◇晩秋の雷と虹
上旬は本州付近を発達した低気圧が通過し、曇りや雨の日が多くなりました。12日に低気圧が通過した後は冬型の気圧配置となり、晴れて乾燥した天気となりました。また、強い寒気が南下してきて気温が低くなりました。下旬に入ると、帯状の移動性高気圧におおわれて晴れる日が続くとともに、高気圧の縁を回り南から暖かい空気が入り気温が上がりました。この結果、月平均気温は12.4℃と平年より0.6℃高くなりました。また、日照時間は、中旬以降晴れる日が続いたことから192.1時間(平年比119%)と平年より多くなりました。これは、11月の日照時間としては、日立市役所観測開始以来5番目に多い記録です。一方、中旬から下旬にかけてほとんど雨が降らなかったものの、上旬に雨の日が多くあったため月降水量は76.5mm(平年比94%)とほぼ平年並みになりました。
11月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 12.4 11.8 月降水量(mm) 76.5 81.2 月日照時間(時間) 192.1 161.9
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 13.9 13.6 中旬 11.1 11.8 下旬 12.2 10.0
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 44.8 53.5 中旬 72.9 51.8 下旬 74.4 56.6
11月の日照時間 順位 年 日照時間 1 1973 218.4 2 1968 203.2 3 1995 201.3 4 1978 198.9 5 2001 192.1
●11月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPa気温の推移
●11月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
◇上層の寒気と虹
12日から13日にかけて、関東地方の南海上を低気圧が発達しながら東へ進みました。12日の朝、この低気圧に伴う雨雲が関東地方で急速に発達を始めて北上してきたため、日立市では9時過ぎから9時30分頃にかけて、南東海上で雷が鳴りました。
その後、雨雲が北東へ進んだたため茨城県では夕方まで雨が残りました。雨雲の西側の境がはっきりしていたことから、日立市では雨雲が東海上へ抜けた夕方16時05分から30分にかけて、東海上に虹が見られました。この虹は、雨の水滴の大きさが比較的大きかったことと、夕方で太陽の光が斜めに差し込んでいたため、市役所の屋上からは日立駅の北側からかみね公園にかけて、半円状にはっきりと見ることができました。
また、今回はこの主虹の外側に、薄く副虹が見られました。下の写真では、右下の白い煙突の左側に、かすかに副虹が写っています。主虹では、輪の外側に赤色、内側に青色が現れていますが、副虹では輪の外側に青色、内側に赤色と、主虹と色の並びが逆になっているのが、肉眼では見ることができました。晩秋に、このように虹がはっきり見られらたのは珍しいことでした。
●気象衛星ひまわりの可視画像と虹の写真(市役所屋上から東を見る)
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●参考:2001年11月12日と13日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
◇低気圧の発達に伴う雲の変化(気象衛星ひまわりの赤外画像)
天気図上で、この低気圧がはっきりしたのは11日21時で、中心気圧は1012hPaでした。しかし、気象衛星から見ると、上層の気圧の谷が中国大陸東岸に進んできた11日の朝には、すでに朝鮮半島から東シナ海にかけて雲がまとまり始めています。
この雲は、11日の夜には中国地方まで進むとともに、雲の発達を示す、白く輝いて見える対流雲が現れ始めています。雲は、12日の朝には関東地方まで進み、形が木の葉状を示すとともに、雲全体が白く輝き、急速に発達していることを示しています。
この頃から雲は北東へ進み始めるとともに、低気圧中心の南側に晴天域が入り込んできて、形もコンマ状に変わり始めています。これは、低気圧の中心東側での暖気の北上と西側での寒気の南下が強まっていることを表し、低気圧の発達傾向がさらに強まっていることを示しています。この後、低気圧は北東から北へ進み、15日09時にはカムチャッカ半島の東で、中心気圧964hPaまで発達しました。
●低気圧の発達と雲の変化(気象衛星赤外画像:2001年11月11日09時〜11月13日09時)
●2001年11月13日12時の気象衛星可視画像
更新日:2001/12/18
訂補日:2013/12/05
名前 日立市天気相談所