◇寒暖の変化が大きかった4月
低気圧が南岸や日本海を短い周期で通過し、天気は周期的に変化しました。上旬は、低気圧の通過後に寒気が 入って寒くなる日がありました。しかし、中旬以降は低気圧が日本海を通過することが多く、南風が入って気温が高くなる日があり、寒暖の変動が大きい月になりました。このため、4月の月平均気温は12.7℃と平年より0.7℃高くなりました。19日には日本海低気圧に向かって南から上層に暖かい空気が入ったため南西の風とともに気温が上がり、日最高気温は27.6℃になりました(4月の日最高気温としては、日立市役所観測記録順位第2位)。また、月を通して最低気温もあまり下がる日がなく、最も気温が下がったのは、5日と7日の3.8℃でした。
低気圧が短い周期で通過したことから晴れる日が続かず、月の日照時間は172.9時間(平年比99%)と平年並みになりました。一方、低気圧が日本海を進むことが多かったことから降水量が多くなることはなく、月降水量は142.0mm(平年比104%)と平年並みになりました。
4月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 12.7 12.0 月降水量(mm) 142.0 137.1 月日照時間(時間) 172.9 175.0
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 9.7 10.2 中旬 14.2 11.9 下旬 14.1 13.8 ●過去5年間の4月の平均気温と日最高気温及び日最低気温の記録
月平均気温(℃) 年 平均気温 2003 12.7 2002 13.5 2001 13.3 2000 12.4 1999 13.3 平年
12.0
4月の日最高気温(℃) 順位 年 最高平均 1 1998 29.1 2 2003 27.6 3 1964 27.3 4 1993 26.6 5 1965 26.0 6 1983 25.9
4月の日最低気温(℃) 順位 年 最低平均 1 1964 5.0 2 1983 4.9 3 2003 3.8 4 2002 3.6 5 1989 3.6 6 1973 3.3 ※順位は気温の高い方からで、1953年〜2003年の統計
●4月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPa気温の推移
●4月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●寒冷前線による天気の変化の違い」(24日と30日)
一般に、低気圧が日本海側を北東へ進んだ後は、寒冷前線が本州上を南下していきます。このとき、日立市では風向が南西から北よりへ変わるなど、寒冷前線の通過に伴う特有の気象の変化が見られます。しかし、低気圧の発達の程度や寒冷前線の形態の違いによって、気象の変化に違いが生じます。ここでは、24日と30日の寒冷前線通過時の気象の変化を比較してみました。
24日と30日は、ともに低気圧が日本海を北東へ進み、寒冷前線が本州上を南下しました。両日とも、寒冷前線の通過時に、日立市では風向が南西から北よりに変わりました。しかし、気温と湿度の変化には大きな違いが見られました。
24日は、寒冷前線の通過時に気温と湿度が大きく変化することはありませんでした。一方、30日の場合は、寒冷前線の通過に伴い気温が急に降下するとともに湿度が上昇しました。これは、上層の気圧の谷の発達の程度に差があったためと考えられます(下の500hPa面高層天気図を参照)。24日は気圧の谷の発達の程度が弱く、上層では西南西の風が吹いていました。このため、寒冷前線は東西に寝た形で関東地方をゆっくりと南下しました。30日は気圧の谷が深まり、上層では強い南西の風が吹きました。このため、寒冷前線は南北に立った形で関東地方を東進しました。この結果、日立市では寒冷前線の前面における暖かい南風の入り方に違いが生じ、気温と湿度の変化が異なりました。
また、30日の場合は寒冷前線通過後の風向の変化が大きく、気温と湿度が風向変化に対応して段階的に変化していく様子が見られました。
●24日と30日の日立市役所における気温、湿度及び風向の推移(10分値)
●参考:4月24日と30日09時の地上天気図及び500hPa面高層天気図
作成日:2003/05/19
訂補日:2014/11/26
名前 日立市天気相談所