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 Copyright Yoshihiro IDE (e-mail:y_ide@jsdi.or.jp) 最終更新日:1996/AUG/29

  

井手県議ダイオキシンの排出が懸念される
竜ヶ崎地方塵芥処理施設を調査

塵芥処理場イメージ 平成8年7月29日、井手よしひろ県議は竜ヶ崎地方塵芥処理組合を訪れ、老朽化したゴミ焼却場(城取清掃工場)の現状を現地調査した。

 処理組合の池野辺和男場長、宮本弘次長より経過と現状についての説明を受け、処理工場を視察した。この城取工場が稼働したのは1971年、今年で25年を迎える。竜ケ崎市、牛久市、利根町、河内町の2市2町が共同で設立した竜ケ崎地方塵芥処理組合(管理者、海老原龍生・竜ケ崎市長)が運営している。

 工場が設立された当時の4市町の人口は約56500人。ごみの排出量は一日約36トンで、日量60トン(8時間稼働で15トン処理可能の焼却炉が4機設置された)の処理能力を持つ同工場で十分に対応できた。

 しかし、その後で4市町の人口は約17万人と約3倍に膨れ上がった。

 ゴミ量は約4.5倍の160にまで増大した。

 6年前には、1日8時間稼働から16時間稼働に処理体制を強化した。それでも、毎日10〜20トンを民間業者の委託処理としていた。

 しかし、施設の老朽化と稼働時間の延長により近くの住民よりの排煙の苦情が相次ぎ、この春、稼働時間を8時間に戻した。  処理が間に合わないごみは、一日約70トン。外部委託し、県外の工場で処理している。

 県内でも最も古い施設のため、「排煙にダイオキシンが含まれているのではないか」との不安が周辺住民に高まっている。

城取清掃工場全景 城取工場のそばに住む新利根町の野友惣平さん(81)も長年、工場の排煙に悩まされてきた。野友さんが代表を務める「新利根町ゴミ公害排除期成会」は、同町上根本と下根本の住民を対象に、がんで亡くなった人を調べた。工場の周囲1kmほどの地域では、過去10年間に死んだ57人のうち、25人ががんが原因という。がんの占める死因の割合は全国平均の2倍以上の高さだった。

 工場から1キロほど離れた竜ケ崎市塗戸町のに住む野口徳さん(64)は、二月に肺がんの手術をしたばかり、農作業にもマスクをして臨むという。野口さんは「竜ケ崎市自然と環境を守る会」をつくり、環境保護の運動を進めている。

 この野友さんと野口さんらは、3月から摂南大学薬学部の宮田秀明教授らの協力で、周辺住民の血液と工場周辺の土壌のダイオキシン類含有量を調べている。

 4市町ではすでに90年、竜ケ崎市と牛久市が単独で、利根町と河内町が共同で、計3つの清掃工場の建設を目指すことを決めた。利根町と河内町は91年に、利根河内塵芥処理組合(管理者、若泉隆志・利根町長)を設立した。だが、用地確保ができず、建設計画はとん挫した。財政事情の点でも広域事業を再検討し始めていた。

城取清掃工場の焼却炉 こうした折、竜ケ崎市が市内に土地を確保できたことで、利根町と河内町は竜ヶ崎市と共同で工場を建設することを決めた。各議会の議決後、利根河内塵芥処理組合は解散、竜ケ崎地方塵芥処理組合に再加入した。

 竜ヶ崎地方塵芥処理組合では、平成12年の完成を目指し、新たな工場の計画設計を急いでいる。

 一方、単独で清掃工場を建設することになった牛久市は、新工場を市内奥原地区で96年度中に着工、1999年4月の稼働を目指している。

 牛久市は新清掃工場の公害対策として、排煙に含まれる有毒物質ダイオキシン類の排出量を、1立方メートル当たり0.1ナノグラム(10億分の1グラム)以下に抑える厳しい基準を設定した。

 厚生省のガイドラインは0.5ナノグラムだが、ダイオキシンの有害性が全国的に注目され、国でも規制値を強める方向であることを考慮した結果であった。

 新清掃工場の建設業者の指名入札は7月19日に4社が参加して行われ、三菱重工業が落札、市と27億5300百万円で契約した。

 新工場は1日16時間の稼働で45トン焼却できる炉を三基備える(1日当たりの合計処理能力135トン)。高温で熱した砂にごみを混ぜて焼却する流動床方式を取り、排煙に含まれる有害物質は、バグフィルターと触媒塔の二重構造で除去する。牛久市は三菱重工業に、ダイオキシン類の排出量を0.1ナノグラム以下にすることを保証させた。

 ダイオキシンの排出基準については、現在厚生省が策定中でる。また、それに先立ちごみ処理工場のダイオキシン排出量の調査が今年いっぱいを目処に進行中である。

 一刻も早い基準作りとそれに伴う施設の改善が必要である。また、施設の改善、新設に伴う自治体の財政的負担に対して、国・県の万全の補助体制の整備が求められている。

県が周辺地域のダイオキシン調査を予算化

 県は、井手県議らの要望を受け、平成8年度9月補正予算に,竜ヶ崎塵芥処理場周辺の大気、土壌、井戸水中のダイオキシンの調査を盛り込んだ。

 周辺住民の不安解消に向け,一歩が踏み出された。

  

  


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