平成15年3月県議会一般質問 次に、昨年5月に発生しました日本加工製紙の自己破産に関連して、離職者の支援策について商工労働部長にお伺いいたします。
同社の破産で、高萩工場680名、勝田工場383名、及び関連企業258名、合計1,321名が6月末日付けをもって解雇されました。
1月24日現在の茨城労働局の資料では、この内、392名の再就職が決定しましたが、全体の6割以上が未だに就業できない状況です。多くの方が、2月一杯で雇用保険の支給が終わり、生活は深刻の度を増しております。
先日、ある日本加工製紙の離職者から、一緒に働いていた元同僚が、再就職の展望が開けない現状での生活不安から、自らの命を絶つという最悪の結論を選択されたという話を伺いました。大変に残念な出来事で、返す言葉もありませんでした。
日本加工製紙関係の離職者の6割は、45歳以上の中高年であるため、住宅ローンや子供の教育資金などの問題を抱えて、大変厳しい生活を余儀なくされており、早期就職による生活の安定が望まれています。
平成15年1月の有効求人倍率を、県内各地域のハローワーク別に観てみますと、県平均が0.57倍であるのに対して、高萩は0.39,日立が0.52と県平均を大幅に下回り、大変厳しい雇用情勢が続いていることが伺えます。
そこで、商工労働部長に再就職の現状とその支援策をお伺いします。
さらに、元の高萩工場、勝田工場の事業継承について、橋本知事に要望をさせていただきます。
昨年10月、破産管財人である金子喜久男弁護士が、高萩工場の事業継承の件で、知事と高萩市長にそれぞれ面会し、協力を依頼されたと聞き及んでおります。その際、管財人が高萩市当局に説明した内容が次のとおり報道されました。「神奈川県のリサイクル関連会社が高萩工場を購入し、既存の設備を使って操業を再開する。再生紙の部門で月産7千トンの生産を行う計画があり、順調にいけば12月中に調印し、今年3月か4月に操業に入る予定。同工場の元従業員200名が雇用される見込み」という内容でした。
さらに、勝田工場は北越製紙に、売却が決定されるとの報道がされております。
しかし、その後、具体的な工場稼働の話は、全く伝わってきておりませんし、会社の精算が終了していないため、元従業員の方の退職金や社内預金が未だに支払われていないと聞いております。再就職できない方の多くが、再稼働される工場で働きたいとの希望を持っているとも聞いております。
日本加工製紙の事業継承の件は、破産管財人が民間の事業者と交渉し、決定すべきこととは重々承知しておりますし、知事におかれましても、これまでも、様々なご努力をされていると思います。
しかし、地域の雇用と産業を守るためにも、高萩工場と勝田工場がスムーズに新しい会社に事業継承できますよう、格段のご尽力をいただくことを強く要望いたすものです。
日本加工製紙離職者の支援についてお答えいたします。
再就職の現状でございますが、茨城労働局によりますと、就職者は、昨年9月20日現在で168人、就職率14.3%であったものが、本年2月20日現在では442人、就職率36.8%となっております。
雇用保険につきましては、5月末までに全員の支給期間が終了しますので、未就職者が早期に再就職できるよう、引き続き支援してまいります。
離職者に対する雇用対策としては、これまで、再就職を支援するため、パソコン技術講習会などを高萩市等において計14回開催してまいりました。また、職業訓練につきましては、求職者の要望の高い介護サービス科等の資格取得関連の訓練コースを中心に県北地域に150名分を増員し、合わせて1000名の枠で実施してきたところであります。再就職先の確保につきましては、茨城労働局等と連携し、県北地域の1154事業所に対する求人要請や、日立市において就職面接会を実施してきたところでございます。
さらに、県北地域において求人開拓を行う雇用相談員を2名増員し、商工会等に配置している相談員を含め計11名により、これまで県北地域で1134人分の求人を開拓したところでございます。
また、生活支援策といたしましては、失業者等緊急生活資金融資の返済期間の延長などにより、当面の生活資金の確保などに努め、日本加工製紙関連で現在77件、3344万円の利用実績となっております。
今後は新たに、離職者がより広い視野から就職先を選択できるよう、求職者に対し比較的求人が多い警備要員などの業種に特化した講習会・面接会を開催するとともに、就職サポートセンターを水戸などに設置し、就職相談の専門職であるキャリアカウンセラーが、求職者一人ひとりの状況に応じた的確な助言を行うこととしております。
さらに、現在、4か所に設置している県民雇用相談コーナーを日立商工分室にも設置し、県北地域における雇用相談の充実を図るなど、早期の再就職を支援してまいりたいと考えております。