◇平年並みの寒さに戻った1月
上旬の後半を除き、中旬にかけて冬型の気圧配置となり晴れて乾燥した天気が多くなりました。12日から19日にかけては上層から下層まで強い寒気が入り気温がかなり低くなりました。下旬に入ると低気圧が頻繁に本州南岸を通過し、曇りや雨の日が多くなりました。また、南から暖気が入るようになりましたが、天気が悪かったため下旬の気温は平年並みになりました。この結果、月平均気温は3.6℃と平年より0.9℃低くなりました。1月の月平均気温が平年の値を下回ったのは、1990年の3.6℃以来11年ぶりです。ただ、過去20年間の気温と比較してみると、月平均気温はやや低いものの月最低気温は-4.2℃と、昨年(2000年)の1月の最低気温、-4.2℃と比べても、特に低いというほどではありませんでした。最近の10年間は暖かい1月が続いていたので、ようやく平年並みの寒さに戻った年といえます。一方、下旬に天気の悪い日が多かったことから月の日照時間は178.4時間(平年比91%)と平年より少なくなりました。また、月降水量は92.5mmと平年の2倍近くになりました。
1月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 3.6 4.5 月降水量(mm) 92.5 46.3 月日照時間(時間) 178.4 195.0
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 4.6 5.3 中旬 2.1 4.4 下旬 3.9 4.0
●12月から1月にかけての日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaの気温の推移(09時)
最初に述べたように、12日から19日にかけて上層から下層まで強い寒気が入りました。この寒気の影響で、日立市役所では14日から18日にかけて連続して最低気温が-3℃未満となりました。また、中旬の平均気温は2.1℃と平年より2.4℃低くなりました。これは、日立市役所観測開始以来3番目に低い気温です。なお、1月の月平均気温が平年の値を下回ったのは、1990年の3.6℃以来12年ぶりです。月平均気温3.6℃は、1990年、1963年、1953年と並んで、低い方から7番目です。ちなみに、昨年2000年1月の月平均気温は6.6℃で、1972年とともに高い方の第1位でした。
一方、日最低気温0℃未満となる冬日の日数は19日と平年(16.6日)より2日多いだけでした。昨年2000年1月の冬日の日数7日を除くと1994年から1999年にかけての冬日の日数の平均は18日で、今年とほぼ同じ日数になっています。ただ、最低気温が-2℃未満の日数を見ると今年の1月は6日となっており、1986年1月の9日以来の多い日数で中旬の冷え込みが強かった影響が現れています。
●1月の気温の平均(月平均と中旬平均)
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※順位は気温の低い方からで、1953年〜2001年の統計
●日立市役所における1月の平均気温と最低気温及び日最低気温0℃と-2℃未満の日数の推移(1971年〜2001年)
◇上層の大気の流れの変化(暖かかった2000年1月との比較)
昨年2000年1月の平均気温は6.6℃と1972年とともに観測史上2番目に高く、今年の1月より3.0℃高い気温でした。そこで、気象衛星から見た雲の分布から今年(2001年)と昨年(2000年)の上層の寒気の違いを比べてみると、下の写真のように日本海や西日本の太平洋岸に広がる筋状の雲の有無に大きな違いが見られました。
上層に寒気が入っていることを示す筋状の雲は、昨年の1月の写真では、北海道の西の日本海に、わずかに見られるだけです。これに対して、今年の1月の写真では、日本海全域だけでなく、関東地方以西の太平洋岸にも、筋状の雲が流れ出しています。この時の高層の天気図を見ると、昨年は-36℃の等温線がシベリア大陸にあります。一方、今年は、-36℃の等温線は、東北地方南部から朝鮮半島北部まで下がっています。特に、1月15日は、-45℃以下の寒気が東北地方北部にかかり、気温が低くなりました。
●参考:2001年1月15日と2000年1月15日の気象衛星画像及び高層天気図との比較
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◇関東地方の大雪(27日)
