◇しのぎやすかった8月
4日に低気圧が北日本を通過した後、中旬の終わりにかけて北日本から東日本はオホーツク海高気圧におおわれる日が多くなりました。このため、関東地方では北東の風が吹きやすく、雲が多く気温の低い日が続きました。22日に台風第11号が関東地方を北した後は本州南岸に前線が停滞するようになり、ぐずついた天気あ多くなりました。このため、8月の日照時間は124.3時間と、平年(181.3時間)の69%しかありませんでした。
ただ、本州付近での低気圧の発達が弱かったことと関東地方を北上した台風第11号による降水量も少なかったことから、月降水量は110.0mm(平年比74%)と平年より少なくなりました。一方、月平均気温は23.5℃と平年より1.3℃低くなりました。特に、中旬の平均気温は22.7℃と平年より2.2℃低く、観測開始以来6番目に低い気温でした。
8月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 23.5 24.8 月降水量(mm) 110.0 148.2 月日照時間(時間) 124.3 181.3
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 23.8 25.0 中旬 22.7 24.9 下旬 24.0 24.4
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 37.1 61.7 中旬 51.4 61.0 下旬 35.8 58.6
●8月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●8月の日立市役所における日照時間の推移と風向頻度分布
オホーツク海高気圧の張り出しが強かったことから、日立市では北東の風の吹く時が多くなりました。過去5年間(1996年から2000年)の8月における風向頻度において、北北東から北東の風の割合は26%、南南西から南西の風の割合は14%でした。それに対して、今年の8月の風向頻度は、北北東から北東の風の割合は49%、南南西から南西の風の割合は4%と、北東風の割合が半分近くありました【市役所における8月の風向頻度分布データ:テキストファイル1KB(下の風向頻度分布図の元データ)】。
この北東風の影響で、東北地方から関東地方にかけての太平洋岸では、下図の気象衛星可視画像で見るように、低い雲がかかることが多く、晴れる日が少なくて気温が上がりませんでした。8月の月平均気温としては、1996年以来5年ぶりに平年の気温より低くなりました。また、8月の真夏日の日数4日は、1976、1977、1988年の3日についで少ないものでした(1953年から2001年の統計)。
●過去5年間の8月の気温の平均
月平均気温(℃) 年 平均気温 2001 23.5 2000 25.9 1999 26.8 1998 24.4 1997 24.8 平年 24.8
日最高平均(℃) 年 最高平均 2001 27.7 2000 30.1 1999 30.6 1998 28.3 1997 29.2 平年 28.3
日最低平均(℃) 年 最低平均 2001 20.8 2000 22.9 1999 24.0 1998 21.8 1997 21.7 平年 22.0 ●過去5年間の8月の最高気温と真夏日の記録及び日照時間(少ない順)
8月の日最高気温(℃) 年 日最高気温 2001 33.7 2000 34.2 1999 34.6 1998 32.8 1997 36.6
8月の真夏日の日数 年 日数 2001 4 2000 22 1999 23 1998 8 1997 15
8月の日照時間 順位 年 日照時間 1 1998 63.3 2 1953 67.3 3 1988 75.2 4 1993 82.6 7 2001 124.3
●参考:2001年08月15日09 時の地上天気図と10時の気象衛星可視画像
◇台風第11号が関東地方を縦断
21日19時過ぎ、日本の南から北上してきた台風第11号が和歌山県串本町付近に上陸しました。その後、台風は東海地方の南岸沿いを比較的遅い速度で東北東へ進み、22日12時頃には伊豆半島の静岡県土肥町を通過し、22日16時前には千葉県千葉市付近に上陸しました。22日の夕方には茨城県内を北北東へ進み、23日の朝には北海道東部へ進んで温帯低気圧に変わりました。
この台風により。紀伊半島を中心に東海地方の沿岸部にかけて大雨となり、三重県の尾鷲市尾鷲では総降水量が734.5mmに達しました。しかし、台風第11号は規模が小さく、勢力もそれほど強い台風ではありませんでした。このため、日立市役所では21日から22日にかけての総降水量が57.5mm、1時間降水量の最大も15.0mmと大雨にはなりませんでした。また、台風は19時頃に日立市の西部を通過しましたが、風は平均風速で2〜4m/s、瞬間で5〜7m/sと強い風は吹きませんでした。なお、22日の最大瞬間風速は11時44分に記録した南東の風17.6m/sで、台風が駿河湾にあって東海上の高気圧との間の気圧傾度が大きかったときのものです。
●気象観測記録(8月22日:日立市役所)
最大風速(m/s) 最大瞬間風速(m/s) 海面気圧(hPa) 風速 同j風向 同時刻 風速 同風向 同時刻 最低気圧 同時刻 8.1 南東 11:29 17.6 南東 11:44 985.2 18:22
●8月21日から22日の市内の降水量(mm)
観測地点 総降水量 最大1時間降水量 降水量 日時 日立市役所 57.5 15.0 22日13時29分 北部消防署 62.0 17.0 22日01時40分 本山 122.5 30.0 22日13時04分 西部出張所 67.5 16.5 22日13時15分 南部支所 31.5 10.0 22日13時00分 ※総降水量は、21日15時から22日の21時までの降水量。
●8月21日〜22日の本山における降水量の推移と22日の日立市役所における気圧の推移
●8月22日の日立市役所における風速と風向の推移
●参考:8月22日09時00分から15時00分の降水レーダー図
●参考:8月22日09時の地上天気図と台風第11号の経路図
●参考:総降水量分布図と降水量レーダー図(8月22日12時)
●8月20日と22日09時の気象衛星可視画像
更新日 2001/09/20
訂補日 2002/04/10
訂補日 2009/01/15
訂補日 2013/09/30
名前 日立市天気相談所