月刊「公明」復刊第1号にリポート掲載
月刊「公明」の復刊、誠におめでとうございます。最前線の一地方議員として、理論面、実践面での新たな情報源の誕生を心から喜ぶとともに、その創刊号に拙文を掲載していただくことに感謝いたします。
私共の回りにITという言葉が浸透し初めて久しくなります。コンピュータを中核とするネットワークによって、情報交換の手法や通信、放送の在り方が大きく変わり、ネット通販やネットバンキングなど庶民の生活にも大きな影響を与えています。
私達の議員活動にも、その変化の波は押し寄せてきました。特に、ホームページ(以下HPと記述します)やブログ、電子メールに代表されるインターネット技術の進歩は、一国の政治の動向を左右するほどの大きな力を持つようになってきました。
私が自らのHP「いばらき県政情報・ほっとライン@ひたち」を開設したのは、1996年4月16日でした。当時は、地方議員でHPを自前で開設するものはほとんどなく、HPをもっていることだけで新聞や雑誌の取材対象となりました。早いもので、今年で満10年の歳月が流れました。その間のアクセスは27万5000件を突破しました。(2005年11月末現在)
私はHPを作る上で、3つのコンセプトを明確にしました。@地域の情報(選挙区である日立市や茨城県の情報)に特化する。A介護保険やさい帯血移植の推進など専門的な話題は、特集企画として別のHPを立ち上げる。B更新は出来るだけ毎日行う。
開設当時、議員が開設するHPは、選挙用のパンフレットを電子化したような作りが一般的であったような気がします。トップページは、大きな写真が掲載され、フラッシュなどのソフトで作られた動画が奇抜さを競った時期でした。反面、HPの内容は、議員のプロフィールや政策、主な実績、ご意見や要望を受けるメールフォームなど、固定された内容が主体でした。半年に一回更新されれば良いといった程度のHPが大多数を占めていました。
このような政治家のHPが、一般市民から支持を受けることはなく、同僚の議員からも、「高い金を出してHPを作ったが、一日10件のアクセスもない」「パンフレットや名刺にHPのアドレスが書いていないとカッコつかないので開設してみたが、効果はさっぱり上がらない」といった声が聞こえてきました。
しかし、コンセプトを明確にして、地道に作り続けたHPは、それが議員が開設したものであっても、一定のアクセスをいただくことができました。
2000年の介護保険導入に先立って開設した「介護保険を考えるページ」は、議員という立場でいち早く入手した具体的情報を、逐次掲載することで、スタート当初の情報不足とあいまって、1年間で10万件を越えるアクセスを記録しました。2001年に発生した東海村でのJCO臨界事故の際は、事故発生直後から立ち上げた「臨界事故アーカイブ」には、一時間で1万件以上のアクセスがありました。
いかにしてHPへのアクセス数を増やすか
一般的に議員がHPを開設し、運営する場合、自らの名前や政策・実績をどのようにアピールするかを第一に考えます。しかし、こうした発想では、戦略的なHPは運営できないと考えています。
それは、いくら時間やお金をかけて立派なHPを作っても、アクセスしてもらえなければ(見て、読んでもらえなければ)何にもならないからです。
ちなみに、私のHPに一般の有権者がどのようにしてアクセスしてくれるかを分析して見たいと思います。
05年の10月一カ月を分析して見ますと、私のHPに新規にアクセスして来た方の合計1万4216件のうち、71・8%がヤフーやグーグルに代表される検索サイト(検索システム)の検索結果から来訪しています。残りに大半は、他のサイトからのリンクを手繰っての来訪で、直接HPのアドレスを入力して、HPを訪れる人はほとんどいません。
