◇気温の変化が大きかった2月
低気圧が短い周期で日本付近を通過しました。月の初めと月の終わりには、低気圧の通過後に寒気が入って強い冬型の気圧配置になるとともに気温が低くなりました。一方で、日本海を進む低気圧に伴って気温の上がる時があり、1月に引き続いて気温の変動が大きくなりました。このため、月平均気温は4.0℃と平年を0.4℃下回りました。また、低気圧が頻繁に通過しましたが、日本付近では発達前の段階で通ることが多かったため、月降水量は35.5mmと平年の57%にしかなりませんでした。一方、日照時間は182.9時間(平年比106%)とほぼ平年並でした。
2月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温(℃) 4.0 4.4 月降水量(mm) 35.5 61.8 月日照時間(時間) 182.9 173.0
旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 3.8 3.9 中旬 4.5 4.6 下旬 3.8 4.8
旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 67.9 63.9 中旬 55.9 59.8 下旬 59.1 47.7 ※下旬の日照時間の平年値は、各年の2月21日〜28日の合計値の30年平均。
●2月の日立市役所における日平均気温の推移とつくばにおけ850hPa気温の推移
◇春一番から雪へ天気が大きく変化する(23日〜25日)
23日から25日にかけて、気温が大きく変化しました。23日は日本海を低気圧が発達しながら東北東へ進み、関東地方では南部を中心に南よりの風が強まって、各地で気温が17℃近くまで上がりました。しかし、24日から25日にかけては今度は本州南岸を低気圧が発達しながら東北東へ進みました。低気圧の東進に伴い、関東地方では北東の風とともに地表付近に冷たい空気が入り、24日の夜から25日の朝にかけて、茨城県を中心に雪が降りました。
23日から25日にかけての上層の気温は、下表のように-25℃から-22℃と、それほど大きく変化していません。しかし、風向の違いによって、地表付近の気温は大きく変化しました。23日は、8時過ぎ頃から風向が西北西から南西に変わるとともに強まり、気温が上がり始めました。12時過ぎには気温が15℃を超え、14時43分にこの日の最高気温17.3℃を記録しました。また、風は12時44分に、南西の風19.8m/sの最大瞬間風速を記録しました。15時過ぎに、風向が西から西北西へ変わるとともに気温は下がり始めました。2004年の2月22日にも、日本海を北東へ進んだ低気圧に向かって、やや強い南西の風が吹き、気温が22.0℃まで上がっています。この時に比べて、上層への暖かい空気の流入が弱かったため、今回は気温はあまり上がりませんでした。(2004年2月の観測日誌へ)
●2月23日と25日の気温(℃)
いずれの地点でも、23日から25日にかけて最高気温が10℃以上低くなった。
地点 23日 25日 日平均 最高 時刻 最低 時刻 日平均 最高 時刻 最低 時刻 日立市役所 7.7 17.3 14:43 0.4 04:35 2.5 6.4 13:43 0.1 00:41 本山 4.0 14.1 12:39 -2.8 03:44 0.3 2.2 14:10 -1.4 00:00 南部支所 7.5 16.0 13:55 -0.9 06:32 1.9 4.9 12:48 0.1 00:39 水戸(金町) 7.5 17.4 12:43 -1.9 06:54 2.2 4.5 12:29 0.1 03:43 ●2004年2月22日から23日との比較
高さ(海面気圧) 2005年 2004年 2月22日 2月23日 2月24日 2月25日 2月21日 2月22日 5500m(500hPa) -27.4 -24.7 -21.8 -2145 -18.3 -16.2 1500m(850hPa) -6.7 0.8 -2.1 -2.0 5.3 9.3 市役所の日最高気温 10.4 17.3 8.9 6.4 18..9 22.0 ※5500mと1500mの気温は、つくばにおける09時の高層観測の値。
24日は昼頃まで晴れていましたが、九州の南の低気圧が東進するにつれて西のほうから急速に雲が広がり、関東地方でも夕方から雨が降り始めました。低気圧が関東地方に近づくにつれて北東の風が強まるとともに地表付近に冷たい空気が入ってきたため、関東地方では24日の20時過ぎから気温が4℃から0℃近くまで下がりました。このため、夜に入って茨城県から神奈川県にかけては雨が雪に変わりました。
23日から25日にかけての上層の気温を見ると、高さ5500mから1500m付近にかけての気温は、それほど低くなっていません。しかし、茨城県内の気温の変化を見ると、20時頃から22時頃にかけて北部のほうから気温が下がり出していることが分かります。関東地方で雪が降る場合は、平野部においては南部の方が気温が低くなることが多いですが、今回の場合は県北部の北茨城の気温が最も低くなっていました。このように、海面付近の冷たい空気が北東の風とともに北の方から流れ込んできたことと、やや発達した雨雲が茨城県から神奈川県にかけて帯状にかかったことから、茨城県の北部から中部にかけて、積雪が10cmを超える大雪になりました。
●25日の最深積雪(cm)
観測地点 最深積雪 観測地点 最深積雪 日立 9 宇都宮 2 大子 4 前橋 - 水戸 14 熊谷 3 鉾田 2 東京 - 土浦 4 千葉 - 下妻 4 横浜 -
●2月23日から25日にかけての気温と風向の推移
●2月24日から25日にかけての気温の推移(日立市役所及び茨城県内の比較)
●2月23日09時と24日21時の地上天気図
●2月23日09時と25日09時の850hPa面高層天気図
●アメダスによる気温と風の分布(2月24日19時と21時)
●2月23日から25日にかけての地上天気図
作成日 2005/03/16
訂補日 2006/07/26
訂補日 2014/11/18
名前 日立市天気相談所