2000/10/23update

第3回公明党全国大会 重点政策(案)
21世紀「健康日本」の構築 ―― “活力と安心の生活大国”をめざして ――


第2部


十 21世紀の人権大国・日本をめざします

 21世紀を希望ある世紀にするためには、わが国の内政・外交の基本が、平和の構築と人権の尊重で貫かれたものでなければなりません。そうした国づくりを進める一方で、公明党は、世界に誇れる21世紀の人権大国・日本をめざし、国民の思想、良心、信教の自由や幸福追求の権利など、人間としての基本的な権利を侵害するあらゆるものに対して断固として闘うとともに、子ども、女性、高齢者、障害者などさまざまな立場にある人々の社会的不平等の解消に努めます。

1 国内人権機関の創設

 さまざまな人権侵害の被害者を救済するため、<1>総合的な相談窓口であるとともに人権を救済する機能、<2>人権の教育、啓発を総合的に推進する機能、<3>人権に係る調査、政策提言機能――などを持った、独立した準司法的行政機関としての国内人権機関を創設します。創設に際しては、表現・信教・学問などの自由に配慮したものとします。

2 人権擁護の積極的な推進

 教育方法・教材の開発、研修内容の研究を進め、人権を尊重する家庭教育や学校教育、企業内研修等を促進します。また、「人権教育・啓発推進法」(仮称)の法制化をはかります。人権教育に携わる団体・グループ、専門家を積極的に支援するとともに、女性や子ども、高齢者への虐待等の人権侵害対策の拡充など、総合的な取り組みを進めます。

3 国民の立場に立った司法制度改革の推進

 国民の立場に立った21世紀の司法制度改革を進めるために、<1>法律扶助制度の一層の拡充、<2>被疑者段階の国選弁護人制度の導入、<3>適正な法曹人口の実現、<4>法曹一元化、<5>参審制・陪審制の実施、<6>弁護士へのアクセス(法律相談等がしやすくなる体制づくり)の拡充や司法書士等隣接法律専門職への業務開放の検討など弁護士制度の見直し、<7>法曹界への幅広い人材の受け入れを前提にする法曹養成制度の導入、<8>知的財産権関係事件や医療過誤事件などの専門的知見を要する事件に対応できる制度などの実現を進めます。

4 犯罪被害者の救済

 犯罪被害者やその家族に対して、犯罪被害者給付金制度の拡充など経済的支援や犯罪捜査、裁判における情報公開などが進展するよう適切な措置を取ります。また、被害者が加害者と直接対面することによって、被害者(とその家族)の心の傷を癒すとともに加害者の更生を速やかにはかるなど、人権救済を目的とした「被害者・加害者等調停プログラム」の創設など、医療、精神カウンセリング面での支援策を充実させるとともに、犯罪被害者対策基本法の制定をめざします。また、交通事故被害者対策も充実させます。

5 少年の更生プログラムの充実

 少年法の改正と併せ、少年の総合的な更生プログラムの充実のため、更生専門家の身分保障と育成、少年のための中間施設「グループホーム制度」の創設、保護司活動の支援や更生保護施設の整備など、更生保護体制の充実、「社会奉仕命令」制度の導入などに取り組みます。犯罪予防の観点から、青少年の薬物乱用に対する防止啓発運動の強化、未成年者の飲酒防止対策の強化をはかります。

6 終身刑の導入

 人の生命の尊厳、人権を守る観点から、死刑廃止が世界的な潮流になりつつある今日、わが国においても、死刑制度の廃止に向けた検討を開始します。現在の刑罰制度では、死刑に次ぐ重刑としての無期懲役が、実際には10数年の服役で仮出獄されることが多く、死刑と無期懲役の間には刑罰の上で余りにも大きな隔たりがあります。そこで、将来の死刑廃止を視野に入れ、終身刑の導入を検討します。

7 プライバシー保護及び人権擁護に関する法制度の整備

 IT化の急速な進展に伴う個人情報の漏えい、プライバシー侵害などの対策として、他の人権に配慮しつつ、包括的な個人情報保護法の制定の上、信用情報、電気通信情報、医療情報等の個別法の制定をめざします。またマスコミによる名誉毀損などの人権侵害に対し、メディアオンブズパーソン制度など、報道機関の自主規制の確立をめざした報道被害救済制度や、懲罰的損害賠償制度を含めた民事的救済制度の創設を検討します。

8 外国人に対する人権の保障

 わが国における外国人に対する雇用、教育、社会保障などの差別の解消、永住外国人の地方選挙権の確立を早急に実現するなど、日本在住の外国人の人権の保障に対して総合的に取り組みます。また急速な国際化の進展に対応できる入国政策の検討並びに従来の司法通訳制度の拡充とともに、司法通訳の資格制度の導入を推進します。

 

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