また、検索サイトにどのような検索語を入力してやって来たかを見てみると、「井手よしひろ」などという議員名で、検索してくる人は、皆無に等しい現実があります。参考までに、2005年10月一ヶ月の検索語のベストテンは、@つくばスタイルフェスタ(321件)、A障害者自立支援法(156件)、B電車君(149件)、C障害者自立支援法+精神障害者(131件)、D桜川市選挙(125件)、Eほっとメール(119件)、F伊勢甚(109件)、G障害者自立支援法+国会(107件)、高齢者虐待防止法(107件)、日立百貨店(96件)となっています。
つまり、マスコミなどに煩瑣に名前が登場する一部の国家議員などを除いては、HPに記載された内容が検索サイトに登録され、それが一般閲覧者の望む情報と合致した時に、はじめて、HPを見てもらえるということになります。
閲覧者は、ほしい情報を求めて検索サイトから、HPにやってくる。そして、そのHPが自分にとって役に立つ情報や共感できる内容であったとき、HPの作成者に興味を持つ。それが、公明党の議員のHPであることを知って、支持の輪が広がる。この流れがHPを活用した、広報宣伝活動の基本であることを理解しなくてはいけないと思います。
こうしたことに気が付くと不思議にHP作りにも変化が現れました。
一番のポイントは内容の充実や更新頻度を増やすことです。また、いかにして検索サイトから検索されやすくするかという取り組み(SEO)も重要になります。
ブログによる情報発信
さて、こうした観点でHP作りを始めた矢先に登場したのが、ブログというシステムでした。
ブログは、WEB・LOGから派生した言葉とされ、日本語では「簡易ホームページ」などと訳されています。文章や写真などを専用のソフトやエディターなどで書き、インターネット上にアップロードしなくても、常時接続されたインターネット環境で、HPに直接文章を記入していくことにより、誰でも簡単に、いつでも、どこでもHPの新規作成や更新ができるシステムです。専門の知識がなくても数時間で自分のHPが持てるということから、「簡易ホームページ」と呼ばれているようですが、その本質は「簡易」という言葉では表現できない大きな潜在能力を持っています。
繰り返しになりますが、ブログは自宅のパソコンでなくても、インターネットに接続された環境であればどこでも更新ができます。したがって、私は、議会でも、県本部の事務所でも、時間調整のための図書館や、インターネット喫茶などでも更新作業を行っています。視察先のビジネスホテルなどは、最も良い更新場所になります。また、電子メールでの更新も可能ですから、携帯電話からメールを打ち、写真を添付すれば立派な画像つきの記事が完成されます。
ブログの特徴の二番目に、ヤフーやグーグルなどの検索システムとの相性が非常に良いということがあります。
この点を具体的に見てみると、ヤフーの検索サイトで「事業仕分け」と「公明」というキーワードで検索をしてみると、検索結果のトップから5番目までは、公明党の公式HPの内容が表示されます。6番目と7番目はブログによる記事です。(6番目は私のHPが検索されています)。その次に党の幹事長である冬柴鉄三議員のHPが続きます。
@公明党ホームページ・デイリーニュース
A公明党ホームページ・デイリーニュース
Blivedoor・ニュース
Clivedoor・ニュース
DiWoman(公明党女性のページ)
Eほっとメール@ひたち(個人ブログ)
Fはなちゃんの朝一番 介護・医療 ニュース(個人ブログ)
G冬しば鉄三・ニュース記事
H日本経済新聞社のニュースサイト
I日本経済新聞社のニュースサイト
Jほっとメール@ひたち(個人ブログ)
K高知新聞社説
Lはてなアンテナ(創価・公明アンテナ)
M高知新聞
N冬しば鉄三・庶民の声を国のド真ん中に!
