日から29日までの5日間、常磐高速道路を活用して、自動車による通勤を公共のバス通勤に転換しようとする試み「日立パークアンドバスライド試行実験」が行われた。
日立南インター付近に2カ所の駐車場を用意し、参加者はその駐車場でマイカーからバスに乗り換える。
バスは、常磐高速の日立中央インターを経由して、市内の中心部を結ぶ。
高速道路をバスで利用することで、通勤時間は最大で20分間程度縮小される見込みである。
また、市内へのマイカーの流入が減り、交通量が5%程度減少するため、交通渋滞の緩和にもつながるといわれている。
「日立パークアンドバスライド試行実験」は、日立市と茨城県、建設省が参加している日立パークアンドバスライド試行実験推進協議会が実施したものである。建設省の常陸工事事務所によると、パークアンドバスライドのようなシステムは、交通重要管理施策(T・D・M)と呼ばれ、1992年より同省の政策として打ち出された。現在、豊田市や、金沢市など全国で10カ所で実験が行われている。
日立市は、南北に長い、大きな企業への通勤者が多い、高速道を活用できるなど、その実験成果が期待できる環境にあり、その成果が期待されている。
井手県議は、実験の初日、午前7:00から大和田の駐車場に立ち、実験を見守った。当日の実験参加は300名弱。早い時間帯では、予定時間を15分から20分も短縮して目的地に到着した。
8:00の最終便に同乗して、日立駅に向かった。市役所前をほぼ定刻の8:25分に通過。中心街を一周して駅には8:50に到着した。大和田の駐車場を7:40に出発して、245号線を経由して日立駅まで向かった愚妻の車は50分かけて駅に到着したことと比較しても、時間的には全く問題のない結果となった。
実験には観光バスを使用したため、乗り心地は申し分なかった。
実験に参加した人の感想は、「料金がいくらになるかが問題」「駐車場が確保できるのだろうか」といった内容が聞かれたが、おおむね好評だった。
協議会としては、今回の試行実験の結果やアンケート調査を分析し、実用化に向けて検討を進めるという。
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