平成15年3月県議会一般質問 2.いばらきブロードバンドネットワークの利活用
次に、いばらきブロードバンドネットワークの利活用について、企画部長にお伺いいたします。
来年度からの運用開始を目指し、いばらきブロードバンドネットワークの整備が進んでおります。このネットワークは、私どもが一貫して提案し、推進方を強く要望してまいった事業です。整備推進に当たっては、私の地元のボランティアの方が、
8,000人を超える事業推進の署名を橋本知事に提出するなど、閉塞した地域経済を活性化する切り札としても期待が高まっております。
このネットワークは、県内主要都市を2.4ギガという大容量の光ファイバー網で結び、県民、企業及び行政が利用できる高速・大容量の情報通信基盤を、県内全市町村と一体となって整備することに特徴があります。
これにより、ひとつには、県内地域間のインターネット接続環境など情報通信格差の是正する。二つ目に、ITを活用した産業振興する。三つに行政サービスの効率化・高度化を図る。ことなどを目的にしています。
我が県より一足先に情報通信基盤を稼働させた福岡県や宮崎県の例を見ますと、
2001年11月より供用を開始した福岡県では、ISP(いわゆるインターネットのプロバイダー)やコンテンツ配信などを行う42の事業者が福岡ギガビットハイウェイを活用しております。また、昨年8月に供用開始した宮崎情報ハイウェイ21では、県及び県の出先機関、さらに全ての市町村とのネットワーク化が図られ、財務会計や物品管理システムなど28の行政システムが稼働しております。さらに、民間事業者も7社が利用しております。
さて、いばらきブロードバンドネットワークは、この4月に幹線部分の供用を開始し、10月からは全市町村を結んで本格運用が始まると伺っており、ハード面の整備は順調に進んでいるものと認識しております。
これからは、このネットワーク上に、県民誰もがうれしいと感じるサービスを展開するという、最も重要な課題へ全力を挙げていかなければなりません。
県ではISP事業者や企業など民間事業者に対して、このネットワークを無料で開放することとし、昨年12月より利用者を募集していると伺っております。
そこで、現時点における民間事業者のいばらきブロードバンドネットワークの利用希望の現況についてお伺いいたします。
さらに民間事業者のネットワークの活用を促すためには、ネットワークへの入口と出口の整備を行う必要があります。
入口とは、ラストワンマイル問題の解消です。いばらきブロードバンドネットワークの15のアクセスポイントから各事業者までの回線を、どのような手段で、より安価に、より効率的に引き込むかが大きな課題となっております。
たとえば、既に敷設されていながら使われていない民間の光ファイバー網(いわゆるダークファイバー)の利活用について、NTTや東京電力などの大手通信事業者と地元のインターネット接続事業者との仲立ちを県が行うなど、英知を結集した政策展開が望まれるところです。
また、出口とは、情報の一大集約点である東京への接続方法です。上位インターネット回線等を活用した思い切った民間事業者との連携が必要であると思います。
いばらきブロードバンドネットワークを、本当の意味で、民間事業者が利用しやすくするための方策について、企画部長にお伺いいたします。
また、いばらきブロードバンドネットワークは、行政事務の効率化を図り、県民の利便性を向上させるためにも、電子自治体の構築するための重要な柱ともなります。
このような中で、万が一の原子力事故に備えての原子力防災体制の整備や、小中学校における高速インターネット接続環境の実現など教育分野におけるIT化への対応は、まさに喫緊の課題であり、早期解決に向けて、このネットワークを積極的に活用していくべきであると考えております。いばらきブロードバンドネットワークを活用した行政サービスの準備状況について、併せて企画部長にお伺いいたします。
いばらきブロードバンドネットワークの利活用について、お答えいたします。
まず、民間事業者のネットワーク利用希望の現況についてでございます。民間事業者の利用につきましては、昨年12月に説明会を開催し、本年一月末まで公募を実施したところでございます。その結果、インターネット接続事業者(ISP)をはじめ、医療機関や情報サービス関連企業など計9社から正式な申込みがあり、これを承認したとこうでございます。
さらに、現在相談を進めている企業が20社ほどあり、こういった方の利用に向けて調整を進めているところでございます。
