◇上旬と下旬後半は暖かくなる
月を通して日本付近は数日の周期で気圧の谷の影響を受け、冬型の気圧配置は長続きしませんでした。また、本州南岸が気圧の谷場となって天気のぐずつく時があり、月の日照時間は178.2時間(平年比93%)と平年より少なくなりました。反対に、月の降水量は64.5mm(平年比130%)と平年より多くなりました。上旬は南から暖気が入り、旬平均気温は7.4℃と平年より2.3℃高くなりました。しかし、10日に気圧の谷が東へ抜けた後、日本付近で偏西風が南へ蛇行し、寒気が入るようになりました。特に、下旬には一時的に強い寒気が入って気温が低くなる時があり、下旬の平均気温は3.7℃と平年より0.6℃低くなりました。この結果、月平均気温は5.1℃と平年より0.5℃高くなりました。
1月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 5.1 4.6 月降水量(mm) 64.5 49.6 月日照時間(時間) 178.2 191.3
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 7.4 5.1 中旬 4.3 4.5 下旬 3.7 4.3
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 63.8 61.2 中旬 50.9 59.1 下旬 63.5 71.2
●1月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●1月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移
1月の平均気温は2011年の2.9℃以降、2014年にかけて平年より低い年が続きました。しかし、その後は2015年が4.9℃、今年が5.1℃と平年を上回るようになっています。ただ、今年の1月は下旬に一時的に強い寒気が入ったため、月最低気温は昨年よりも低くなったところが多くなりました。日立市役所では、2014年1月の最低気温-2.4℃に対して、今年は25日に-2.7℃を記録しました。また、日立市内で最も気温が低くなる西部支所では、2014年の-6.4℃に対して今年は-7.7℃まで下がりました。
日最低気温0℃未満の冬日の日数は、沿岸部の日立市役所、十王交流センター、北部消防署では昨年よりも少なくなりました。反対に山間部の本山、西部支所、諏訪広場と多賀山地南端の南部支所では昨年よりも多くなりました。今年は冬型の気圧配置になることが少なく、北西の季節風が弱かったことから、昨年に比べて山間部では冷え込む時が多くなったため、冬日の日数が増えたものと思われます。(最大平均風速7m/s以上の日数は、2015年1月の13日に対して、2016年1月は8日と少なくなっています。)
●気温と冬日の日数の昨年との比較
1月平均気温(℃) 観測地点 2015年 2016年 日立市役所 4.9 5.1 十王交流センター 4.3 4.4 北部消防署 3.5 3.7 本山(中学校跡) 1.5 1.1 西部支所 2.0 0.7 諏訪広場 2.9 2.4 南部支所 3.6 3.6 日立会瀬 4.7 5.1 水戸(金町) 3.7 4.0
1月最低気温(℃) 観測地点 2015年 2016年 日立市役所 -2.4 -2.7 十王交流センター -3.6 -3.7 北部消防署 -4.5 -3.5 本山(中学校跡) -6.0 -6.7 西部支所 -6.4 -7.7 諏訪広場 -4.1 -4.6 南部支所 -4.9 -5.5 日立会瀬 -3.3 -3.2 水戸(金町) -4.6 -4.8
1月の冬日の日数 観測地点 2015年 2016年 日立市役所 13 10 十王交流センター 21 12 北部消防署 21 17 本山(中学校跡) 25 29 西部支所 26 31 諏訪広場 22 23 南部支所 22 23 日立会瀬 17 12 水戸(金町) 22 20 ※青の塗りつぶしは、2014年と2015年を比較して寒い方を表す。
◇1月の日立市内の気温と降水量
1月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高く、市内平均より2.1℃高くなりました。次いで気温が高かったのは最も北に位置する十王交流センターで、市役所より0.7℃低くなりました。一方、山間部にある西部支所と本山、標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は3.0℃で、12月より3.4℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は4.0℃と日立市の平均よりも1.0℃高く、12月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。なお、日立市内で水戸よりも平均気温が高かったのは、日立市役所と十王交流センターの2か所だけでした。
