◇今年の初雪

 月の前半は低気圧と高気圧が交互に通過し、天気は周期的に変わりました。また、強い寒気の南下がなく、気温は平年より高くなりました。8日の夜に本州上を強い寒気を伴った寒冷渦が通過した後、上層の大気の流れが変化して日本付近で南北に蛇行するようになり寒気が入ってきました。特に、14日に低気圧が日本付近を通過した後は日本付近へ上層の大気の流れが寒気の入り込みやすい形に変わり、2月末まで寒い日が続きました。この結果、月平均気温は3.8℃と平年より0.5℃低くなり、1月から一転して寒い冬となりました。

 一方、上旬は高気圧におおわれて晴れる日が多く、中旬以降は冬型の気圧配置となって晴れて乾燥した日が多くなったことから、月の日照時間は191.3時間(平年比111%)と平年より多くなりました。反対に、月降水量は17.5mm(平年比28%)と平年より少なくなりました。

2月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 3.8 4.3
月降水量(mm) 17.5 62.5
月日照時間(時間) 191.3 172.2
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 5.0 3.9
中旬 3.6 4.4
下旬 2.7 4.6

 ●2月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

2000年2月の日立市役所における日平均気温の推移 2000年2月のつくばにおける500hPa気温の推移(09時)

 この冬は、12下旬から1月中旬にかけて冬型の気圧配置になることがなく、南から暖気が入り気温が高くなりました。1月下旬には寒気が南下してきて気温は平年並みに低くなったものの、2月上旬は再び気温が高くなりました。しかし、中旬以降は周期的に強い寒気が入り、この冬で最も気温が低くなりました。過去5年間の2月の平均気温をみると、最近の3年間は月平均気温が5℃を上回る暖かい年が続いていましたが、今年は1996年の平均気温3.5℃に次いで平均気温が平年を下回りました。

 また、2月の日最低気温0℃未満の日(冬日)の日数は20日と平年より5日多く、過去5年間の中では最も多くなりました。ただし、12月と1月の冬日の日数が極端に少なかったため、冬季(12月から2月)の冬日の日数としては29日と平年より8日少なくなり、最近5年間では最も少なくなりました。

 ●過去5年間の2月の平均気温(℃)と冬季の冬日の日数

2月の平均気温
平均気温
1996 3.5
1997 5.5
1998 5.1
1999 5.1
2000 3.8
平年値 4.3
冬季の冬日の日数
前年12月 1月 2月
1996 8 21 17 46
1997 3 16 14 33
1998 4 17 15 36
1999 2 17 15 34
2000 2 7 20 29
平年値 6.2 17.4 14.9 38.5

◇上層の寒気により茨城県を中心に雪が降る(8日)

 8日の夜、関東地方の上空を強い寒気を伴った渦(寒冷渦)が通過しました。寒冷渦の通過に伴って地上の気温が急に0℃付近まで下がったことと、茨城県から千葉県北西部で雪雲がまとまったことから水戸市を中心とした茨城県中部で大雪となりました。水戸市では積雪が17cm(降水量13.5mm)となり、1990年2月1日の南岸低気圧による最深積雪27cm以来10年ぶりの大雪となりました。

 日立市役所では、8日の午前中は晴れ間が広がり最高気温は9.9℃まで上がりました。昼前から雲が広がり始め、寒冷渦が近づいてきた夕方には栃木県で雷雲が発生してきました。この雷雲は、寒冷渦の東進に伴って東へ進み、19時過ぎには茨城県にかかってきました。このため、日立市では19時頃から雨が降り出しました。雨が降り出すととも気温は急速に下がり、20時30分には2℃を下回りました。このため、20時45分頃には雨が雪に変わり、9日の1時頃まで雪が降り続きました。また、20時から21時過ぎにかけは雷が鳴りました。日立市には雪雲の中心がかからず、降水量は1.5mmと少なかったため最深積雪は2cmと水戸よりもかなり少なくなりました。なお、日立市ではこの雪が今年の初雪になりました。

  参考までに、8日16時から9日1時までの3時間ごとの気象衛星の赤外画像を載せておきます。16時(画像では15時31分、以下の画像では同じく30分ほど早い表示)の赤外画像を見ると、寒冷渦に伴う低気圧が若狭湾沖にあって東へ進んでいます。この低気圧は、19時には能登半島沖に近づき、しだいに不明瞭になっていきます。これに替わって、22時の画像では銚子沖に新しい低気圧が発生しています。この低気圧の中心に向かって巻き込むような形で、北から北西側の関東地方に雲が広がっています。この低気圧の渦は、9日1時の画像では東へ離れて発達しています。なお、500hPa高層天気図を見ると、-36℃で示される寒気は日本海側を山陰地方まで南下しています。この時の米子の上空5300mの気温は-39.8℃まで下がり、平年より15℃近くも低くなりました。

 また、寒冷渦の通過に伴って風向が北東から北、北西、西へと変わりながらやや強く吹きました。日立市役所における最大瞬間風速は、寒冷渦通過直後の8日22時55分に記録した西北西の風18.8m/sと寒冷渦が東海上へ抜けた後の9日03時52分に記録した西の風18.8m/sでした。

 ●8日から9日の最深積雪(cm)

観測地点 最深積雪 観測地点 最深積雪
日立 2 宇都宮 4
大子 1 前橋 2
水戸 17 熊谷 -
鉾田 10 東京 -
つくば 6 千葉 -
下妻 2 横浜 -

 ※大子、鉾田、下妻は8日22時の値。つくばは9日09時の値。

 ●2月8日〜9日の風の記録

地点 最大平均風速 最大瞬間風速
風向 最大値 日時 風向 最大値 日時
日立市役所 西北西 9.6 8日23時14分 西北西 18.8 8日22時55分
西 9.6 9日03時53分 西 18.8 9日03時52分
水戸 11.1 8日19時10分 20.2 8日19時10分
西北西 6.3 9日13時40分 13.4 9日15時12分

 ●8日から9日の風向、風速、気圧、気温の推移(日立市役所:10分値)

2000年2月8日から9日の風速の推移(日立市役所:10分値) 2000年2月8日から9日の風向の推移(日立市役所:10分値)
2000年2月8日から9日の海面気圧の推移(日立市役所:10分値) 2000年2月8日から9日の気温の推移(日立市役所:10分値)

 ※上のグラフの元データ:000208da.xls(エクセル2000ファイル、389KB)

 ●2月8日19時〜23時の降水レーダー図

2000年2月8日19時00分の降水レーダー図 2000年2月8日20時00分の降水レーダー図 2000年2月8日21時00分の降水レーダー図 2000年2月8日22時00分の降水レーダー図 2000年2月8日23時00分の降水レーダー図

 ●2月8日21時の地上天気図と500hPa面高層天気図

2000年2月8日21時の地上天気図 2000年2月8日21時の500hPa面高層天気図

 ●2月8日から9日の気象衛星赤外画像

2000年2月8日16時の気象衛星赤外画像 2000年2月8日19時の気象衛星赤外画像
2000年2月8日22時の気象衛星赤外画像 2000年2月9日01時の気象衛星赤外画像

y4.gif (1703 バイト)【観測日誌2000年へ】 home_h2.gif (1545 バイト)【ホームページへ】

作成日:2000/03/13
訂補日:2013/02/03
訂補日:2014/03/18
名前 日立市天気相談所