◇高温をもたらした台風第6号
5月に引き続き、上旬は東海上の高気圧の勢力が強く、北東の湿った風が入り雲のかかりやすい日が続きました。13日に低気圧が日本海を東へ進んだ後、前線が日本の南岸に停滞するようになり、18日にかけて雲の多い日が続きました。しかし、天気の悪い割には降水量は少なく、月降水量は115.0mmと平年(169.4mm)の68%にしかなりませんでした。また、月の日照時間は106.3時間と平年の93%でした。
気温は、東海上の高気圧から吹きだす北東風の影響で、上旬に気温の低い日がありました。しかし、中旬以降は低気圧が日本海を通り、南風が入って気温の上がる日がありました。特に、21日は日本海の低気圧に向かって吹き込む南西風によるフェーン現象が起こり、気温が非常に上がりました。このため、月平均気温は20.1℃と平年より1.0℃高くなりました。
6月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 20.1 19.1 月降水量(mm) 115.0 169.4 月日照時間(時間) 106.3 114.7
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 17.6 18.6 中旬 22.1 19.2 下旬 20.6 19.6
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 39.6 48.6 中旬 24.6 38.2 下旬 42.1 27.9
●6月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける850hPa気温の推移
●6月の日立市役所における日照時間と日最高気温の推移
◇気温と風向の関係(20日〜21日)
17日から18日にかけて東シナ海を北上してきた台風第6号は、19日には九州の西の東シナ海から対馬海峡を通り日本海へ進みました。20日03時には台風は温帯低気圧に変わり、東北地方北部を通って21日朝には北海道の南東海上へ進みました。台風とともに暖かい空気が南から入ったため、20日は南西の風によるフェーン現象が起きた東北地方南部の太平洋岸から関東地方内陸部にかけて、晴れて気温が上がりました。日立市でも南西の風がやや強く吹いて、10時前には気温が30℃を超え、11時54分にはこの日の最高気温32.3℃を記録しました。その後、16時過ぎには風向が北寄りに変わり、気温も下がっていきました。
21日は、暖かい空気が残っていたところに南から高気圧におおわれて晴れたため、九州地方を除いて全国的に気温が上がりました。日立市でも、10時前には気温が30℃を超えました。その後、いったん気温は下がりましたが、昼過ぎから気温が上がり始めて16時31分にこの日の最高気温31.6℃を記録しました。
両日の気温の時間変化を見ると、日立市の場合は気温と風向との間に密接な関係があることが分かります。20日の場合、南西風によるフェーン現象のため0時過ぎから気温が25℃を超えていましたが、4時から6時前にかけて一時的に気温が下がりました。このとき、風向は南西から南東へ変わり、平均風速も5m/sから2m/s以下に弱まっています。このことから、4時から6時の間は、フェーン現象による気温の上昇が生じなかったと考えられます。その後、風向が南西に戻るとともに日射の影響もあって気温は30℃を超えました。16時でも気温は30℃を超えていましたが、17時前に風向が北寄りに変わるとともに気温は下がり始めました。
21日の場合は、10時前にいったん気温が30℃を超えました。これは、やや強い北西の風により、フェーン現象が起きたためと考えられます。その後、風向が南東に変わるとともに気温は下がりました。しかし、風向が南へ変わるとともに、強い日射の影響もあって再び気温は30℃を超えました。
このように、日立市の場合、東側に海、西側に山があるため、南東の風が吹くときは相対的に温度の低い海の影響を受けて気温の上昇が抑えられ、西よりの風が吹くときはフェーン現象により気温が上昇しやすい傾向があります【市役所における6月20日の10分間データと6月21日の10分間データ:いずれもテキストファイルで、容量は11KB(下のグラフの元データ】。なお、下のグラフでみるとおり、日立市役所以外の地点では風向による気温の変化は見られませんでした。
●6月20日と21日の各地の気温の推移
●6月20日と21日の日立市役所における風向及び風速の推移
●参考:6月20日と21日09時の地上天気図
●参考:6月20日と21日09時の850hPa面高層天気図
作成日:2003/07/10
訂補日:2007/06/21
訂補日:2014/12/09
名前 日立市天気相談所