◇天気の変化の大きかった1月
数日の周期で低気圧や気圧の谷が日本付近を通過しました。月の前半は気圧の谷の通過後に寒気が入って冬型の気圧配置になることが多く、気温が平年の値を下回る日が多くなりました。後半に入ると低気圧が日本付近を頻繁に通り、天気の変化が早くなりました。また、冬型の気圧配置が長続きしなかったため、気温が平年の値を上回る日が多くなりました。この結果、月平均気温は4.9℃と平年より0.4℃高くなりました。また、低気圧が頻繁に通過したため、月降水量は65.0mmと平年の140%になりました。一方、日照時間は195.9時間と平年並でした。
1月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 4.9 4.5 月降水量(mm) 65.0 46.3 月日照時間(時間) 195.9 195.0
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 5.0 5.3 中旬 5.0 4.4 下旬 4.6 4.0
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 71.4 60.9 中旬 51.2 61.1 下旬 73.3 73.2
●1月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
※上のグラフの元データ:エクセル2000ファイル(1301data.xls:113KB)
最初に述べたように、今年の1月は月を通すと気温が平年を上回る日が多くなりました。過去5年間の中では暖冬といわれた2002年に次いで平均気温は高くなりました。しかし、上層の大気の流れをみるとモンゴルの西(東経90度)とアラスカ付近(西経160度)で気圧の尾根が強まり、日本付近では偏西風が南へ蛇行して寒気が入りやすくなりました。このため、低気圧の通過後は一時的に気温が低くなり、日最低気温が0℃未満(冬日)となった日数は19日と、平年をわずかに上回りました。なお、市内の南部支所では市役所よりも月平均気温が1.3℃低く、2004年と同じ程度の寒さとなりました。
●過去5年間の1月の平均気温と冬日の日数
1月平均気温(℃) 年 日立
市役所南部
支所水戸
(金町)2001 3.6 - 2.1 2002 6.4 5.1 4.6 2003 4.4 3.2 2.7 2004 4.4 3.6 2.9 2005 4.9 3.6 3.2 平年値 4.6 − 2.8
冬日の日数 年 日立
市役所南部
支所水戸
(金町)2001 19 - 26 2002 12 20 22 2003 16 22 27 2004 21 23 27 2005 19 20 25 平年値 16.6 − 20.3
◇発達する南岸低気圧による雨
15日から16日にかけて、上層に強い寒気を伴った気圧の谷が、本州上を東へ進みました。この気圧の谷に伴う低気圧が、日本の南海上から関東地方の南東海上を発達しながら、ゆっくりと北東へ進みました。このため、関東地方では15日の昼から16日の夕方にかけて、雨や雪が降りました。16日の降水量は、銚子市で205mm、鹿嶋市で124mm、鉾田町で113mmなど、千葉県東部から茨城県南部にかけて100mmを超える大雨になりました。日立市内でも、西部支所では15日から16日にかけての総降水量が100mmを超えました。日立市役所では16日の降水量は44.0mm、15日から16日にかけての総降水量は59.5mmでした。
●1月15日から16日の降水量の記録(単位:mm)
観測地点 日降水量
総降水量
1時間最大降水量(16日)
15日 16日 降水量
時刻
日立市役所 15.5 44.0 59.5 5.5 10時26分〜11時26分 北部消防署 15.0 46.0 61.0 4.0 10時00分〜11時00分 本山 20.5 56.5 77.0 4.5 05時00分〜06時00分 西部支所 32.5 83.5 116.0 8.0 06時00分〜07時00分 諏訪スポーツ広場 16.0 51.0 67.0 6.0 10時00分〜11時00分 南部支所 12.0 43.5 55.5 6.0 10時00分〜11時00分
この低気圧は、房総半島の近くを発達しながら進んだため、低気圧に向かって南から入り込んできた暖かい空気が回り込んで内陸部の冷たい空気との間に前線が形成され、茨城県から千葉県の沿岸部では、関東地方の内陸部に比べて気温の上がる現象が見られました。日立市役所における気温の推移をみると、15日の19時過ぎに風向が北から北北東へ変わるとともに、気温が5℃から7℃へ上がりました。それとともに風も強まり、瞬間風速が15m/sを超えるようになりました。その後も気温は少しずつ上がり続け、16日の朝06時12分に、日最高気温8.8℃を記録しました。その後、10時過ぎ頃から気温はしだいに下がり始め、14時過ぎから15時にかけて風向が北北西へ変わるとともに、気温は6℃から4℃へ一気に下がっています。また、このとき風がいったん弱まりました。
16日09時のアメダスで、関東地方の気温と風向の分布を見ると、福島県の小名浜から茨城県の沿岸部をとおり、千葉県の銚子付近にかけての地域では北北東の風が吹いて、気温も7℃を超えています。一方、これより西の地域では北から北西の風が吹いていて、気温も5℃以下となっています。この気温の高い領域は、低気圧が北東へ進むとともにしだいに東へ移り、14時過ぎにはすべての地域で北から北西の風に変わり、気温の高い領域はなくなりました。
●1月15日から16日にかけての気温、気圧と降水量の推移
●1月15日から16日にかけての風向、風速の推移
●1月16日09時のアメダスによる気温と風向、風速の分布
●地上天気図と高層天気図
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※高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。
作成日 20 04/02/13
訂補日 2014/03/06
名前 日立市天気相談所