◇中旬以降、天気がぐずつく
上旬は太平洋高気圧におおわれ、晴れて暑い日が続きました。10日に低気圧が本州付近を北東へ進んだ後、太平洋高気圧が南へ後退するとともに中国大陸から日本海にかけて上層の気圧の谷が停滞し、日本付近の上層では西南西からの流れが続くようになりました。このため、本州南岸に前線が停滞し、月末にかけて曇りや雨の日が続きました。この結果、月の日照時間は109.8時間(平年比82%)と平年より少なくなりました。特に、中旬の日照時間は10.7時間と平年の25%しかありませんでした。しかし、本州付近で低気圧が発達することがなく、前線の活動も東側では活発でなかったため、月の降水量は175.0mm(平年比98%)と、ほぼ平年並みでした。一方、上層で西南西からの流れが続き、北から寒気が南下してくることがなかったため、気温は平年を上回る日が多くなりました。この結果、月平均気温は23.1℃と平年より1.3℃高くなりました。
9月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 23.1 21.8 月降水量(mm) 175.0 178.8 月日照時間(時間) 109.8 134.3
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 25.2 23.6 中旬 22.4 21.9 下旬 21.7 19.8
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 71.8 49.9 中旬 10.7 42.8 下旬 27.3 41.6
●9月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移
●9月の日立市役所における日最低気温と日照時間の推移
このように、寒気の流入がなかったことと、天気がぐづつき良く晴れて冷え込むことがなかったことから、最低気温は下がりませんでした。8月1日以降に初めて日最低気温が15℃を下回った日は昨年と同じ9月30日で、平年よりも4日遅く、過去6年間の中では2012年の10月12日に次いで遅くなりました。
気温が下がりにくかったものの、極端に気温が高くなることもなったため、真夏日の日数は2日と平年より少なくなりました。それに対して、夏日の日数は21日と平年より6日多く、最近では9月中旬まで残暑の厳しかった2012年に次いで夏日が多くなりました。
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※最低気温15℃未満初日は、その年の8月1日以降に日最低気温が初めて15℃未満となった日。
◇9月の日立市内の気温と降水量
9月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなりました。次いで、最も北に位置する十王交流センターと最も南に位置する南部支所が高くなりました。一方、山間部にある西部支所と本山、標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。市内7地点の平均気温は21.6℃で、8月より2.6℃低くなりました。また、水戸の月平均気温は23.2℃と日立市の平均よりも1.6℃高く、8月に引き続いて水戸の気温は日立市内平均よりも高くなっています。
一方、月の降水量の市内平均は208.1mmで、8月の平均降水量371.5mmよりも160mm近く少なくなりました。観測地点の間の差は8月とほぼ同じで、最も降水量の多かった十王交流センターの257.0mmに対して、最も少なかった南部支所は156.5mmと1.6倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量208.1mmに対して、水戸の月降水量は217.5mmとほぼ同じになりました。
●9月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果
9月の気温(℃)の記録 観測地点 平均
気温最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 23.1 30.7 06 11:11 13.6 30 05:57 十王交流センター 22.8 30.8 05 10:31 12.3 30 05:47 北部消防署 21.5 28.2 06 15:09 12.7 30 05:56 本山(中学校跡) 19.9 28.9 06 13:17 8.8 30 06:41 西部支所 20.8 30.5 06 13:46 8.8 30 05:48 諏訪広場 20.8 29.0 05 11:17 9.8 30 05:44 南部支所 22.5 31.1 06 12:11 15.4 30 05:45 上記7地点の平均 21.6 - -
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日立会瀬 23.2 30.2 06 17:23 14.8 30 05:53 水戸(金町) 23.2 33.0 06 15:03 15.3 30 06:23
9月の降水量(mm)の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 175.0 40.5 18 11.5 07 09:47 十王交流センター 257.0 48.5 18 29.0 07 09:54 北部消防署 197.5 40.5 18 17.0 07 09:51 本山(中学校跡) 245.0 55.0 18 26.5 07 09:44 西部支所 245.0 64.0 18 24.5 18 06:02 諏訪広場 181.0 39.0 18 14.5 18 04:50 南部支所 156.5 31.0 07 15.0 07 09:49 上記7地点の平均 208.1 - -
- - 日立会瀬 179.0 36.5 18 11.0 07 10:12 水戸(金町) 217.5 48.5 20 18.0 08 11:21
※日立会瀬と水戸(金町)は気象庁の観測地点。
◇上層で西南西からの流れが続き天気がぐずつく(9月11日〜24日)
初めに述べたように、今月上旬は太平洋高気圧におおわれ、晴れて気温の高い日が続きました。しかし、9日に低気圧が本州付近を北東へ進んだ後、太平洋高気圧の勢力が南へ後退して上層の偏西風帯が本州上を通るようになりました。さらに、日本海から中国大陸にかけて上層の気圧の谷が停滞して日本付近の上層では西南西からの流れとなり、高気圧の縁を回る湿った空気が流れ込みやくすくなって、曇りや雨の日が続きました。17日になると高気圧が勢力を強めて北へ張り出し、昼過ぎにかけて久しぶりに晴れました。しかし、18日には再び高気圧の勢力が南へ後退し、かわって西から気圧の谷が進んできました。
その後、月末にかけて例年と同様に太平洋高気圧が日本の南で西へ張り出す状態が続きました。しかし、高気圧の勢力が平年よりも強く、高気圧の北縁に沿った偏西風帯が日本付近にかかるとともに中国大陸が上層の気圧の谷場となり、湿った空気の流れ込みやすい気圧配置が続きました。このため、日立市では11日から24日にかけて、17日を除いて雨が降りました。この期間の日照時間は15.0時間で、平年の25%しかありませんでした。
25日になると太平洋高気圧が勢力を強めて北へ張り出し、関東地方は高気圧の勢力下にはいりました。このため、日立市では薄雲が広がったものの、10日以来半月ぶりに1日の日照時間が5時間を超えました。しかし、太平洋高気圧の張り出しは一時的で、28日には日本海から前線が本州上へ南下してきて、天気がぐずつくようになりました。
旬別の日照時間を見ると、上旬の日照時間は71.8時間と平年の144%になり、9月上旬としては観測開始以来7番目に多くなりました。それに対して、中旬の日照時間は10.7時間(平年比25%)で、9月中旬としては観測開始来1991年の9.9時間に次いで少ない記録となりました。下旬の日照時間は、高気圧におおわれて晴れる日もあったことから27.3時間(平年比66%)と中旬の倍以上になりました。しかし、平年に比べると2/3の日照時間でした。なお、9月の日照時間としては上旬に晴れる日が多かったことから、少ない方からの順位は第15位でした。
●9月の日照時間(時間)の記録 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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●参考:9月5日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
●参考:9月13日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
●参考:9月22日09時の地上天気図と500hPa面高層天気図
●参考:9月10日から25日の気象衛星可視画像
作成日 2016/10/11
名前 日立市天気相談所