◇去年に引き続き、暖かった晩秋

 10月に引き続き、太平洋高気圧の勢力が強く、北極からの寒気の南下が弱かったため、北日本から東日本にかけて記録的な高温となりました。日立市でも。月平均気温は14.1℃と平年より2.3℃高くなり、1977年11月の平均気温14.0℃を抜いて、これまでで最も暖かい11月になりました。

 中旬は、本州付近の上層で西南西の流れが続き、曇りや雨の日が多くなりましたが、それ以外の日は移動性高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。このため、月の日照時間は161.4時間と平年並になりました。また、降水量は62.0mmと平年よりやや少なくなりました。

11月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 14.1 11.8
月降水量(mm) 62.0 81.2
月日照時間(時間) 161.4 161.9
月日照率(%) 0.53 0.53

11月の平均気温の記録
順位 最高気温の平均
1 2004 14.1
2 1977 14.0
3 1990 13.8
4 1957 13.7
5 1979 13.6

 ●11月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPa気温の推移

2004年11月の日立市役所における日平均気温の推移 2004年11月のつくばにおける500hPa気温の推移

 ●日立市役所における11月平均気温の年推移と11月の日照時間の推移

日立市役所における11月平均気温の年推移 2004年11月の日立市役所における日照時間の推移

 2003年11月も、日本の南の高気圧の勢力が平年より強く、南からの暖かく湿った空気が入りやすい気圧配置が続きました。このため、天気が悪い割には気温の高い日が多くなり、月平均気温は13.3℃と平年より1.5℃高くなりました。一方、2002年11月は、日本付近に強い寒気が南下して冬型の気圧配置となる日が多く、月平均気温は9.9℃と1995年の11.5℃以来7年ぶりに平年の気温を下回りました。

 2004年と2002年の上層の大気の流れを比較してみると、下図の高度偏差図のようになっています。2002年は、北極付近は正偏差で、逆に中緯度帯では広く負偏差となっています。また、日本付近は気圧の谷(高度の低い部分)になっており、北極付近の寒気が流れ込みやすい気圧系になっています。

 一方、2004年は北極付近で負偏差が卓越し、極から中緯度への寒気の南下が弱い気圧系となっています。さらに、日本付近は北日本を中心に強い正偏差領域におおわれるとともに、日本の西側に気圧の谷が位置して、日本付近の上層では西南西の流れが卓越し、南からの暖かい空気が入りやすくなって、気温が高くなりました。

 気象衛星の雲画像を見ると、今年の場合は冬型の気圧配置になっても寒気に伴う筋状雲の発生が弱く、また北日本にだけ現れるこが多くて、上層の寒気の南下が弱いことが分かります。一方、2002年の場合は日本海から東シナ海にかけて筋状の雲が一面に現れるとともに、太平洋側にも筋状の雲が流れ出していて、上層の寒気が強かったことが分かります。

  参考:2004年11月と2002年11月の天気図と気象衛星から見た雲の比較

2004年11月の500hPa高度、偏差 2002年11月の500hPa高度、偏差
2004年11月の500hPa高度、偏差 2002年11月の500hPa高度、偏差
2004年11月13日09時の地上天気図 2002年11月09日09時の地上天気図
2004年11月13日09時の地上天気図 2002年11月09日09時の地上天気図
2004年11月13日10時の気象衛星可視画像 2002年11月09日09時の気象衛星可視画像
2004年11月13日10時の気象衛星可視画像 2002年11月09日09時の気象衛星可視画像

※高度、偏差図において、実線は等高度線を、点線は偏差(平年の高度とのさ)を表しています。また、網掛けの部分は負偏差(平年より高度が低い)の領域を表しています。


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作成日:2004/12/20
訂補日:2010/10/08
訂補日:2013/06/09
名前 日立市天気相談所