次に、民間事業者にとって利用しやすいネットワークとするための方策に.ついてでございます。まず、各事業者からアクセスポイントまでの回線は、ISPが整備し提供することになりますけれども、県としましては、ISPに対し、ブロードバンドネットワークを無償で開放するとともに、来年度、「ブロードバンド利用促進調査」を行い、ISPに利用希望についてのデータを提供することなどにより、企業などへのより高速で安価なサービスの提供を働きかけてまいりたいと考えております。
さらに、地元ISPが、インターネット接続サービスを行う場合に負担となっている東京までの回線費用の問題につきましても、県が、ブロードバンドネットワークと大手通信事業者の通信網とを結び、これを提供することにより、地元ISPが出来るだけ安価に東京と接続できるよう、支援してまいりたいと考えております。
次に、行政サービスの準備状況についてでございます。県と全ての、市町村が、高速大容量で接続されるという特徴を生かし、本年10月にスポーツ施設予約システムを運用開始するのを皮切りに、電子申請・届出システムなど県と市町村が共通で利用できるシステムの整備を推進してまいりたいと考えております。
また、ブロードバンドネットワークを利用して、緊急時に情報が入手できる原子力防災情報ネットワークを16年度に、教育分野のIT化を進めるための教育情報ネットワークは平成17年度に、それぞれ運用開始をめざしております。今般策定した「総合がん対策推進計画(第二次計画)」においても、がん専門医療施設間で、ブロードバンドネットワークを利用した、電子カルテの導入が検討されることになったところでございます。
今後とも、いばらきブロードバンドネットワークを活用して、県民や企業の方々にとって、便利で利用しやすいサービスの提供に努めてまいります。
引き続き商工労働部長に質問致します。
いばらきブロードバンドネットワークの利活用に関しては、産業の分野での利用をいかに促進していくかが大きな課題であります。今後の県政発展の重要な鍵であると言っても過言ではありません。
そこで、いばらきブロードバンドネットワークの産業利用を図る上で、県はどのように支援していくのか、その考え方と具体的な取組について、商工労働部長にお伺いいたします。
いばらきブロードバンドネットワークの産業利用促進への取り組みについてお答えいたします。
ITの活用は、今後の企業経営に不可欠であり、経営革新による.競争力強化を図る上で重要な手段であります。また、成長が見込まれるIT関連事業を創出し、産業全体の活性化につなげていくことが必要でございます。
このようなことから、いばらきブロードバンドネットワークの整備を契機として、産業利用の促進をはじめとする、各種の支援策を展開して参ります。
まず、具体的な利用ニーズを把握するため、県内企業約250社を訪問し、約60社で新事業の展開や企業経営の高度化への活用について検討をいただいております。
これらのニーズに応えるためには、議員からご指摘をいただきましたラストワンマイルやインーターネット接続の提供、さらには、企業内のIT人材の育成などが課題であります。
このため県では、来年度、利用希望者の総合相談窓口として、ITサポートセンターをひたちなかテクノセンター内に開設いたします。
ITサポートセンターには、ITの専門技術者を配置し、事業活動への利活用情報の提供や、通信事業者と連携し、ラストワンマイルとインターネット接続等に関する助言を、ソフト・ハード両面から行って参ります。また、事業への導入を判断するためのブロードバンドネットワークの試験的な利用や、動画を活用した教育コンテンツ配信サービスなどの開発についても支援を行って参ります。
さらに、新産業創出の拠点としてつくば研究支援センター敷地内に整備を進めている「つくば創業プラザ」をブロードバンドネットワークに接続し、入居者に最先端の通信環境を提供することにより、ITを活用した創業や新分野進出を支援いたします。
このほか、産業支援機関が連携してIT関連人材の育成を行うための古河ソフトウェアセンターなどによるメニューづくりをはじめ、日立市における観光情報の動画配信などを行う「eまちづくり事業」や、茨城産業会議と情報サービス産業協会による、商店などの情報発信を促進する取り組み、さらには、つくばITフォーラムの活動など、いばらきブロードバンドネットワークの利活用についての様々な取り組みを積極的に支援し、産業のIT化を促進して参りたいと考えております。