◇月の中頃、気温が上がる

　日本付近を高気圧と低気圧が交互に通過し、天気は数日の周期で変わりました。ただ、上旬後半と中旬後半から下旬にかけては、本州南岸の前線や上層の寒気の影響で曇りや雨の日が多くなりました。このため、月の日照時間は183.5時間（平年比103％）とほぼ平年並みになりました。一方、18日に日本海を低気圧が発達しながら進んだ他は本州付近での低気圧の発達は弱く、大雨となる日がなかったことから、月降水量は112.0mm（平年比85％）と平年よりわずかに少なくなりました。また、上旬後半から中旬にかけて、南の高気圧から暖かい空気が入り、気温の高い日が続きました。このため、月平均気温は12.6℃と平年より0.5℃高くなりました。

4月の気象観測値 観測要素 観測値 平年値 月平均気温（℃） 12.6 12.1 月降水量（mm） 112.0 131.9 月日照時間（時間） 183.5 178.8

旬平均気温(℃) 旬 観測値 平年値 上旬 10.5 10.5 中旬 14.1 12.1 下旬 13.2 13.7

旬日照時間(時間) 旬 観測値 平年値 上旬 58.7 61.4 中旬 70.4 55.5 下旬 54.4 61.9

　●4月の日立市役所における日平均気温とつくばにおける500hPaと850hPa気温の推移

　●4月の日立市役所における日最高気温と日照時間の推移

　14日から19日にかけては、南から高気圧におおわれて気温が上がりました。特に、16日は北海道の北を東へ進む低気圧に向かって南西の風とともに下層へ暖かい空気が入ったことと、日中はよく晴れたことから、東北地方南部から九州地方にかけて気温が高くなりました。日立市役所でも、16日は日の出とともに気温が上がり始めて、8時前には気温が20℃を超えました。その後も気温は上がり続けて、13時41分には最高気温は25.5℃を記録しました。これは、今年になっての最高気温であるとともに、今年初めての夏日（最高気温25℃以上の日）でした。夏日初日としては、平年（5月9日）より23日早く、昨年よりも21日早いものでした。なお、最近の記録としては、2005年の4月6日に次いで早い記録となっています。

　●夏日初日の記録（日立市役所）

　※順位は、1961年から2017年の統計。

◇4月の日立市内の気温と降水量

　4月の日立市内の気温の観測結果を比較すると、平均気温は引き続き日立市役所が最も高くなっています。次いで、最も北に位置する十王交流センターが2番目に高くなっています。山間部にある本山、西部支所と標高の高い諏訪広場は気温の低い方になっています。なお、市内7地点の平均気温は11.0℃で、水戸の月平均気温12.8℃よりも1.8℃低くなりました。気温差は3月よりも大きくなっており、暖候期に向けて水戸の方が気温の上がり方が大きくなっています。なお、日立市内7か所の観測地点における平均気温は、全地点とも水戸より低くなりました。

　一方、月の降水量の市内平均は111.1mmで、3月の平均降水量73.3mmよりも1.5倍程多くなりました。観測地点の間の差は3月より大きくなっており、最も降水量の多かった本山の141.0mmに対して、最も少なかった南部支所は88.5mmと1.6倍の差でした。また、市内7地点の平均降水量111.1mmに対して、水戸の月降水量は112.5mmとほぼ同じになりました。

　●4月の日立市内と水戸の気温、降水量の観測結果

4月の気温（℃）の記録 観測地点 平均 気温 最高気温 最低気温 気温 日時 気温 日時 日立市役所 12.6 25.5 16 13:41 3.1 03 05:40 十王交流センター 12.2 25.9 16 13:43 2.1 02 05:47 北部消防署 11.1 23.5 16 15:44 1.5 03 05:37 本山（中学校跡） 9.3 23.8 16 12:30 -1.7 03 05:28 西部支所 10.0 24.9 16 14:03 -2.2 03 05:47 諏訪広場 10.1 23.7 16 14:57 0.1 02 05:47 南部支所 11.9 26.1 16 14:30 1.9 14 05:10 上記7地点の平均 11.0 - - - - 日立会瀬 12.6 25.5 16 13:32 2.8 02 05:50 水戸（金町） 12.8 27.2 16 14:25 2.0 04 03:19