25日から26日朝にかけて本州の南を前線を伴った低気圧が東北東へ進み、26日昼前には関東地方の東へ抜けました。しかし、上層の気圧の谷が黄海に残っていたため、26日09時には九州の南に別の低気圧が発生しました。この低気圧は、27日の夜にかけて発達しながら本州南岸を東北東へ進みました。この低気圧に引き込まれる形で、関東地方には地表付近へ北から寒気が流れ込んできました。つくばにおける850hPa面の気温を見ると、先行する低気圧が通過した25日21時には気温が1.2℃まで上りました。しかし、次の低気圧が四国の南へ進んできた26日21時には-5.9℃まで下がり、紀伊半島へ進んできた27日09時でも-4.9℃と気温が低くなりました。
このため、関東地方では27日未明から雪が降り出しました。沿岸部では日中は雨に変わったところがありましたが、その他の地域では夜にかけて雪が降り続き大雪となりました。関東地方北部から西部にかけての山沿いでは30〜50cm、東京などの南部平野部でも10〜20cmの積雪となりました。茨城県内でも北部から西部にかけて10cm前後の積雪となった所がありました。
日立市役所では03時30分に雪が降り始めるととも気温が0.5℃下がりました。その後、8時前にかけて徐々に気温は下がり、07時42分には最低気温0.4℃まで下がりました。昼過ぎにかけて気温は1℃近くで推移し、雪が降り続きました。しかし、気温が比較的高かったことから積雪はあまり増えませんでした。日立市役所における最深積雪は、降水量が多くなった13時の2cmでした。13時頃からは雪に雨が混じるようになり、気温が3℃近くまで上がった18時前には雨に変わりました。雨は22時過ぎまで降り続いたため、夜には積雪は消えました。
また、低気圧が東北東へ進みながら急速に発達したため、関東地方南部では低気圧が近づいた夕方を中心に平均風速が15m/sを超える北から北北西の風が吹きました。日立市役所でも3時過ぎから北北東の風が徐々に強くなり、16時31分には最大平均風速10.9m/s(最大瞬間風速は16時24分に23.1m/s)を記録しましたが、関東地方南部のように平均風速が15m/sを超えることはありませんでした。低気圧が東へ遠ざかった23時過ぎには風は収まりました。
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※大子は18時まで、つくばは15時までの値
地点 | 最大平均風速 | 最大瞬間風速 | ||||
風向 | 最大値 | 日時 | 風向 | 最大値 | 日時 | |
日立市役所 | 北北東 | 10.9 | 16時31分 | 北北東 | 23.1 | 16時24分 |
水戸 | 北東 | 12.6 | 13時40分 | 北東 | 23.1 | 16時03分 |
●参考:つくばにおける高層観測の気温(℃)
高さ(気圧) | 24日 09時 |
24日 21時 |
25日 09時 |
25日 21時 |
26日 09時 |
26日 21時 |
27日 09時 |
27日 21時 |
28日 09時 |
1500m(850hPa) | -8.4 | -6.8 | -3.8 | 1.2 | 0.1 | -5.9 | -4.9 | -2.0 | -2.2 |
750m(925hPa) | -5.0 | -1.3 | 1.1 | 4.0 | -1.1 | -2.3 | -2.6 | -1.3 | 2.3 |
●1月27日の日立市役所における気温と気圧の推移(10分値)
●1月27日の日立市役所における風速と風向の推移(10分値)
※上のグラフの元データ:エクセル2000ファイル(010127da.xls:319KB)
●参考:2001年01月27日11時のひまわり可視画像図と21時のひまわり赤外画像
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●参考:2001年1月27日09時と18時の地上天気図
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●参考:2001年1月27日09時の高層天気図
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更新日 2001/02/26
訂補日 2001/07/18
訂補日 2002/02/02
訂補日 2002/04/10
訂補日 2014/02/24
名前 日立市天気相談所