平成9年1月8日、日立市の新年賀詞交換会が開催されました。 飯山日立市長の年頭の挨拶を、市長のご厚意により掲載します。 新らたな年の日立の現状、課題、そして市長の姿勢が端的にまとめられた挨拶です。
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新年あけまして、おめでとうございます。
皆様方には、ご家族共々、又、各企業・機関団体共々、すこやかな気持ちで、この1997年の新春を迎えられたこととお喜び申し上げます。
常日頃より、わが日立市政各般にわたりまして、皆様方には、格別のご支援をいただいております。年頭に当り、あらためて厚くお礼を申し上げます。
ここ数年来、今、わが国がおかれている国際的な立場、社会経済情勢、そして私たち日本人にとって必要なものの考え方なり、精神構造といったことなどについての、いわばキーワードともいうべき言葉が色々と取沙汰されてまいりました。
総じて申し上げますならば、それは、私たちが今、未曾有の大きな変革期に立っている、歴史的な大転換の時代に生きている、ということであろうと思います。むずかしい岐路に立たされているということであります。大競争、大改革の時代というキーワードもありますが、いずれの言葉も相関連するものと思います。
しかも、それらの変化は、外からの要因、外圧によって余儀なくされている変化というよりは、わが国そのものの、様々な面での内なる変化、中からの変化として捉えるべきである、ということでありまして、あらためて、今後の私共の方向として据えつけるべき尺度なり座標軸というものを総点検し、洗い直すことの大切さを痛感いたしております。
本年の経済予測にいたしましても、残念ながら、主なシンク・タンクの見通しによりますと、実質国内総生産、即ちGDPは、2%台から1%台に落ちこむであろうとの見方が大勢を占めております、先行き不透明感や閉塞感の増す中で景気回復のテンポは、依然として鈍いということであります。
このような経済状況の厳しさは当然、市の財政にも大きな影響を及ぼしておりまして、事業達成のための、財源のやりくりには、今までにない難しさを味わっているところであります。
しかしながら、こういう中にありましても、皆様方に報告申し上げなければならない、重要な事業にいくつかの嬉しい進展が見られました。
そのひとつは、道路関係であります。懸案である6号国道日立バイパスでありますが、漁業補償が決着いたしまして、愈々海上部への工事へと、大きなはずみがつきました。
又、久慈川にかかる3本目の橋を含む、(仮称)日立・東海線も着工にむけて、用地買収に入っております。
山側道路や榊橋の架け換えを含めて、市内の道路網の整備になお一層拍車をかけたいと考えております。
ふたつめは、革命的ともいえる速さで進んでいる高齢社会への対応策であります。昨年は、民間への支援ということで特別養護老人ホームと老人保健施設がそれぞれ市内に2か所ずつ着工されました。これらを含めて平成11年度を当面の目標年度とする老人保健福祉計画は、ほぼ達成される見込みがつきました。
これらの成果は全て、市民の皆様、関係者の方々のご支援ご協力によるものでありまして、改めて厚くお礼申し上げます。
私共といたしましては、このほか産業支援や定住人口や、交流人口の増加策など、まちの活性化方策を中心とした、より緊急、かつ重要な課題により積極的に取り組まなければなりません。
特に、本年は、新しい市の基本構想と基本計画が改定される年、再スタートする年であります。市議会の議決事項としての基本構想につきましては、私共執行部からの原案提出に先がけてすでに市議会内部に特別委員会が発足されまして、積極的な検討を続けていただいております。
日立市を取り囲む状況がむずかしければむずかしい程、行政が果たすべき役割と責任は、ますます重いわけでありまして、私共は、日立市将来のあるべき姿をできるだけ的確に見据えながら市の体質改善と行財政改革への全庁的取組みを強力に進めたいと存じております。
昨日、仕事始めに当り、市の職員にも私の考えを伝えました。その中で、ひとつ強調したことがあります。それは、いわゆる「常識には落とし穴がある」ということ、いわば「常識の非常識」に気付くことの大切さ、ということであります。
今日のような大転換の時代には「常識」とか、ありきたりの固定的な「通念」という神話に埋もれ、これのみに頼っているわけにはまいりません。
これまで積み上げてきた様々な実績や経験、常識を大事にしながらも、その経験則や既定の仕組み、ルールをこえた新しい何物かを是非、発見し、さぐりあてていきたいと思います。
引続き厳しい状況が予測される新年でありますけれども、どうか本年が皆様方にとりまして、その苦労が、明かるさにつながる実り多い年でありますよう、又、ご家族、企業・団体共々のご発展をお祈りいたしまして年頭のご挨拶といたします。