Ogoo・ニュース
Plivedoor・ニュース トピックス
Q神崎武法・ホームページ
R官界の悪しき伝統を断ち切れ!(個人ブログ)
S神崎武法・ホームページ
同じようにグーグルの検索で調べると
@今日の「聖教新聞」と「公明新聞」(個人ブログ)
A公明党ホームページ
B公明党ホームページ
Cまぐまぐ(公明党のメルマガ)
Dまぐまぐ(公明党のメルマガ)
E桝屋敬悟のウェブサイト
F福岡県議会議員/広田誠一ニュース
Gほっとメール@ひたち
Hlivedoor・ニュース
IJAN・JAN
Jほっとメール@ひたち
K福岡県議会議員/広田誠一ニュース
Lブログランキング・ドット ネット
M衆議院議員江田康幸ネット
N参議院議員弘友和夫ネット新聞
Oeー連携ビジネスチャンス・マガジン
PiWoman(公明党女性のページ)
QiWoman(公明党女性のページ)
Rlivedoor・ニュース
S衆議院議員井上義久ホームページ
以上のようになります。@、G、Jがブログになっています。同じ検索語を入力しても、検索エンジンの前のほうに掲示されるサイトとそうでないサイトの違いはなぜ起こるのでしょうか。各検索サイトは、その順位付けのシステムを公開していませんので、推量することしかできませんが、その検索サイトで上位に表示させる技術をSEOと専門的には呼んでいます。ブログは、そのような専門的な知識に関係なく、作ったサイトを結果的に検索の上位に表示させることができます。無論、更新の頻度など他の要因も関係していることも事実です。
また、蛇足ではありますが、グーグルの結果を分析してみて気がついたのですが、F、K、M、Nと九州の公明党議員さんが並んでいることに注目したいと思います。多分、確認はしていませんが、同じホームページの作成業者、または個人がHPの運営に関わっていると思われます。グーグルの検索サイトへの対応が十分に意識ざれたHPの作り方をしているために、検索結果が上位に表示されているのではないかと推測します。
ブログ導入の3つ目のメリットは、ランニングコストがほとんどかからないという点です。国内の主要なブログサービスはほとんどが広告収入で運営されており、使用料は無料です。専用のHP作製ソフトなどの購入も必要がないため、大変安価にインターネットでの情報発信が可能となります。
こうした点を重視し、私は、2004年1月からHPの主要な部分をブログ形式に変更しました。(ほっとメール@ひたち・井手よしひろ活動記録BLOG版)その結果、一日のアクセス数は平均70から80件であったものが、10倍以上の700から1000件程度に跳ね上がりました。「介護保険」や「振り込め詐欺」など話題となっている事をインターネットで調べようとしたら、偶然、井手さんのHPにたどり着いた」などという声を良くいただくようになりました。まさに、これが私のHPのねらいです。
更新の簡単さも大いに内容の充実に貢献しています。新規に掲載した記事は、この2年間で2000件を越えています。
反面、ブログを維持するためのコストはライブドアの有料サービスを活用しても、毎月260円のサイト使用料と年間3000円あまりのドメイン使用料(hitachi-net.jp、インターネット上の住居表示にあたる登録料)だけで済んでいます。
支持者拡大にホームページを戦略的に構築
公明党の議員でも活発にHPでの情報発信に努めている方も多くなりました。党の公式HPのレベルも、政党の中でもトップクラスであると評価します。しかし、多大な労力を投入して制作されたHPが、大きな力を発揮するためには、いかに多くの人に見てもらい、共感や支持をいただくかという戦略的な取り組みが必要です。単にホームページを開設すればよしとする時代から、そのHPがどのような影響力を与えて行くかを真剣に考える時代になったと思います。
2007年の参議院選挙に向けて、ネット上の選挙運動も認めようとする公職選挙法の改正も視野に入って来ました。
こうした時流の中で、党を上げてのインターネット戦略の明確化と議員間の情報交換やスキルアップの場の提供が必要です。私自身も、つねに向上心を燃やし、公明党の理解者を増やす戦いをネットを通して展開して行きたいと決意を新たにしています。
上記レポートは、月刊「公明」復刊第1号(2006年1月号)に投稿した原稿です。実際の記事は、紙面の都合で割愛された部分があります。