一方、月の降水量の市内平均は74.3mmで、12月の平均降水量46.6mmよりも30mm近く少なくなりました。観測地点の間の差は12月よりも小さくなり、最も降水量の多かった西部支所の98.5mmに対して、最も少なかった諏訪広場は59.0mmと1.7倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量74.3mmに対して、水戸の月降水量は70.5mmとほぼ同じになりました。
●1月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
1月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 5.1 15.7 03 09:26 -2.7 25 00:30 十王交流センター 4.4 16.1 03 10:40 -3.7 25 02:13 北部消防署 3.7 13.1 03 09:32 -3.5 25 02:28 本山(中学校跡) 1.1 14.5 03 12:37 -6.7 25 00:26 西部支所 0.7 14.5 03 14:17 -7.7 25 06:41 諏訪広場 2.4 15.6 03 13:13 -4.6 25 00:15 南部支所 3.6 15.6 03 13:02 -5.5 13 04:43 上記7地点の平均 3.0 - -
- -
日立会瀬 5.1 16.6 03 10:48 -3.2 25 00:42 水戸(金町) 4.0 15.7 03 13:51 -4.8 26 06:54
1月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 64.5 39.5 18 7.0 18 08:03 十王交流センター 82.0 49.5 18 7.5 18 12:21 北部消防署 73.0 45.5 18 7.0 18 12:32 本山(中学校跡) 77.0 46.0 18 7.0 18 08:04 西部支所 98.5 83.5 18 13.0 18 08:40 諏訪広場 59.0 37.0 18 6.5 18 09:17 南部支所 66.0 44.0 18 8.0 18 09:23 上記7地点の平均 74.3 - -
- - 日立会瀬 64.0 41.0 18 7.0 18 09:23 水戸(金町) 70.5 47.5 18 9.5 18 09:10
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇南岸低気圧の影響で6日ごとに雪が降る(17日、23日、29日)
12日に低気圧が日本の南を東へ進んだ後、偏西風が日本付近まで南下してくるとともに周期的に上層の気圧の谷が本州付近を東へ進み、天気が崩れました。特に、関東地方では低気圧が本州南岸や南海上を進んだ影響で、地表付近へ北から寒気が引き込まれて17日〜18日、23日、29日〜30日と、6日ごとに雪が降りました。この中で、18日と23日、29日とでは雪の降り方に違いがありました。18日は低気圧が発達しながら通過し、内陸部で大雪になりました。一方、23日と29日は低気圧の発達はなく、大部分の地域では降雪はほとんどないか少なくなりました。しかし、寒気が北東から引き込まれたことから、茨城県北部では積雪が多くなりました。
18日は、低気圧が発達しながら紀伊半島の南から関東地方南部を通過して三陸沖へ進みました。低気圧の接近に伴って暖気が入ってきたため、茨城県から千葉県にかけては17日の夜遅くから18日の昼過ぎにかけて雨が降りました。一方、内陸部では先週からの寒気が地表付近に滞留していたことと、降水に伴う気温の低下により18日未明から昼頃にかけて雪が降りました。この雪は、低気圧が近づいてくるにつれて東部から雨に変わっていきましたが、群馬県前橋では最深積雪が20cmになりました。茨城県内では北部の山間部とつくば市より西側では積雪となり、下妻で5cmの積雪を記録しました。日立市内でも、山間部では17日の夜遅くから17日の朝にかけて雪が降り、たかはら自然塾(日立市十王町高原396-1)では朝の積雪が1cmになりました。しかし、7時頃から雨に変わっていったため、日立市役所からは神峰山の冠雪は確認できませんでした。なお、日立市役所では気温が3℃未満になることはなく、積雪にはなりませんでした。
