◇2016年8月30日、台風第10号に関する記録

　27日から29日にかけて、台風第10号が日本の南海上を北東へ進みました。一方、27日の夜には朝鮮半島付近へ寒冷渦が進んできました。この寒冷渦は28日からは動きが遅くなり、日本海西部に停滞しました。台風第10号はこの寒冷渦に引き込まれる形となり、30日の朝に八丈島の東海上まで進んだ所で向きを北北西へ変えて関東地方の東を北上し、30日18時前に岩手県大船渡市付近へ上陸しました。その後、東北地方を縦断して夜遅くには日本海へ抜け、温帯低気圧に変わりました。

　台風は中心の北側に発達した雨雲を伴っていましたが、茨城県からはやや離れて進んだため日立市には台風本体の雨雲はかかりませんでした。しかし、日本の東の高気圧から流れ込む湿った空気の影響で、日立市では28日の夜から雨が降ったり止んだりする天気が30日の朝にかけて続きました。30日の昼前には台風本体の雨雲の西端がかかったものの、雨が強く降ることはありませんでした。日立市役所における29日から30日にかけての総降水量は39.0mmで（28日の降水量は0.0mm）、17日の台風第7号による降水量74.5mmの半分ほどでした。ただし、寒冷渦から東へ伸びる帯状の雨雲がかかった近畿地方から関東地方の西部にかけては、総降水量が200mmを超える大雨となった所がありました。

　日立市役所では、台風が八丈島の東へ進んできた29日の夜から北東の風がしだいに強まり、30日07時21分には最大瞬間風速20.0m/sの北北東の風を記録しました。その後も強弱を繰り返しながら、12時前にかけて北東の風がやや強く吹き続けました。12時前に風向が北西へ変わった後、風はいったん弱まりました。しかし、台風がいわき市の東へ進んだ13時頃から15時頃にかけて吹き返しの北西の風が一時的に強まり、北部消防署では14時36分に最大瞬間風速19.4m/sの北西の風を記録しました。その後、しだいに風は弱まっていき、夜には風速が3m/s以下になりました。今回も、市内の観測地点の中では日立市役所が最も風が強くなりました。ただ、沿岸部の地点では、日立市役所と同じ程度の風が吹きました。また、十王交流センター、北部消防署、諏訪広場では、台風前面の北東の風より吹き返しの西寄りの風の方が強くなりました。

　※降水量は、29日01時〜30日12時までの合計。

　●8月29日から30日の1時間降水量と30日の海面気圧の推移（日立市役所）

　●8月30日の風向と風速の推移（日立市役所）

　●8月28日15時と30日09時の気象衛星可視画像

　●8月29日21時00分と30日09時00分の降水レーダー図

　●8月30日05時と14時のアメダスによる風の分布

【観測日誌2016年へ】　【ホームページへ】

作成日 2016/09/1４
名前 日立市天気相談所