平成10年1月6日、日立市の新年賀詞交換会が開催されました。 飯山日立市長の年頭の挨拶を、市長のご厚意により掲載します。
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飯山利雄日立市長
1月6日(火)午前11時
日立マーブルホール明けましておめでとうございます。
皆様方には、ご家族ともども、又、各企業・機関団体共々、健やかな気持ちで、この1998年の新春を迎えられたことと、お喜びを申し上げます。
常日頃より、わが日立市政各般にわたり、皆様方には格別のご支援をいただいております。年頭に当たり、改めて厚くお礼を申し上げます。
今更申し上げるまでもないことでありますが、昨年という年は、というよりもここ数年来というものは、わが国にとって、又、わが日立市にとって、更に又、皆様各企業団体にとりましても、先行きの見えない中、極めて厳しく、ご苦労の続いた、多難な年でありました。
昨今の相次ぐ金融破綻に象徴されますように、経済の混乱は、予測をはるかに超えるものでありました。長引いている経済の低迷・不振は、今後の推移如何では、日本という国の基盤さえ揺るがせかねない程の、深刻な状況でありまして、まさに今、わが国は、歴史の大きな転換点・過渡期の真っ只中にいる、と申し上げなければなりません。
新しい年も、その延長線上に幕を明けました。引き続いての、皆様方のご苦労を偲ばずにはおられない気持ちで一杯であります。
しかし、こういう時代であれば尚更、これを乗り切っていくための、私たちの強い意志と創意工夫、この荒々しい流れに何らかの力強い棹や杭を、しっかりと打ち込み得るエネルギーなり、パワーが必要でありまして、市の職員に対しましても積極的な取り組みを訴えたところであります。
市政の面におきましては、おかげをもちまして、昨年、道路関係では、6号国道日立バイパスが、愈々、海上部への本格的な工事に入りました。久慈川に架かる3本目の橋となる日立・東海線も、昨年暮れに県道昇格が裁決され、建設のメドがついてまいりました。
高齢社会の対応策としましては、民間のご協力により、特別養護老人ホームが2カ所、老人保健センターが1カ所、それぞれ開所いたしました。間もなく、保健センター1カ所が続いて開所される予定でありまして、市が策定しました老人保健福祉計画が着実に実現しつつあることは、喜ばしい限りであります。
一方、国・県の行財政構造改革による財政圧縮が進む中で、日立市の財政状況も、極めて厳しい状況下にあると申し上げなければなりません。
加えまして、本市の基幹産業である工業生産部門の不振・低迷が、自主財源である市税の大幅な減収をもたらしまして、本年度当初に策定いたしました市の基本計画、いわゆる5カ年計画自体の見直しさえ迫られている状況であります。
このことについては、いずれ市議会とも協議させていただきたいと考えておりますが、そういう中にありましても、ぜひ実現を急ぎたい事業もいくつかございます。
そのひとつが、(仮称)日立地区産業支援センターであります。構造不況のもとで、厳しい状況に置かれている中小企業の皆様の活性化のために、いささかなりともお役に立ちたい、そういう願いを込めて、目下、商工会議所や中小企業関係の皆様と計画を煮詰めているところでありまして、ぜひ来年度には完成させたいと願っております。
これら財政状況の厳しさは、今後ますます加速するものと予想しております。従って、私どもとしましては、今まで以上に、自主財源を生み出すための工夫、そして貴重な財源を有効適切に使うための真剣な努力を尚一層徹底しなければなりません。そのため、行財政改革を全庁挙げて、更に深く広く進めていく覚悟であります。
新年早々、NHKの今年の大河ドラマ「徳川慶喜」がスタートいたしました。
倒幕派と攘夷派、それぞれが群雄割拠した幕末。まさに一触即発の、緊張の時代。この第15代将軍は、自らの立湯に、自ら歴史的決別のメスを入れるという、大政奉還の決断を下して、最後の将軍となりました。
その歴史的な評価は、様々なようでありますが、結果として、慶喜が、時代の再構築という、新しい社会システム体制への切替えという大きな歴史の転換を自ら刻んだことは、明らかなことであります。
このドラマから、私は、今の時代との共通点を重ね合わせて、その接点なり、示唆をぜひ求めたいと考えておりますが、大転換の今を生きる私たちの責任も本当に大きいものと、改めて感じているところであります。
昨年の暮れには、大変残念なことがありました。それは、衆議院議員塚原俊平氏が突然逝去されるという悲報に接したことであります。
私どもに対する生前の、同氏からの各面でのご支援に、改めて厚くお礼を申し上げ、又、そのご冥福をお祈り申し上げますとともに、皆様お互いの健康保持に十分ご留意くださいますよう、お祈り申し上げます。
新しい年が、皆様にとりまして、そのご苦労が明日の発展や明るさにつながる、実り多い年でありますよう、又、ご家族、企業団体ともどものご発展をお祈りいたしまして、年頭のご挨拶といたします。