◇日中、暑かった7月
月初めは、北からの高気圧におおわれて、涼しい日がありました。また、中旬には前線が停滞して曇りや雨の天気となり、気温の上がらない日がありました。しかし、それ以外の日は、南から高気圧におおわれて、晴れて気温の高い日が多くなりました。月平均気温は24.7℃と、平年より1.8℃高くなりました。また、日照時間も211.5時間と平年の155%になりました。一方、降水量は50.5mmと、平年の35%にしかなりませんでした。
特に中旬は、南からの暖かい空気が関東地方の下層に滞留したため、良く晴れて日射の影響が大きかったこともあって、日中の気温が上がりました。20日には、日最高気温35.4℃を記録しました。また、日最高気温の月平均も29.1℃と、平年より2.8℃高くなり、日立市役所観測開始以来第4位の記録となりました。日最高気温が30℃を超えた真夏日の日数も14日と、観測開始以来4番目に多くなりました。今年の7月は良く晴れる日が多かったため、平均気温の割には最高気温が高くなり、日中の暑さが厳しい月だったといえます。
7月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 24.7 22.9 月降水量(mm) 50.5 142.4 月日照時間(時間) 211.5 136.2 月日照率(%) 0.48 0.31
日最高気温の月平均(℃) 順位 年 最高気温の平均 1 2001 30.6 2 2000 30.0 3 2002 29.9 4 2004 29.1 4 1955 29.1 平年 26.3
真夏日の日数 順位 年 日数 1 2001 19 2 2002 17 3 2000 17 4 2004 14 5 1999 12 平年 2.6
日照時間(時間) 順位 年 日照時間 1 1978 304.5 2 2001 279.0 3 2000 211.7 4 2004 211.5 5 1991 210.4 平年 136.2 ※順位は数値の大きい方からで、1953年から2004年の統計
●7月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●7月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
20日は、関東地方の上層に暖かい空気が入り込んできたため、関東地方で気温が上がりました。20日09時の850hPa面(高度約1500m)の高層天気図を見ると、つくばの上層の気温は21.4℃なのに対して、仙台では16.6℃、輪島では18.2℃と、関東地方の上層に、暖かい空気が入ってきていることが分かります。また、関東地方では茨城県の北部から中部の地域を除いて、明け方から夕方にかけて北西の風が吹きました。このため、フェーン現象が起きて気温が上がり、千葉県市原市では最高気温40.2℃、東京都大手町でも39.5℃を記録するなど、関東地方の多くの地点で、観測開始以来の最高気温を更新しました。
日立市役所でも、13時41分に35.4℃の最高気温を記録しました。これは、7月の最高気温としては、日立市役所観測開始以来第8位の値です。関東地方では、最高気温を更新しした所が多くありましたが、日立市では南南東の風が吹いていたため、フェーン現象による気温の上昇がなく、他の地域ほどには気温は上がりませんでした。
しかし、日立市役所でも20日の23時過ぎから21日の02時にかけて、一時的に西の風がやや強く吹いてフェーン現象が起き、気温が上がる現象が見られました。20日の気温の変化を見ると、13時41分に最高気温を記録した後、気温は下がり始め、夜の23時には26.4℃まで下がりました。しかし、23時10分過ぎに風向が西に変わり、平均風速で3〜5m/sのやや強い風が吹き始めたため、23時40分には気温が30.5℃まで上がりました。その後、西風が収まる21日の1時20分過ぎまで、30℃を超える気温が続きました。
日立市役所近隣の当日の気温の変化を見てみると、本山(あかさわ山荘)では気温の上昇は見られませんでした。石名坂町(南部支所)では少し変動がありましたが、目立った気温の上昇は見られませんでした。また、水戸市金町でも夕方から翌日の朝にかけて、気温は滑らかに下がっていました。一方、北茨城市磯原町では、21日の4時前から5時過ぎにかけて、気温が4℃近く上昇しました。この時、北西の風が吹いており、弱いフェーン現象が起きたことが考えられます。
20日の日中に、関東地方で起きたフェーン現象は、日本海側から越後山脈を越えて吹き降りてくる北西の風によるもので、茨城県北部を除く関東全域で気温が上昇する、規模の大きな現象でした。それに対して、日立市役所と北茨城市における現象は、非常に局地的なものでしたが、山を越えた風により気温が上昇するという点では同じ現象でした。
●20日から21日の気温と風向風速の変化及び近隣地点の気温の変化
気象衛星水蒸気画像は、上層から中層の大気の流れを視覚的に表します。20日の気象衛星の水蒸気画像を見ると、九州の西は暗黒色の領域になっていて、上層の高気圧にオおわれていることが分かります。この高気圧の西から北側を回るように、白い明域で表される領域に沿って偏西風が流れています。この偏西風は、本州付近では北西から南東へ流れており、関東地方へ暖かい空気を運び込むとともに、北西の風によるフェーン現象を起こし、気温を上昇させました。
●参考:地上天気図と気象衛星画像及び高層天気図
2004年07月20日09時の地上天気図 | 2004年07月21日09時の地上天気図 |
2004年07月20日09時の気象衛星水蒸気画像 | 2004年07月20日09時の850hPa高層天気図 |
※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。また、網掛けの範囲は、気温と露点温度の差が、3℃以下の場所を表しています。
作成日:2004/07/10
訂補日:2013/06/11
名前 日立市天気相談所