◇晴れて暖かかった4月

 低気圧が日本海や北海道の北を通過することが多く、移動性高気圧におおわれて晴れて暖かい日が続きました。しかし、下旬には日本海を進む低気圧に向かって南風が入り、気温が高くなった後、上層に一時的に強い寒気が入って気温が低くなることがあり、気温の変化が大きくなりました。

 また、南から西よりの風によるフェーン現象が起きて気温の高くなる日が多くなり、17日の28,1℃、20日の27.5℃、22日の27.5℃と、日最高気温が27℃を超える日が続きました。この結果、月平均気温は12.8℃と平年より0.8℃高かった一方で、月平均最高気温は18.4℃と、平年より2.1℃高くなり(4月の最高気温としては、日立市役所観測記録順位第2位)、3月に引き続いて気温の上がる日の影響が大きかったといえます。日照時間は晴れる日が多かったことから232.5時間と平年の133%になり、1998年に次いで多くなりました。一方、降水量は122.5mmと、ほぼ平年並でした。

4月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 12.8 12.0
月降水量(mm) 122.5 137.5
月日照時間(時間) 232.5 174.9
月日照率(%) 0.59 0.45
月最高気温(℃)
順位 最高気温
1 1998 21 29.1
2 2004 17 28.1
3 2003 19 27.6
4 2004 22 27.5
5 2004 20 27.5
月日照時間(時間)
順位 日照時間
1 2001 234.4
2 2004 232.5
3 1981 219.6
4 1953 212.1
5 1994 210.2
※順位は数値の大きい方からで、1953年から2004年の統計

 ●4月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPa気温の推移

 ●4月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移

 フェーン現象による気温の上昇とは別に、21日に一時的に気温が上昇する現象が見られました。この日の気温の変化を見ると、日の出とともに気温が上がり始め、12時には気温が20℃になりました。その後、12時40分過ぎから急に気温が上がり始め、13時には25℃を超え、13時14分にはこの日の最高気温26.3℃を記録しました。しかし、13時20分過ぎには急に気温が20℃近くまで下がりました。

 この日の天気は、沖縄付近に中心を持つ移動性高気圧におおわれて、1日晴れていました。また、日中の風は南から南西の風で、風向の変動はほとんどありませんでした。しかし、上層の大気の流れを見ると、オホーツク海に発達した上層の気圧の谷があり、北海道から関東地方にかけての上層では、北西から南東へ大気が流れる強風帯になっていました。そして、強風帯の北側と南側では、気温の差が大きくなっていました。特に、地表に近い850hPa面(高さ約1500m)では、21日9時の気温が松江で10.6℃、輪島で3.4℃、つくばで10.0℃、仙台で2.0℃、秋田で-0.9℃と、関東地方付近で気温の差が大きくなっていました。

 アメダスで、この日の関東地方の気温の分布を見ると、関東地方の内陸部では昼前頃から気温が上がり始め、14時には茨城県中部から埼玉県及び栃木県と群馬県の南部で、気温が25℃を超えています。一方、千葉県県から東京都、神奈川県にかけては、気温は20℃前後までしか上がっていません。また、茨城県北部の沿岸部では、気温は20℃を下回っています。

 このように、21日の関東地方では、地表のすぐ上の層まで北西の風が吹いていて、気温の低い空気が入ってきていたため、地表では南西の風が吹いていたにもかかわらず、南東地方の南部から東部にかけての沿岸部では気温が上がりませんでした。それに対して、内陸部では日射の影響と南西風によるフェーン現象により、地表付近で気温が上がったものと考えられます。この、地表付近の温まった空気が、南西の風とともに入り込んで、日立市で一時的に気温が上がったと思われます。

 地表付近の大気と上層の大気との温度の違いにより、気温が急に変化する現象は気づきにくいものですが、今年の3月27日の明け方にも、茨城県北部で気温が一時的に上昇する現象が見られました。

  21日の気象の変化

  21日の気温と風の分布(12時〜14時)

 気象衛星水蒸気画像は、上層から中層の大気の流れを視覚的に表します。21日の気象衛星の可視画像と水蒸気画像を比べてみると、可視画像では本州から九州にかけては、ほとんど雲がありません。それに対して、水蒸気画像では、上層の偏西風の流れ(強風帯)に対応するように、帯状の明暗の縞模様が、北海道と関東地方に見られます。

  参考:21日の地上天気図と高層天気図及び気象衛星画像

2004年04月21日09時の天気図

2004年04月21日09時の850hPa高層天気図
2004年04月21日10時の気象衛星可視画像 2004年04月21日09時の気象衛星水蒸気画像

※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。また、網掛けの範囲は、気温と露点温度の差が、3℃以下の場所を表しています。


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作成日:2004/05/26
訂補日:2013/06/10
名前 日立市天気相談所