◇中旬以降、気温が高くなる

 上旬は、冬型の気圧配置で寒くなりました。しかし、中旬以降は、低気圧が日本海を通ることが多くなり、南風が入って気温が高くなる日が多くなりました。このため、月平均気温は6.2℃と平年より1.8℃高くなりました。特に、中旬以降は南風の影響で日中の気温が上がることが多く、下旬の平均気温は8.8℃と平年よりも4.0℃高くなり、1954年に次いで観測開始以来2番目に高い記録となりました。また、22日は低気圧が発達しながら日本海を東北東へ進み、日立市では南西の風が強まりました。このため、朝から気温が上がり、14時前には日最高気温22.0℃を記録しました(2月の月最高気温としては、日立市役所観測記録順位:第3位)。

 低気圧が日本海を通ることが多かったことから、月降水量は19.0mmと平年の30%しかなく、最近では2001年の13.5mm、2000年の17.5mmに次いで少ない年になりました。一方、日照時間は214.5時間、日照率は69%と平年の日照率57%の1.2倍の日照があり、1980年の日照率75%、1983年の日照率69%に次いで多くなりました(2月の日照率としては、日立市役所観測記録順位:第3位)。

2月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 6.2 4.4
月降水量(mm) 19.0 61.8
月日照時間(時間) 214.5 173.0
月日照率 0.69 0.57
旬平均気温(℃)
観測値 平年値
上旬 4.1 3.9
中旬 6.0 4.6
下旬 8.8 4.8

 ●2月の日立市役所における気温の推移

2004年2月の日立市役所における日平均気温の推移 2004年2月の日立市役所における日最高気温の推移

 ●2月の気温と日照率の記録

月平均気温(℃)
順位 平均気温
1 1979 7.4
2 1959 6.9
3 1966 6.6
4 1960 6.4
5 2002 6.3
6 2004
1990
1954
6.2
下旬平均気温(℃)
順位 平均気温
1 1954 9.1
2 2004 8.8
3 1990 8.6
3 2002 8.3
5 1979 8.1

平年値

4.8
月最高気温(℃)
順位 時刻 最高
気温
1 1962 11 15:21 24.1
2 1993 7 13:03 23.5
3 2004 22 13:54 22.0
4 1987 11 1520 21.2
5 1996 14 11:56 20.1
月日照率
順位 日照率
1 1980 0.75
2 1983 0.69
3 2004 0.69
4 1968 0.68
5 1965 0.67

 ※順位は数値の高い方からで、1953年から2013年の統計。


◇日本海低気圧に伴う気温の上がり方の違い(14日と22日)

 14日は、日本海を低気圧が発達しながら東北東へ進み、関東地方以西では南よりの風が強まり、気温が上がりました。東京では南西の風24.9m/sの最大瞬間風速を記録しました。このため、気象庁では関東、北陸、近畿、中国、四国、九州地方で春一番が吹いたと発表しました。日立市では、南風はそれほど強く吹かず(19時30分に西南西の風5.9m/sの最大風速を記録)、最高気温も12.2℃と、それほど高くなりませんでした。

 22日も、日本海を低気圧が発達しながら東北東へ進み、東北地方から九州地方にかけて南よりの風が強まりました。このときは、日立市でも最大風速10.0m/sの南西の風が吹き、最高気温も22.0℃を記録して春一番になりました。また、14日には春一番にならなかった東海地方でも、春一番となりました。

 両日の気圧配置を比べてみると、低気圧から伸びる温暖前線の形と東海上へ抜けた移動性高気圧の勢力に違いのあることが分かります。14日の場合は、温暖前線は低気圧の中心から東南東へ伸び、長さも短く、気象衛星の雲画像で見ても形がはっきりしていません。また、東海上へ抜けた移動性高気圧の規模が小さく、広い範囲で南西の風が強まる気圧配置にはなっていませんでした。

 一方、22日の場合は、温暖前線は低気圧の中心から東へ伸び、長さも長く、気象衛星の雲画像で見ても形がはっきりしています。また、東海上へ抜けた移動性高気圧の勢力が強く、西へ勢力を残していて、広い範囲で南西の風が強まる気圧配置になっています。

 関東地方の南部は平野が広がり、さえぎるものがないため、日本海を低気圧が発達しながら進む場合、南西の風が強まりやすい地形になっています。それに対して、日立市は関東平野の北のはずれに位置して、東側が太平洋に面し、西側に山があるため、北東の風が吹きやすい地形になっています。このため、低気圧に吹き込む南西の風が弱い場合には、温暖前線が関東地方付近にかかったときに地形の影響を受けて前線が屈曲し、茨城県の北部だけ前線の北側に入る形になることがあります。

 今回の14日の場合、気温と風向の変化を見ると、17時から18時の間に、風速がいったん弱まるとともに、風向が南から西南西に変わり、18時前には気温が上昇しています。このことから、日立市では、温暖前線は18時前に通過し、その後前線の南側に入ったと考えられます。このため、14日の日中は温暖前線の北側に入っていて、南西の風が強まらず、気温も上がらなかったものと思われます。

14日の気象観記録
観測要素 日立 東京
日最高気温(℃) 12.2 16.0
日最大風速(m/s) 7.5 11.6
同風向 西北西 南西
22日の気象観測記録
観測要素 日立 東京
日最高気温(℃) 22.0 21.6
日最大風速(m/s) 10.0 13.2
同風向 南西 南西

※気象庁では、以下の条件を満たしていた場合を春一番としています。

立春から春分の日の間までで、日本海で低気圧が発達し、初めて南寄り(東南東から西南西の風向)の8m/s以上の強風が吹き、気温が上昇したとき。

  ●14日と22日の気象の変化

気温と海面気圧の変化(2004年2月14日〜15日) 気温と海面気圧の変化(2004年2月22日〜23日)
風速の変化(2004年2月14日〜15日) 風速の変化(2004年2月22日〜23日)
風向の変化(2004年2月14日〜15日) 風向の変化(2004年2月22日〜23日)

  ●参考:14日と22日の天気図と気象衛星可視画像

2004年02月14日09時の天気図

2004年02月22日09時の天気図
2004年02月14日09時の天気図 2004年02月22日09時の天気図

2004年02月14日12時の気象衛星可視画像

2004年02月22日12時の気象衛星可視画像
2004年02月14日12時の気象衛星可視画像 2004年02月22日12時の気象衛星可視画像

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作成日:2004/03/17
訂補日:2004/07/02
訂補日:2005/05/16
訂補日:2013/03/07
訂補日:2014/03/13
名前 日立市天気相談所