日立製作所のRDF化プラントの特徴
10月23日井手県議は
日製日立工場を視察。
同工場のRDFプラント
を詳細に調査した。日立製作所日立工場では、工場内の廃棄物(ゴミ)の減量化、再資源化対策の一つとしてRDF(Refuse Derived Fuel)化プラントを建設した。平成7年に完成したRDF化プラントは総工費2億円。工場から出る紙ゴミ、木屑、プラスチックゴミを粉砕し、熱圧縮することで、RDFを製造するシステムである。
このRDFは、良質の石炭並の火力を持ち、火力発電やその他の燃料として再利用できる。
このRDF化プラントの最大の特徴は、徹底した工場内のゴミの分別を行い、生ゴミを排除した点にある。一般廃棄物のRDF化プラントでは、生ゴミを乾燥、減容処理をするためシステムが大型化し、完成品であるRDFの火力が低く、品質が一定しないという欠点がある。しかし、企業内という特殊な状況のため、ゴミの分別回収が徹底できるため、シンプルな構造のプラントが可能になり、製品のRDFの火力が強く、安定した製品が出荷できる。
このプラントは、ゴミの搬送を密閉型のパイプで行っているために、臭いやプラント自体が汚れることがない。熱圧縮処理は、密閉型で低温で行われるために、煤煙や臭い、ダイオキシンなどの有害物質の排出もないなどの利点がある。更に、ゴミが燃料として再利用できるという最大のメリットがある。具体的にこのプラントの出来たRDFはトンあたり2000円で販売され、イニシャルコスト、ランニングコストともに十分にペイできるという。
今後、日立製作所では、水戸・ひたちなか地区で水戸工場に、多賀地区で多賀工場にこのシステムを導入する予定である。さらに、同じ日立グループである日立電線が、平成9年秋に豊浦工場にするという。
日製日立工場RDF化プラントの概要
処理能力 4.8t/1日 RDF組成 木屑(40%):紙屑(40%):廃プラスチック(20%) 減容比 1/5 ゴミの容積がRDFにする事によって20%に減る 発熱量 5000〜6000kcal/kg 生ゴミが入っていないため熱量が高い 建設費 2億円 稼働 平成7年 RDFプラントの処理過程は大きく5つの過程に分けられる。
一次破砕処理
紙屑、木屑、プラスチックゴミをホッパーから投入して、その後の処理がしやすいように一定の大きさに粉砕する。回収されるゴミは、紙ゴミ、木屑、プラスチックと分別されている必要がある。
二次破砕処理
更に細かく粉砕するとともに、金属選別機によって金属を取り出す。
定量供給処理
紙屑、木屑、プラスチックゴミを2:2:1の一定の割合で混ぜ合わせる。
石灰供給処理
ダイオキシン対策で、塩化ビニルを化学反応させるために消石灰を混入させることもある。
熱圧縮処理
160度程度の熱を加え圧縮することにより、廃プラスチックが接着剤の役目をして、固形の燃料ができあがる。
企業内RDF化プラントの2つの課題
こうしたRDF化プラントの課題としては、製品としてのRDFの使用先の確保があげられる。RDFを燃料とする火力発電所や、その他の施設の整備が必要である。ちなみに、現状は、北海道の製紙工場に出荷され、低質炭と一緒に燃焼させ高い成果を上げている。
さらに、日立製作所内のゴミだけではこのプラントをフル稼働させることはできない。地域内の他事業所からのゴミを回収処理することが出来れば、採算性も高まり、値域全体でのゴミリサイクルの効果が大きく期待できる。しかし、他事業所からゴミを受け入れることは、廃掃法のもとで厳しく制限され、周囲の住民の同意等、その壁は高い。RDF化プラント自体は、密閉処理のため全く無公害の施設であり、廃掃法の特例などを検討することも意義があると思われる。
参考