◇雨の日が続く

 本州付近に梅雨前線が停滞し、西から湿った空気が入りやすい気圧配置が続いたため、曇りや雨の日が多くなりました。このため、月日照時間は72.7時間と、平年の53%しかありませんでした。一方、月降水量は345.0mmと平年の2倍(平年比242%)を超え、7月の降水量としてはこれまでで最も多くなりました。

 また、月の前半は南から暖かい空気が入るときが多く、平年より気温の高い日が続きました。特に、10日から11日にかけて台風第3号が朝鮮半島から日本海へ進んだ後は、太平洋高気圧におおわれ、北日本に停滞する前線に向かって南から暖かい空気が入ったため、気温が上がりました。13日に最高気温が30.2℃と、今年になって初めて30℃を超えた後、14日が33.4℃、15日が31.6℃と日最高気温が30℃を超える日が続きました。

 しかし、16日になると日本付近で上層の気圧の谷が深まるとともに梅雨前線が南下し、本州南岸に停滞するようになりました。そして、関東地方では北から冷たい空気が入りやすくなり、気温の低い日が続くようになりました。このため、月平均気温は23.0℃とほぼ平年並になりました。

7月の気象観測値
観測要素 観測値 平年値
月平均気温(℃) 23.0 22.9
月降水量(mm) 345.0 142.4
月日照時間(時間) 72.7 136.2
旬降水量(mm)
観測値 平年値
上旬 120.5 54.7
中旬 189.5 51.2
下旬 35.0 36.6
旬日照時間(時間)
観測値 平年値
上旬 17.3 37.1
中旬 11.5 37.8
下旬 43.9 61.3

 ※順位は数値の大きい方からで、1953年から2006年の統計

 ●7月の日立市役所における日平均気温と日最高気温の推移

2006年7月の日立市役所における日平均気温の推移 2006年7月の日立市役所における日最高気温の推移

 ●降水量と日照時間の記録

月降水量(mm)
順位 降水量
1 2006 345.0
2 2005 307.0
3 1980 287.0
4 1953 278.6
5 1957 266.2
月日照時間(時間)
順位 日照時間
1 1988 23.8
2 1993 35.9
3 1998 49.5
4 1990 53.7
5 2003 64.0
6 2006 72.7

 ※順位は、1953年から2006年の統計で、値の多い方または少ない方からの順位

先に述べたように、15日から16日にかけて日本付近で上層の気圧の谷が深まり、梅雨前線が南下して、本州南岸から九州地方に停滞するようになりました。それとともに、梅雨前線に沿って西から湿った空気が入るようになり、前線に沿って雨雲が発達しました。このため、15日から19日にかけて、中部地方から北陸、山陰地方で、総降水量が500mmを超える大雨が降りました。日立市でも、15日の夕方から19日の昼過ぎにかけて断続的に雨が降り続き、日立市役所では総降水量が185..5mmに達しました。

 特に、17日に明け方から19日の昼前にかけては、やや発達した雨雲が関東地方を次々と進んだたため、日立市では3日間の降水量が150mm近くに達しました。(17日4時から19日15時までの市内6地点の降水量データ(htmlファイル)

15日から19日の降水量(mm)

観測地点
15日 16日 17日 18日 19日 総降水量

最大1時間降水量

降水量
日時
日立市役所 20.0 4.0 61.0 45.5 55.0 185.5 19.0 15日20時44分~21時44分
北部消防署 17.5 4.0 62.5 47.5 68.0 199.5 15.0 15日21時00分~22時00分
本山 18.5 7.0 61.0 48.0 62.0 196.5 10.5 18日20時00分~21時00分
西部出張所 19.5 5.5 49.0 41.5 50.0 165.5 15.0

15日20時00分~21時00分

諏訪広場 23.5 1.0 65.5 52.5 51.0 193.5 15.0 15日20時00分~21時00分
南部支所 7.5 - 70.5 47.0 49.5 174.5 11.0 18日21時00分~22時00分

 その後も、24日にかけて梅雨前線は関東地方の南から九州地方に停滞し、湿った空気が西日本を中心に流れ込んだたため、九州地方では総降水量が1200mm近くに達する大雨が降りました。日立市では、梅雨前線が南へやや離れた後、24日から25日にかけて東北地方まで北上したため、20日から24日にかけて曇りや雨の日が続きましたが、総降水量は28.0mmと少なくなりました。

 26日になると、日本の南海上で上層の高気圧が強まり、西日本でも梅雨前線は朝鮮半島付近まで北上しました。その後、西からの湿った空気の流れが弱まっていくとともに梅雨前線も弱まり、大雨の峠は越えました。

  参考:7月15日から24日にかけての降水量分布(気象庁の資料から作成)

7月15日から24日にかけての降水量分布(気象庁の資料から作成)

  参考:7月15日から27日にかけての地上天気図と高層天気図

2006年7月15日09時の地上天気図 2006年7月15日09時の500hPa高層天気図
2006年7月15日09時の地上天気図 2006年7月15日09時の500hPa高層天気図(日本付近で気圧の谷が深まる)
2006年7月19日09時の地上天気図 2006年7月19日09時の500hPa高層天気図
2006年7月19日09時の地上天気図 2006年7月19日09時の500hPa高層天気図
2006年7月23日09時の地上天気図 2006年7月23日09時の500hPa高層天気図
2006年7月23日09時の地上天気図 2006年7月23日09時の500hPa高層天気図
2006年7月27日09時の地上天気図 2006年7月27日09時の500hPa高層天気図
2006年7月27日09時の地上天気図 2006年7月27日09時の500hPa高層天気図(日本の南で上層の高気圧が強まる)

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作成日:2006/08/17
訂補日:2013/06/20
名前 日立市天気相談所