◇月半ばから急に寒くなる
低気圧や前線が本州南岸を短い周期で通過し、中旬と下旬の初めには曇りや雨の日が続くことがありましたが、それ以外の日は高気圧におおわれて晴れました。このため、月日照時間は193.5時間と平年並みになりました。一方、低気圧は日本付近ではあまり発達せずに通過したため、降水量は少なくなりました。月降水量は13.5mmと平年の29%にしかなりませんでした。気温は、暖かい空気におおわれた上旬は高くなりましたが、月半ば以降は下層に寒気が入るようになり低くなりました。このため、月平均気温は4.3℃とほぼ平年並みになりました。
1月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 4.3 4.5 月降水量(mm) 13.5 46.3 月日照時間(時間) 193.5 195.0
気温の旬変化(℃) 旬 平均気温 旬平年値 上旬 6.0 5.3 中旬 3.3 4.4 下旬 3.7 4.0
気温の日ごとの推移を見ると、上旬は後半を中心に移動性高気圧におおわれて晴れて暖かくなり、旬平均気温は6.0℃と平年より0.7℃高くなりました。しかし、12日に前線を伴った低気圧が本州南岸を東進した後、下層へ強い寒気が入るようになり気温は低くなりました。中旬の平均気温は3.3℃で、平年より1.1℃低くなりました。下旬は月末に日本海へ低気圧が入り気温が一時的に上がりましたが、旬平均気温は3.7℃と平年より0.3℃低くなりました。
11日の日中は上層の薄雲が広がったにもかかわらず。最高気温は13.1℃まで上がりました。夜になっても気温はほとんど下がらず、11日24時の気温は9.1℃ありました。しかし、12日になると北から下層へ強い寒気が入り始め、12日の朝から気温が下がり出しました。12日12時の気温は4.5℃、12日24時には1.2℃と下がり続け、1日で7.9℃も低くなりました。
つくばにおける高層観測の気温の変化を見ると、11日21時には高さ1500m付近で7.0℃とかなり暖かい空気が入っていましたが、12日21時には-2.1℃と9℃近くも下がりました。その後も、13日にかけて気温は下がり続け、非常に強い寒気が入ってきたことが分かります。なお、高さ5500m付近の気温は-16から-20℃とあまり大きな変化はなく、平年の1月の気温と比べても5から10℃ほど高くなっており、今回の寒気は下層を中心に入ってきたものといえます。また、北のほうから下層へ寒気が入ってきたため、同じ時刻で日立市役所と水戸の気温を比べると、通常とは逆に日立市役所の方が水戸よりも約1℃ほど気温が低くくなりました。この状態は、12日の5時頃から13日の2時頃まで続きました。
●参考:つくばにおける高層観測の気温(℃)
高さ(気圧) 11日
09時11日
21時12日
09時12日
21時13日
09時13日
21時5500m(500hPa) -17.1 -17.3 -16.1 -19.5 -19.9 -21.1 1500m(850hPa) 2.0 7.0 5.0 -2.1 -4.5 -10.3
その後も下層へ寒気が入り続け、月末まで平年より気温の低い日が続きました。一方、上層の気温の推移を見ると、下層のように強い寒気が入り続けることはなく、逆に1月に入ると平年より気温の高い日が多くなりました。このため、24日から25日にかけて発達した低気圧の影響で一時的に冬型の気圧配置が強まった以外は、強い冬型の気圧配置が続くことはありませんでした。
なお、中国大陸中南部でも13日以降下層へ強い寒気が入るようになりました。中華人民共和国江西省の省都である南昌市における850hPa面の気温の推移を見ると、11日09時には13.1℃あった気温が15日09時には-5.1℃まで下がり。その後も気温の低い状態が続いてます。このため、この地方では50年ぶりといわれる大雪に見舞われました。これについては、気象庁のホームページで「中国から中央アジアの寒波について」として解説されています。(気象庁ホームページ> 報道発表資料・情報公開 > 平成20年 報道発表資料 >平成20年2月1日)
●12月から1月にかけての日平均気温の推移と12日から13日にかけての1時間毎の気温の推移
●12月から1月にかけてのつくばにおける高層の気温の推移(09時)
●参考:1月11日と15日及び27日の地上天気図と高層(850hPa面)天気図
※850hPa面高層天気図において、実線は等高度線を、点線は等温線を表しています。また、観測地点における上段の数値は、その地点の850hPaの高さにおける気温を、下段の数値は、同じ高さにおける気温と露点温度の差を表しています。また、網掛けの範囲は、気温と露点温度の差が、3℃以下の場所を表しています。
作成日 2008/01/12
名前 日立市天気相談所