◇梅雨入りとともに曇りや雨の日が多くなる
月の前半は、東西に広がる高気圧におおわれて晴れる日が多くなりました。しかし、13日から14日にかけて上層の気圧の谷が本州を通過した後、本州南岸に梅雨前線が停滞するようになりました。それとともに、太平洋高気圧の西縁を回る形で湿った空気が入りやすくなり、曇りや雨の日が多くなりました。しかし、例年と異なりオホーツク海高気圧の出現がなく、梅雨前線が南北に振動して高気圧におおわれて晴れる時もありました。このため、中旬から下旬にかけての日照時間も平年を上回りました。旬別の日照時間を見ると、上旬は86.0時間(平年比177%)と平年よりかなり多くなりました。中旬は45.7時間(平年比120%)、下旬は40.7時間(平年比146%)と上旬よりは少なくなったものの、いずれも平年より多くなりました。この結果、月の日照時間は172.4時間と平年の150%になりました。また上層にたびたび寒気が入り、大気の状態が不安定となってにわか雨の降ることが多かったため、月降水量は201.5mmと平年の119%になりました。
気温の推移を見ると、上旬は5月下旬から入っていた寒気の影響が残り気温は低くなりました。しかし、中旬に入ると寒気は東へ抜け、かわって南から暖かい空気におおわれ気温は平年を上回るようになりました。特に、下旬にはモンゴルから沿海州を経て北日本の下層へ非常に暖かい空気が流れ込んだ影響で、日立市でも気温が高くなりました。旬別の平均気温を見ると、寒気の入った上旬は17.1℃と平年より1.4℃低くくなりました。しかし、中旬は21.1℃と平年より1.9℃高く、下旬はさらに23.4℃と平年より3.6℃高くなりました。この結果、月平均気温は20.5℃と平年より1.4℃高くなりました。
6月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 20.5 19.1 月降水量(mm) 201.5 169.4 月日照時間(時間) 172.4 114.7
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 17.1 18.6 中旬 21.1 19.2 下旬 23.4 19.6
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 86.0 48.6 中旬 45.7 38.2 下旬 40.7 27.9
今年の6月は、例年と異なり上旬のすがすがしい晴天から梅雨の曇雨天への移り変わりがはっきりしていました。上旬の日本付近は、東西に広がる帯状高気圧ににおおわれて晴れる日が続きました。上層では太平洋高気圧の北への張り出しが弱く、本州の南は弱い低圧部となり北から寒気の入りやすくなりました。特に、4日から6日にかけては北海道の北から南下してきた寒冷渦が関東地方の東へゆっくりと進み、この寒冷渦の西側を回る形で上層から下層にかけて強い寒気が入ったため、肌寒い日が続きました。
12日になると、移動性高気圧が日本の東へ抜けて東シナ海へ上層の気圧の谷が進んできました。それとともに、日本の南で太平洋高気圧の勢力が強まり、上層の気圧の谷は東シナ海から中国大陸に停滞するようになりました。このため、日本付近の上層では西南西から暖かく湿った空気が流れ込むようになり、この流れに沿って中国大陸から本州の南へ梅雨前線がのびてきました。この梅雨前線は、15日から下旬の半ばにかけて日本の東から本州の南、九州南部を通り、東シナ海から華南にかけて停滞しました。
日立市では、一時的に雷雨となった日があるものの、1日から13日までは晴れる日が続きりました。しかし、13日に1日雨が降り続いた後は一気に天気が梅雨空に変わり、曇りや雨の日が多くなりました。また、梅雨前線が西からのびてくるとともに南から暖かい空気が入るようになり、15日以降は日平均気温が平年を上回る日が続きました。例年、日立市では梅雨入りした後も高気圧におおわれて晴れる日が現れやすく、梅雨入り前後の天気の変化は明瞭ではありません。また、6月中はオホーツク海高気圧から吹き出す冷たい北東の風の影響で、気温の低くなることが多くあります。しかし、今年は天気の変化がはっきりと現れ、オホーツク海高気圧の出現がなかったことから梅雨入り後は気温が上がって蒸し暑い日が続きました。
●6月の日平均気温と日照時間の推移(日立市役所)
※上記のグラフの元データ:エクセル2000ファイル(98KB)
●500hPa高度の緯度・時間断面図(東経135度線沿い、6月1日〜30日)
※網掛けの部分は、高度が5880m以上を表す。
●参考:6月10日から13日にかけての09時の地上天気図と10時(または15時)の気象衛星可視画像
10日から13日にかけて移動性高気圧が本州付近を東へ進み、日立市では晴れの天気が続きました。特に、12日は一日快晴の天気となりました。
●参考:6月14日から17日にかけての09時の地上天気図と10時の気象衛星可視画像
15日に低気圧が東へ抜けた後、次に進んできた低気圧の雲と一つになり、日本の東から本州の南、九州地方南部、東シナ海を通り中国大陸南部へ帯状にのびる梅雨前線の雲が形成されました。
作成日 2010/07/15
名前 日立市天気相談所