23日は、上層に強い寒気を伴った寒冷渦が朝鮮半島の北へ進んできたことに伴って、関東地方の南に小さな低気圧が発生して東北東へ進みました。低気圧は関東地方の東へ抜けるまではほとんど発達しなかったため、内陸部では雪はほとんど降りませんでした。しかし、茨城県では湿った北東の風が入り、北部山間部を中心に積雪となりました。日立市役所における気温の推移をみると、昼間4℃近くで推移していた気温は16時から急に下がり始めて、19時00分には0.5℃まで下がりました。その後、気温は徐々に上昇して24時00分には2.2℃まで上がりました。このため、日立市役所では16時25分から22時40分にかけて雪が降りました。ただ、雪が降り出した頃から露点温度が上昇して0℃を超えたことから、日立市役所では積雪にはなりませんでした。一方、山間部では夕方から氷点下の気温が続いたため、積雪となりました。奥日立きららの里では、24日朝の積雪が8cmになりました。なお、24日朝に日立市役所から山の様子を見たところ、標高120〜150mより上は白く冠雪している様子が見られました。
29日は、九州地方の西へ進んできた低気圧から前線が東へ伸びだし、関東地方でも朝から雨が降り出しました。低気圧は、30日未明には関東地方の南を通過し、朝には東海上へ進みました。低気圧の東進に伴って、前線の北側の下層へ北から寒気が流れ込んできました。このため、関東地方では29日の9時過ぎから、北東の風とともに茨城県北部から気温が下がり始め、12時過ぎからは雨が雪に変わっていきました。ただし、低気圧があまり発達しなかったことと、上層の寒気が強くなかったことから、関東地方の南部では雨に一時的に雪が混じる程度で、積雪にはなりませんでした。一方、関東地方北部では、最深積雪が茨城県水戸で2cm、栃木県宇都宮で5cm、群馬県前橋で3cmを記録しました。さらに、茨城県北部の山間部では気温の低い状態が長く続いたことから、積雪は10cmを超えた所がありました。日立市役所では、29日9時過ぎから雨が降り出してくると気温は下がり出し、15時には1.5℃まで下がりました。その後、30日の朝にかけて気温は1℃前後で推移しました。このため、14時前から雨に雪が混じり始め、15時から30日朝にかけて雪が降り続きました。ただ、気温が氷点下まで下がらなかったことと1時間降水量が1〜2mmと少なかったことから、30日8時の日立市役所における積雪は3cmと降雪時間が長かった割には積雪は多くなりませんでした。
●18日、23日、30日の最深積雪(cm)
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※24日の前橋の最深積雪8cmは、18日の雪が残っていたことによるもの。23日から24日にかけて、前橋では雨や雪は降らなかった。
●1月18日03時と15時の地上天気図及び日立市役所の天気
◆日立市役所の天気の推移 17日19時25分〜20時00分 雨 17日22時10分〜18日14時10分 雨
◆積雪(18日の朝) 日立市役所:なし 高原自然塾:1cm |
●1月23日15時と24日03時の地上天気図及び日立市役所の天気
◆日立市役所の天気の推移 23日16時25分〜23時25分 雪 24日00時05分〜00時40分 雨 24日01時15分〜02時25分 雨
◆積雪(24日の朝) 日立市役所:0cm 奥日立きららの里:8cm |
●1月29日15時と30日03時の地上天気図及び日立市役所の天気
◆日立市役所の天気の推移 29日08時56分〜13時40分 雨 29日13時40分〜14時58分 みぞれ 29日14時58分〜30日08時30分 雪 30日08時30分〜10時00分 みぞれ ◆積雪(30日の朝) 日立市役所:3cm 奥日立きららの里:15cm |
●1月17日から18日の気温の推移
低気圧が発達して暖気が入ってきたため、茨城県では西部を除いて気温が下がらなかった。低気圧が近づいた18日は、気温が上昇した。
●1月23日から24日の気温の推移
3回の中では、降雪中の気温が最も低くなった。ただし、降雪時間は短かった。
●1月29日から30日の気温の推移
3回の中では、気温の低い時間が最も長くなった。また、茨城県北部から寒気が流れ込んでいったため、日立市役所から先に気温が低くなった。
●参考:1月18日09時のアメダスによる気温の分布と18日昼過ぎの空の様子(市役所から北西を見る)
茨城県から千葉県にかけての沿岸部では、低気圧に伴う暖気が入り気温が高い。市役所西側の山も冠雪は確認できなかった。
●参考:1月23日19時のアメダスによる気温の分布と24日朝の空の様子(市役所から北西を見る)
茨城県北部から寒気が流れ込む。市役所西側の山は、標高150m以上で冠雪していた。
●参考:1月29日19時のアメダスによる気温の分布と30日朝の空の様子(市役所から北を見る)
茨城県北部から寒気が流れ込む。市役所では、29日夕方から30日朝にかけて雪が降り続いた。
●参考:1月18日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
●参考:1月23日21時の地上天気図と500hPa面高層天気図
●参考:1月29日21時の地上天気図と500hPa面高層天気図
作成日 2016/02/17
名前 日立市天気相談所