4月の降水量（mm）の記録 観測地点 月降水量 日最大降水量 1時間最大降水量 降水量 日 降水量 日時 日立市役所 112.0 38.0 11 7.0 11 17:44 十王交流センター 122.0 39.0 11 9.0 18 02:31 北部消防署 101.5 32.5 11 7.5 18 03:38 本山（中学校跡） 141.0 44.5 11 15.0 29 18:31 西部支所 110.5 38.0 11 7.0 18 01:16 諏訪広場 102.5 35.5 11 7.0 11 17:54 南部支所 88.5 35.5 11 6.0 11 17:45 上記7地点の平均 111.1 - - - - 日立会瀬 110.5 39.5 11 7.0 11 17:42 水戸（金町） 112.5 39.5 11 7.0 15 16:29

　※日立会瀬と水戸（金町）は気象庁の観測地点。

◇北西の風が強く吹く（19日）　

　19日の日中に、寒冷渦が北緯40度線に沿って北日本を東へ進みました。これに伴う地上低気圧が寒冷渦の直下を進み、東シナ海の高気圧との間で気圧傾度が大きくなったため、北日本から西日本にかけての広い範囲で、朝から西寄りの風が強く吹きました。関東地方でも、南部では8時頃から南西の風が強まりました。一方、茨城県では寒冷渦の前面に残る暖気の影響で、午前中はあまり風が強くなりませんでした。その後、寒冷渦が東へ進むにつれて関東地方北部から風向が北西に変わってくるとともに風が強くなり始め、夜にかけて関東地方全域で北西の風が強く吹きました。島しょ部を除いた関東地方各地の最大瞬間風速は、茨城県北茨城で西北西の風25.9m/s（21時08分）、栃木県那須高原で北西の風25.4m/s（17時17分）、茨城県高萩で西北西の風22.5m/s（20時49分）など、茨城県北部から栃木県北部にかけて特に風が強く吹きました。

　19日09時と21時及び20日03時の地上天気図において日立市役所と富山の気圧差を見てみると、19日09時が7.1hPa、21時が12.6ｈPa、20日03時には4.8hPaと、寒冷渦が通過した19日21時に気圧傾度が最も大きくなりました。

　●参考：地上天気図と500hPa面高層天気図

2017年4月19日09時の地上天気図	2017年4月19日21時の地上天気図
2017年4月20日03時の地上天気図	2017年4月19日21時の500ha面高層天気図

　日立市役所における風速の推移をみると、12時から13時にかけて雷雲が通過した後、北西の風がやや強く吹き始めました。寒冷渦が東海上へ進んだ夜になると、東西方向の気圧傾度が大きくなるとともに上層の寒気が地方表付近へ下がってきて一段と北西の風が強くなり、20時17分には最大瞬間風速24.0m/sの西北西の風を観測しました。23時を過ぎると風向が南西に変わり、風は急速に弱まりました。

　日立市内の他の観測地点も、南部支所と西部支所を除いて日立市役所と同じような風速の変化をし、21時前後に風が最も強くなりました。その中で、いつもはあまり風が強まらない北部消防署で21時24分に最大瞬間風速24.2m/sの北北西の風を観測し、日立市内で最も強い風を記録しました。

　過去5年間（2013年〜2017年）の強風の記録を見ると、下表のようになっています。第1位と第2位は、台風によるものでした。しかし、第3位以降は2月から4月にかけての本州付近を進んだ低気圧と寒冷渦によるものでした。特に、2013年と2014年は低気圧が発達し、強い風の吹く日が多くありました。

　●過去5年間の強風の記録（日立市役所）

　水戸とつくばにおける風速の推移をみると、17時頃までは日立市役所よりも風が強くなる時がありました。しかし、夜は日立市役所のように風が強まることはありませんでした。

　●4月19日から20日の風速の推移（10分値）

　●日立市観測地点の風速の推移（10分値）

　●参考：4月19日14時と22時のアメダスによる風の分布

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作成日 2017/05/09
名前 日立市天気相談所