◇短かった残暑と激しい雷雨
7月に引き続き、月の前半は太平洋高気圧の北への張り出しが強く、晴れて気温の高い日が多くなりました。しかし、14日から15日にかけて、前線が北日本から本州の南海上まで南下し、冷たい北東の風が吹いて気温が下がりました。その後、19日には台風第15号が、31日には台風第16号が日本海を北東へ進み、フェーン現象が起きて気温の高くなる日がありましたが、それ以外の日は、本州南岸に停滞する前線に向かって吹き込む北東風の影響で、気温が低くなりました。
このように、月の前半の晴れて気温の高い状態から、月の後半の曇りで気温の低い状態に大きく変わったため、月平均気温は24.8℃と、平年並になりました。また、日照時間も196.9時間と平年の109%、降水量も128.0mmと平年の86%になり、ほぼ平年に近い値になりました。
8月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 24.8 24.8 月降水量(mm) 128.0 148.2 月日照時間(時間) 196.9 181.3
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 26.7 25.0 中旬 25.2 24.9 下旬 22.8 24.4
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 86.0 61.7 中旬 69.7 61.0 下旬 41.2 58.6
●8月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける850hPa気温の推移
●8月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移
●8月上旬と下旬の天気図の比較
2004年08月07日09時の地上天気図 太平洋高気圧におおわれて、晴れて暑くなる 最高気温:30.4℃ 最低気温:22.6℃ |
2004年08月28日09時の地上天気図 オホーツク海高気圧におおわれて、雲が多く涼しくなる 最高気温:24.6℃ 最低気温:19.6℃ |
5日に台風第11号が紀伊半島から日本海へ抜けた後、6日から10日にかけて上層に寒気が入り、大気の状態が不安定になりました。このため、午後になると本州から九州にかけての山沿いを中心に、毎日のように雷雲が発生しました。日立市では、6日(降水量0.0mm)と7日(降水量2.0mm)に弱い雷雨がありました。10日には、日本海から南下してきた寒冷前線の影響もあって、茨城県の北部で、局地的に雷雲が発達しました。
この日の雷雲は、15時頃と21時頃に日立市を通過しました。最初の雷雲は、12時頃に栃木県北部で発生し、東南東へ進み、茨城県北部に入って発達しました。里美村まで進んだ後、向きを南南東へ変え、日立市を通過してひたちなか市から鉾田町へ進み、弱まりました。このため、日立市役所では14時40分頃から16時20分頃にかけて、落雷を伴って一時的に強い雨が降りました。日立市役所では、15時23分から24分にかけて、落雷により停電しました。東京電力の調べでは、日立市からひたちなか市、水戸市など10市町村で114000世帯が、一時停電しました。また、高萩市の山間部から日立市の中部にかけて、1時間に40mmを超える激しい雨が降りました。ひたちなか市の佐和と那珂町の上菅谷や付近でも激しい雨が降り、JR常磐線と水郡線が一時運転を中止しました。
2回目の雷雲は、17時過ぎに福島県南部で発生し、南東へ進んで、19時過ぎには茨城県北部に入りました。その後、20じ30分頃から急速に発達し、日立市付近を通過して、22時過ぎには東海上へ抜けて弱まりました。日立市役所では19時30分頃から22時30分頃にかけて、落雷を伴って一時的に強い雨が降りました。落雷は、1回目ほど激しくありませんでしたが、日立市の西部では1時間に50mmを超える、非常に激しい雨が降りました。
10日の雷雨は、茨城県北部で局地的に発達し、落雷の被害を伴うとともに、狭い範囲で一時的に非常に激しい雨が降りました。特に、日立市の西部支所では1日の総降水量が153.5mmに達し、周辺の地点に比べて、突出して降水量が多くなりました。
●8月10日の時間別降水量
時 |
日立 市役所 |
北部 消防署 |
本山 |
西部 支所 |
諏訪 広場 |
南部 支所 |
東白川 |
下関 河内 |
大子 | 花園 | 北茨城 | 徳田 | 大能 | 小瀬 | 中野 | 水戸 |
13 | ||||||||||||||||
14 | 1.0 | 3.0 | ||||||||||||||
15 | 10.0 | 2.0 | 0.5 | 0.5 | 0.5 | 2.0 | 42.0 | |||||||||
16 | 18.5 | 14.5 | 42.0 | 43.5 | 37.5 | 18.0 | 14.5 | |||||||||
17 | 0.5 | 0.5 | 0.5 | 4.0 | 1.0 | |||||||||||
18 | ||||||||||||||||
19 | 0.5 | |||||||||||||||
20 | 0.5 | 2.0 | 13.0 | 7.5 | 0.5 | 1.0 | 1.0 | |||||||||
21 | 18.5 | 6.0 | 20.5 | 38.0 | 7.5 | 1.0 | 6.0 | 9.5 | 15.5 | |||||||
22 | 16.0 | 5.0 | 28.0 | 50.5 | 7.5 | 0.5 | 3.5 | 39.5 | ||||||||
23 | 1.0 | 4.0 | 2.5 | 4.0 | 1.5 | 0.5 | 0.5 | |||||||||
24 | 0.5 | |||||||||||||||
計 | 55.0 | 32.0 | 106.0 | 153.5 | 55.5 | 22.5 | 2.0 | 3.0 | 7.5 | 0.5 | 0.5 | 12.0 | 64.0 | 39.5 | 16.5 | 0.0 |
※日立市の雨量観測システム、国土交通省の河川情報システム、気象庁のアメダス観測システムのデータを使用して作成。
●8月10日、13時から17時と19時から23時の降水量の分布
※日立市の降水量測定システム、国土交通省の河川情報システム、気象庁のアメダス観測システムのデータを使用して作成。
●降水量レーダー図(8月10日 13時30分から16時30分)
●降水量レーダー図(8月10日 20時00分から22時00分)
気象衛星水蒸気画像は、上層から中層の大気の流れを視覚的に表すとともに、明暗の変化は大気の質的な違いを表します。10日の気象衛星の水蒸気画像を見ると、北海道の北部に小さな渦状の暗部があり、上層の寒気の中心に対応しています。
関東地方から三陸沖にかけては、明暗の境界が南西から北東へ線状に伸びています。この境界の北側は暗域となっていて、乾燥した冷たい空気が入っていることを表しています。そして、この線状の境界は、南下している上層の寒気の境界を表しており、この境界が陸地にかかっている茨城県北部は白く輝いていて、雲が発達していることが分かります。
●参考:地上天気図と気象衛星画像及び高層天気図
2004年08月10日09時の地上天気図 | 2004年08月10日09時の500hPa高層天気図 |
2004年08月10日17時の気象衛星可視画像 | 2004年08月10日15時の気象衛星水蒸気画像 |
※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。
作成日:2004/07/10
訂補日:2013/06/10
名前 日立市天気相談所